北海道から沖縄まで、ふるさとの「名低山」100座を山岳ガイド協会所属のプロが紹介した『日本百低山』(日本山岳ガイド協会編)より、各都道府県の「名低山」をご紹介。
第23回は、愛知の「名低山」猿投山、宇連山から、「猿投山」を。

猿投山 sanageyama 豊田市、瀬戸市 629m

名古屋市民が親しむ山
恵那山望む1等三角点

名古屋市の東、広い濃尾平野から見ると標高の割にどっしりとした山容である。名古屋からの「足」に恵まれ、市民が気軽に自然に親しめる山だ。

山名の由来は諸説あるようだが、「景行天皇が伊勢へ赴いた際、かわいがっていた猿が不吉なことを行ったので、海へ投げ捨てた(もしくは猿がいたずらをしたので腹を立て、投げ捨てた)。その猿が、今の猿投山にこもって住んだ」とされる話も伝わる。

名古屋市からは車が便利だが、公共交通機関でも比較的気軽に行ける。名鉄豊田市駅からとよたおいでんバスで猿投神社前下車。目の前が古い歴史の猿投神社だ。神社の門の右にある車道を上っていくと、左側にトイレが備えられた立派な駐車場がある。車ならここに駐車すると便利だろう。

舗装道を進むと左側に観光用のトロミル水車がある。これは花こう岩の風化したサバ土
から陶磁器の原料を作るときに使われていた水車である。

さらに行くと御門杉の道標があり、ここから登山道(東海自然歩道)が始まる。けっこうな勾配があるが、丸太の階段があり、一部崩壊はしているものの、しっかりと整備されて歩きやすい。車道を横切り、休憩所を過ぎ、しばらく登ると、昔の参詣道、武田道と合流する。この辺りから常緑広葉樹などの自然林が目立つ。

東の宮への道標に従って行くと、舗装道に出る。東に展望台があり、条件次第で三河湾
方面が望めるという。東の宮の階段が始まる鳥居の近くにはトイレがあり、休憩ポイント
となる。東の宮への登山道も歩きやすい。この辺りの桜や杉などの木々は大きく、目を見
張る。東の宮から、登山道を行くとユニークな形をした「カエル石」がある。ここから猿
投山頂まではもう一息。1等三角点のある頂上からは瀬戸方面の丘陵地帯が望める。

下山は自然林の多い尾根状の登山道を西に進む。晴天だと恵那山や名古屋市街を見ることができる。瀬戸側の雲興寺への分岐、通称「赤猿峠」から左の登山道を下る。猿投七滝
の遊歩道を通り、広沢天神社を横に山麓を行くと猿投神社前に戻る。
(日本山岳ガイド協会正会員 保田辰弥)

ガイドの目
下山の「菊石・猿投七滝」遊歩道も魅力の一つ。猿投七滝は、上流から血洗いの滝、二ツ釜滝、白霧滝、千鳥滝、白菊滝、乙女滝、そして落差25メートルという広沢大滝である。天気の良いときには快適に散策ができる。菊石とは、国指定の天然記念物「球状花か崗こう岩がん」で、広沢川の川床や右岸に菊の花のような模様が花こう岩に見られる。
広沢川沿いに下ると、広沢天神社から里山の道が猿投神社までつながっている。のんびりと帰路を楽しもう。車なら帰りに猿投温泉に立ち寄り、一汗流すのも一興だ。

参考タイム
猿投神社(1時間30分)−東の宮鳥居・トイレ(1時間)−山頂
(40分)−赤猿峠(1時間30分)−広沢天神社(30分)−猿投
神社

 

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