北海道から沖縄まで、ふるさとの「名低山」100座を山岳ガイド協会所属のプロが紹介した『日本百低山』(日本山岳ガイド協会編)より、各都道府県の「名低山」をご紹介。
第13回は、東京の「名低山」、日の出山、御前山、天上山から、「御前山」を。

御前山 gozenyama 奥多摩町桧原村 1405m

春の息吹、カタクリの山
四季の自然、都民に人気

多摩川上流、都民に親しまれる奥多摩三山の中で大岳山、三頭山に挟まれ、春の息吹を感じさせる山が、奥多摩湖畔にどっしりと横たわる御前山である。コースは多く、四季それぞれに自然美を楽しませてくれる。特に4月下旬から5月のカタクリの開花期は多くの人々が訪れる。

ここでは奥多摩湖から大ブナ尾根を登り、山頂から「奥多摩都民の森(体験の森)」経
由で栃寄登山口に下山する周回コースを紹介する。

奥多摩駅から奥多摩湖へバスで15分。登山口は小河内ダムを渡った園地にあり、トイレ
や休息舎がある。尾根に向かって石段を上ると頂上広場に出る。湖面から正面に六ツ石山、鷹ノ巣山が望める。尾根はロープのある急登に変わり一気に200メートルほど稼ぐと、穏やかなヒノキの植林地となる。赤土の登路を滑らないよう登り詰めるとサス沢山(940メートル)に着く。雲取山方面を眺めて一息入れよう。

尾根はここから岩の露出した明るい道に変わり、ブナの大木が目立ってくる。滑りやすい急登を登り切ると惣岳山だ。右は小河内峠への道。しばらくして左に栃寄からの道を分ける。一帯はカタクリの群生地で、御前山までの20分ほどの稜線は、富士山の展望と相まって圧倒的景観だ。頂上手前の見晴台からは雲取山、飛竜山、大菩薩嶺、三頭山、富士山と見渡せ、御前山頂へはひと登りで着く。

頂上からは、稜線を少し下り右に檜原への湯久保尾根を分けると、すぐ左手に栃寄への分岐となる変形十字路となり、トイレのある避難小屋が見える。水場もあるが飲用には不適とのこと。

さらにカタクリの咲く湧水の広場、カラマツの林を行き、カラマツの広場から急坂を下る。道標に導かれて行くとトチノキ広場に出る。休憩舎、トイレ完備だ。コンクリートの階段を下ると栃寄大滝に出て、広葉樹が美しい沢沿いの道を下る。周辺にはワサビ田が点在する。登山口からは車道となり、20分も行けば境橋バス停に着く。
(日本山岳ガイド協会正会員 大蔵喜福)

ガイドの目
大ブナ尾根と栃寄沢の登下山ルートには急傾斜がいくつかある。歩幅を靴のサイズ程度に狭くし、靴底を地面につけ、摩擦を最大限に生かすと滑りにくい。またロープに全体重をかけると危険だ。バランスを取るためだけに補助的に使うこと。
登山適季は春と、秋から初冬にかけて。春はカタクリ以外に奥多摩湖畔の桜やニリンソウ、秋は木々の黄葉や紅葉、山村の風情を楽しめる。
マイカー利用者には小河内ダム周辺に無料駐車場が数カ所ある。

参考タイム
奥多摩湖バス停(10分)−登山口(1時間10分)−サス沢山(1時間20分)−惣岳山(20分)−御前山(1時間)−トチノキ広場(50分)−栃寄登山口(20分)−境橋バス停

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