北海道から沖縄まで、ふるさとの「名低山」100座を山岳ガイド協会所属のプロが紹介した『日本百低山』(日本山岳ガイド協会編)より、各都道府県の「名低山」をご紹介。
第20回は、長野の「名低山」雁田山、守屋山から、「守屋山」を。

守屋山 moriyasan 諏訪市、伊那市 1651m

日本の屋根、絶景パノラマ
諏訪大社ご神体の山

数多くの名山が連なる信州で、全国的な知名度は高いとは言えない。見目麗しいとも言い難い。しかし、見てくれで山の価値は測れない。登ってみて良さが分かる山だ。

天候に恵まれれば、北アルプス北部から槍・穂高、乗鞍岳、南アルプスの北岳、甲斐駒ケ岳、中央アルプスの木曽駒ケ岳、眼前に八ケ岳と、日本の屋根のパノラマが広がる。田中澄江さんの「花の百名山」に選ばれ、山野草も楽しめるだろう。

諏訪湖周辺を支配した、かつての狩猟の民、守屋族との関わりがあるという。諏訪大社と守屋山はほぼ直線上に位置し、諏訪大社のご神体の山とされている。

登山コースはいくつかある。一般的なのは、杖突峠からのコース。この峠は、戦国時代に甲斐の武田軍が南下する際の軍事上の要衝だった。

杖突峠までバス便はあるが、本数は多くない。マイカーなら、諏訪と伊那を結ぶ国道152号で杖突峠茶屋を過ぎた守屋登山口バス停が出発点になる。

ソーラーエリア帯を左に見て道標に従ってカラマツ林の中を進む。急坂を約20分で林道沿いに高床式のアジア風家屋が数軒現れる。林道に沿ったり離れたりしながら進む。10分ほどで座禅草コースの道標に従い林道から山腹を下りる。湿原の木道を渡り、再び林道に出たところが分杭平だ。炊事場、水場、トイレなどがあるキャンプ場で、誰でも気軽に休憩できる。ここから、いよいよ登山道らしくなる。鳥居をくぐり、クマザサ帯を抜け、カラマツ、数本のシラカバなどが混在する斜面を登る。左から立石コースと合流、斜度が増すと、標高約1631メートルの守屋山東峰は近い。

守屋山は頂上部が東西に長い。東峰からは諏訪湖、八ケ岳、中央アルプスなど360度の眺望だ。頂上をわずか下がると鉄柵で囲まれた祠、守屋神社奥宮の前に出る。周りには溶岩が露出している。東峰から稜線をいったん下り、登り返すと最高点の西峰だ。1等三角点があり、展望にも優れる。
帰りは山頂から往路を忠実に杖突峠へと戻る。
(日本山岳ガイド協会正会員 下越田功)

ガイドの目
諏訪大社のご神体の山として古くから地元の人々にあがめられている。
アクセスも比較的容易で、コースタイムも往復3時間余り。登山道、道標も整備され、誰でも気軽に登れる山である。ファミリーも楽しめる。ただ、装備品などは確実に。
登山は6月〜7月なら新緑と花、野草が楽しめ、10月〜11月は紅葉。積雪期はスノーシューを履いて散策と、四季折々楽しめる。
また、「花の百名山」でザゼンソウ、クリンソウ、レンゲツツジなど山野草の宝庫でもある。

参考タイム
登山口バス停(30分)−分杭平(1時間)−守屋山東峰(20分)−西峰頂上(15分)−東峰(40分)−分杭平(20分)−杖突峠登山口

 

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