北海道から沖縄まで、ふるさとの「名低山」100座を山岳ガイド協会所属のプロが紹介した『日本百低山』(日本山岳ガイド協会編)より、各都道府県の「名低山」をご紹介。
第14回は、神奈川の「名低山」、大山、明神ケ岳から「明神ケ岳」を。

明神ケ岳 myojingatake 南足柄市箱根町 1169m

絶景、雪の富士山
明るい冬枯れの山

明神ケ岳は箱根外輪山の一角にあり、明星ケ岳と結んだ尾根からの眺望は壮大。コースは道了尊から登り、箱根側の宮城野へ下るのがポピュラーだ。明るい冬枯れの尾根からの富士山は絶景で、風さえ弱ければ、冬の柔らかな日差しを浴びて開放感ある山を楽しめる。

道了尊でバスを降りたら14世紀建立の古こ刹さつ、大雄山最乗寺の杉並木の広い参道を進む。赤い大きな鉄製の和合下駄の脇が標高300メートルの登山口だ。小さな橋を渡り、杉林の急なジグザグ道を登って右に曲がり緩やかな登りになると12体の石仏が迎えてくれる。しばらく単調な登りが続くが、送電線をくぐって林道を渡ると標高680メートルの見晴小屋に着く。

少し登ると防火線の草原の尾根道に変わり、視界も開ける。春夏には多くの花々が目を楽しませてくれるだろう。ススキの原が切れたあたりに神明水の水場がある。急坂を登り、草原の尾根から樹林帯を巻いて登り抜けるとクマザサ原に出る。外輪山の尾根筋に当たり、しばらく行くと右に頂上への道が延びる分岐。ひと登りで山頂だ。

頂上は裸地で360度の眺望は壮大。手前に金時山を従えて、冬は雪の富士山。丹沢、箱根、伊豆の山並みから大島、さらに小田原の町並みや横浜、三浦半島や房総半島までパノラマが素晴らしい。

帰路は明星ケ岳方向へ、開けた稜線をたどる。無線中継所を過ぎて急な下りで鞍部に出
る。天候次第では、右の宮城野への近道を取ろう。約1時間で集落へ出る。急な下りで、
しっかりした靴底のシューズで降りたい。

余裕があれば、そのまま緩やかな起伏の草尾根を明星ケ岳へ向かってもよい。山頂は石
碑がなければわかりにくく、眺望はないが、尾根の先に明るい相模湾が広がる。宮城野へ
は山頂からわずかに戻った分岐から左に降りる。途中右手に、大文字焼の「大」の字の切
り開かれた山肌を通り、急な低木帯を下って林道に出れば宮城野はすぐだ。

時間があれば箱根登山電車の強羅駅まで20分ほど歩き、温泉を楽しむのもいい。
(日本山岳ガイド協会正会員 大蔵喜福)

ガイドの目
なだらかで明るい草原状の尾根道は状態も良く歩きやすい。ただ、冬は霜柱でぬかるみができ、滑りやすいので、明星ケ岳からの下りの急坂は特に注意が必要だ。
また冬場の強風の際は、小学校低学年程度の子供連れで歩くのは避けた方がいい。
水は神明水にある。その上にも水場はあるが、涸かれることがあり、ここで水を補充することを勧めたい。トイレは道了尊ですませておく。

参考タイム
道了尊登山口(50分)−見晴小屋(30分)−神明水(1時間)−明神ケ岳(45分)−鞍部(1時間)−宮城野。明星ケ岳経由では約2時間で宮城野。道了尊までは伊豆箱根鉄道大雄山線
大雄山駅からバス。宮城野から小田原へもバス。

 

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