北海道から沖縄まで、ふるさとの「名低山」100座を山岳ガイド協会所属のプロが紹介した『日本百低山』(日本山岳ガイド協会編)より、各都道府県の「名低山」をご紹介。
第22回は、静岡の「名低山」達磨山、満観峰から、「達磨山」を。

達磨山 darumayama 伊豆市、沼津市 982m

絶景、富士と駿河湾
晩秋から早春が最適

伊豆半島は日本で最も深い駿河湾と2番目に深い相模湾に挟まれるように位置する。温暖な気候もあり、山より海のイメージが強い。だが、伊豆半島の背骨に当たる尾根筋には伊豆山稜線歩道という全長約43キロのロングトレイルがある。この山はその途上の主要ピークで、達磨大師の座禅姿に似ていると名づけられたという。

別名は、万太郎岳。伊豆半島最高峰、天城山で最も高い万三郎岳とその弟、万二郎岳と3兄弟。それぞれその名前のてんぐが住んでいたといわれている。標高千メートルにも満たないが、360度の展望と、1等三角点の山として人気が高い。

西伊豆スカイライン(現県道)が通っているので、車で達磨山の直下にある駐車場まで行ってしまえば往復1時間で手軽に登れる。でも、お勧めは、富士山に向かって歩く北向きの縦走だ。修善寺からバスで大曲茶屋まで行き、船原峠へ上る。そこから伽藍山、古稀山、達磨山、小達磨山、金冠山とアップダウンを繰り返す。左に駿河湾と富士山の大展望を眺めて気持ちの良い稜線歩きだ。

登山の最適季は空気が澄み、遠くまで見渡せる晩秋から早春。冬は西風が強い日が多いが、風がなければ日だまりハイクを楽しめる。富士山に雪の残る5月初旬くらいまではいいが、春かすみが出始めると遠景はクリアにならない。

船原峠は植林帯の中だが、すぐにササ原の見晴らしの良い道になる。風の強い日は、防風着が必要だ。右手のがけ下に西伊豆スカイラインが見え隠れする。道は明瞭なため迷うことはないだろう。伽藍山を過ぎると前方に大きな達磨山が見えてくる。登りがきつそうに思えるが、ゆっくり歩いても意外と短時間で頂上に達する。山頂はそれほど広くない。

ゴールのだるま山高原レストハウス付近から富士山を写した巨大なパノラマ写真が、戦前のニューヨーク万国博覧会で「日本一の富士山」として紹介されたことでも有名だ。帰路はここから修善寺へバス便がある。4月中旬から下旬にはマメザクラに覆われた金冠山のピンク色に染まる山肌が美しい。
(日本山岳ガイド協会正会員 三浦早苗)

ガイドの目
船原峠から達磨山への登り口までは西伊豆スカイラインの車道歩きの部分があるので、車に注意が必要だ。
温暖な伊豆の山だが、西風が強い冬は、防寒と帽子を飛ばされないようハットクリップなどの対策を。達磨山への上り下りは丸太の階段で、ぬれていると滑りやすく、特に眺望に見とれ足を踏み外さぬよう注意したい。
達磨山の山頂は眺めが良く、誰もが弁当を広げ、休憩を取りたくなる。ただ、荷物を広げっぱなしにしないよう他の方への配慮を忘れずに。

参考タイム
大曲茶屋(40分)−船原峠(1時間10分)−伽藍山(50分)−達磨山(40分)−戸田峠(15分)−金冠山(40分)−だるま山高原レストハウス

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