写真:iStock.com /IvelinRadkov

 

 仕事の質はスピードで決まる——。取引先企業は、海外も含めて70~80社、それらを約30人のメンバーで請け負い、常時400件以上のプロジェクトを動かしているデザイナーの佐藤オオキさんは言います。仕事は丁寧に時間をかけてするよりも、スピードを重視すると仕事の質が高まり、自分も成長していく驚きのスパイラルが起きるのだそう。
 調子よく仕事が片付けば、気分もスッキリするものです。『佐藤オオキのスピード仕事術』から、その重要なコツを3つギュッと凝縮してお届けします。

 

◆「速さ」より重要なのは「同時処理能力」

 私は、常時400件以上のプロジェクトを動かしています。

 同時に400件のプロジェクトを進めているというと驚かれることも多いのですが、これは会社をつくってから今日まで、少しずつ右肩上がりにプロジェクトが増えてきた結果。スケジュールがタイトな案件が入ったときは寝る間を惜しんで仕事をすることもありますが、ふだんは休息もしっかり取っていますし、特別に無理をしているという意識はありません。

 たくさんのプロジェクトをこなすには、やはり仕事のスピードがものをいいます。しかし、ここでいうスピードというのは、皆さんが抱くであろう「手を動かすのが速い」というイメージとは、ちょっと違うかもしれません。

 確かに、スキルを身につけたり特別なノウハウを得たりすれば、人の2倍や3倍のスピードで手を動かすことはできそうです。でも、これが5倍、10倍となると物理的に無理が生じるでしょう。ではどうやって仕事の速度を上げるのかといえば、それは「いかに並行して仕事を進められるか」にかかっています。たとえ手を動かす速度が速くなくても、同じ時間で5倍、10倍の量の仕事を処理できていれば、結果的に仕事を超高速でこなしていることになるわけです。

 私がいう「スピード」とは純粋な処理速度ではなく、「同時に処理する能力」に近いのではないかと思います。デザインの仕事でいえば「スケッチを描くのがほかの人より2倍速い」とか、「アイデアを出すのに、人が1時間かかるところを30分で出せる」といった「速さ」が大切なのではなく、いろいろなことを並行して考えたり進めたりできるような工夫や環境づくりこそ、重要といえるでしょう。

「仕事のスピードを上げたい」という人は、まず「仕事のスピードアップ」の意味を捉え直すことがスタート地点になるのではないかと思います。

 

◆目の前の仕事だけに集中する

 たくさんあるプロジェクトを混乱なく進められる理由の一つは、私が常に「目の前の仕事だけに集中する」ことを習慣づけているからではないかと思います。

 そもそもは、私は同時に複数のことをするのは苦手です。子供の頃、ピアノを習わされたときは、両手を使って弾かなくてはならなくなった瞬間に「脳みそは一つしかないのに、両手で同時に別の動きをするなんて、どうすればいいんだろう」と思ったものです。世の中にはきっと複数のことを並行して処理できる人もいるのだと思いますが、私の場合はそれができません。

 ですから仕事をするとき、私は必ず一つの案件だけに集中します。400件のプロジェクトを抱えていても、頭の中にあるのはそのうちの一つだけで、399件のことは忘れています。そして、一つの案件を処理したら、それもスパッと忘れて次の仕事に移っていくのです。

 このように仕事を進めるには、まずプロジェクトごとの速度感を自覚することが必要です。

 400のプロジェクトがあるといっても、3年かかるプロジェクトもあれば3日で終わるものもあります。3年がかりの仕事であれば必要なタイミングでそのつど考えていけばいいのですが、3日で結果を出さなければならない場合は、3日の間にやるべきことを着実にクリアしていかなくてはなりません。

 速度感を意識すれば、多数のプロジェクトのそれぞれの業務のうち、優先して処理すべきものが何なのかが明確になります。仕事のスピードを上げるには、まずこれが重要。優先順位をしっかりつけておけば、一つの仕事を処理した段階でモタモタすることなく、すぐ次の仕事に取りかかれるのです。

 

◆仕事は3つに振り分け、スケジュールには3割の空きをつくる

 仕事に優先順位をつけるといっても、400超のプロジェクトの仕事一つずつに順位をつけようとすれば、頭がパンクしてしまいます。仕事の管理が手間のかかる業務になってしまってはスピードは上がりません。

 ですから、私は仕事を大きく3つに分けるようにしています。仕事の管理にはスマートフォンのTo Doアプリを使っているのですが、フォルダは「Now」「Later」「Maybe」の3つだけ。

「Now」には3日以内程度のスパンでやるべきことを入れておきます。

「Later」に入るのは、切迫感はないけれど、放っておくと危機的な事態を招く可能性がある仕事です。3つのフォルダの中でも、最も幅広い項目が入っています。

 そして「Maybe」には、やってもやらなくても大丈夫だけれど、それをやることによって長期的にメリットがありそうなこと、少しでも暇な時間や余力があったら取り組みたいことなどを入れています。

 こうしてざっくり仕事を分けておけば、あとは時間的余裕があまりない「Now」のフォルダの中にある項目についてだけ優先順位を考えればいいわけです。「Later」や「Maybe」フォルダにある仕事に時間を費やす必要はありません。

 仕事を着実にこなすには、スケジュールに余裕を持たせることも重要なポイントです。

 仕事をしていれば、急ぎの依頼が入ったり、トラブルが発生して対処に時間を取られたりといったことは必ず起きるもの。スケジュールをすきまなく埋めていると、こうした突発的な事態が起きたとき、その後の予定がすべて台なしになってしまいかねません。

 私の場合は、仕事にあてられる時間のうち、3割程度をバッファとして空けておくようにしています。これくらいの余裕を持っておけば想定外の出来事に慌てることはなくなり、仕事のペースが乱れることもありません。

 


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