北海道から沖縄まで、ふるさとの「名低山」100座を山岳ガイド協会所属のプロが紹介した『日本百低山』(日本山岳ガイド協会編)より、各都道府県の「名低山」をご紹介。
第26回は、京都の「名低山」大江山、大文字山から、「大江山」を。

大江山 ooeyama 福知山市、宮津市、与謝野町 832m

酒呑童子と鬼伝説の山
晩秋ごろの雲海が絶景

丹後天橋立大江山国定公園にあり、酒呑童子と鬼伝説で名高い。鍋塚(763メートル)、鳩ケ峰(746メートル)、千丈ケ岳(832メートル)、赤石ケ岳(736メートル)を合わせて大江山という。

登山口一帯は「酒呑童子の里」と呼ばれ、大江山グリーンロッジや「日本の鬼の交流博物館」が立つ。内外の鬼について知る良い機会なので、下山後に立ち寄るといい。また地質に関心のある人には、地下のマントルに由来する蛇紋岩など興味深いエリアだ。

京都丹後鉄道の大江山口内宮駅から大江山グリーンロッジ前まで運行されるバスで向かう。「酒呑童子の里」の先のグラウンド裏から登りだす。植生と地質を観察しながら歩こう。遊歩道をジグザグに登り、尾根を目指す。尾根に出てしまえば緩やかなササ原だ。右手に鍋塚が見える。左手の林道への道を見送って正面を登る。足元に点在するのは蛇紋岩だ。主稜線の歩きやすい登山道に合流したら、360度の展望が楽しめる鍋塚を往復する。一帯はカンラン岩や蛇紋岩を主とする鉱物で構成されている。鍋塚頂上からは鳩ケ峰と千丈ケ岳がどっしりとした姿を見せている。

合流点に戻ったら、その先にある休憩所でトイレを済ませ、鳩ケ峰に登ってしまおう。
見晴らしの良いピークで水分と栄養補給をし、最高峰の千丈ケ岳に向かう。標高差130メートルを一気に登る、このコース最後の踏ん張りどころだ。頂上は広場となっている。
歩いて来た鍋塚や丹後半島から若狭湾、好天に恵まれれば氷ノ山まで目に入る。

下山は南へ。一帯の地質は古生層で、植生が豊かだ。ミズナラやウリハダカエデの美しい自然林が続く。赤石ケ岳への分岐はすぐだ。ここから鬼岳稲荷神社まではブナの原生林が美しい。樹木の下にはさまざまな植物を観察できるので、図鑑を片手にゆっくり下りよう。鬼岳稲荷神社に近づくとイタヤカエデやトチノキの大木も見逃せない。この辺りは、冷え込む季節になれば谷を覆い尽くす雲海が現れ、雲の上に浮かぶ峰々に息をのむ絶景ポイントとなる。神社からは5キロほどの車道を歩いて戻る。
(日本山岳ガイド協会正会員 加藤智二)

ガイドの目
梅雨時に登る場合、風通しの悪い樹林帯では体温がこもり、熱中症の危険も高まる。通気性の良い服装でのんびりと歩き、水分補給は喉がかわく前に小まめに。
蛇紋岩はもろく、雨でぬれると滑りやすい。登山靴は靴底のゴム質や形状と、地質などによってグリップ力が変わるが、どのくらい滑るか、頭脳と体でコントロールする経験が大切となる。
鬼岳稲荷神社手前や鍋塚休憩所まではマイカーで行くこともでき、体力に応じた登山も可能だ。

参考タイム
登山口(1時間10分)−鍋塚分岐(20分)−鍋塚(20分)−鍋塚休憩所(30分)−鳩ケ峰(40分)−千丈ケ岳(30分)−鬼岳稲荷神社(1時間30分)−登山口

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