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2017.08.11

なんだか面白いので、まだ続けるよエッセイ60

8月6日。ヒロシマから、平和を叫ぶ。

歌う旅人・香川 裕光

8月6日。ヒロシマから、平和を叫ぶ。

広島で生まれ育った人にとって、「8月6日」は、他の土地で育った人とはその存在も意味も違う。今でも変わらず、「特別な日」なのだという。本当は、人類すべてにとって、特別な日でなければならないのだが。
広島では、戦争を経験した人の数がどんどん減りつつある今でも、こうして、戦争を知らない若者が、平和を叫び続けている。
8月6日は、広島に原爆が投下された日です。今回は、まじめに平和を語ります。

*****

 エッセイ
 8月6日

 8月6日。と言ったら何が思い浮かぶだろうか。
 海の日? 山の日? 僕の住む広島県では、この日になると、朝からすべてのテレビのチャンネルが「平和記念式典」の様子を生中継する。8:15になるとサイレンが鳴り響き、可能な限り目を閉じて黙祷を捧げる。

 8月6日は広島に原爆が投下された日だ。

(写真:iStock.com/ShantiHesse)

 幼稚園児の頃から、"平和学習"という名の教育を受け続けてきた広島県民にとって、8月6日は、楽しくはないけど、クリスマスや誕生日やお正月と同じくらい特別な日と言える。というか、全国的にそうなのかと思っていた。しかし大人になって、一歩外に出てみると、「8月6日? さて?? なんの日だっけ?」と答える人の方が一般的だったので、カルチャーショックを受けた。
 小学校の夏休みでも、この日は登校日だった。"平和の会"的な催しがあったからだ。そこに向けて、平和の歌を歌う練習をしたり、折り鶴を折ったりしていたことを、今でも鮮明に覚えている。
 僕が通っていた小学校にいたっては、"グラウンド"のことを"平和台"と呼んでいた。先生は当たり前のように「2時間目は体育なので、児童のみなさんは平和台に集合です!」なんて言うのだ。そのことになんの違和感も感じてなかったし、当たり前だった。純粋無垢な子どもに、価値観や道徳を植えつけるのって、自由自在なんだなあと、あらためて思う。
 もしかしたら、ちょっぴり強制的に見えるかも知れない。でもやはり、8月6日に特別な意味を持ち続けることは大切だと、大人になって、僕はあらためて思っている。

 原爆が投下された当時の広島のことは、『ヒロシマ』とカタカナで表記されることが多い。カタカナの『ヒロシマ』になると、突然、それは地名ではなく、抽象的な意味を持つ。爆風と爆炎と放射能に包まれ、変わり果てたその街は、"広島"ではなく"ヒロシマ"なのだろう。もちろん僕は戦争を経験していないし、正直、どこかおとぎ話のような、映画の中での出来事なような、そんな気さえする。
 しかし、これは現実にあった出来事であり、事件である。僕が普段、何気なく通る道も、服を選ぶ店や、換え弦を買いにいく楽器屋や、行きつけのカフェがあった場所も、今から72年前に、原子爆弾で突然焼け野原になったのだ。
 明日も明後日も当たり前に一緒に過ごせると思っていた仲間や家族が、みんな焼け爛れて変わり果て、死んでしまったのだ。
 この時期になると必ず放送される、"原爆のキノコ雲"。その雲の真下では、猛スピードで何千何万という人が焼かれて、八つ裂きにされて死んだということ。
 8月6日は、その「リアル」から目を逸らさず、平和の大切さを感じる日だと僕は思っている。
 その記憶が、その気持ちが失われないように、何代にもわたって、広島ではそんな教育が行われているのだろう。

 今年の8月6日は、地元のアーティストの仲間達と一緒に『Peace音学会』というフリーコンサートで歌わせてもらった。広島市内のど真ん中で野外コンサートをする、大きな催しだった。この日ばかりは、普段はプロとして活動しているアーティストも、音響さんも、司会者も、撮影スタッフやその他スタッフも、みんなボランティアでイベントを作るという趣旨のライブイベントだ。
 音楽ライブの合間に、"語り部"さんと呼ばれる、当時の様子を語る被曝体験者の方の話なんかもある。本当にたくさんの方が足を止めてくれて、コンサートは大成功に終わった。
 仲間内で『今年はみんなで1曲コラボソングを作ろう!』ということになり、この日に向けて、それぞれのステージや仕事の合間に集まって「あーでもない、こーでもない」と時間をかけて、『未来Note』という曲を制作し、レコーディングをした。
 歌うたいとして広島から発信できること。自分たちにできること。未来の子ども達に伝えたいこと。
 別にシリアスな感じということはなく、作っているときは、ふざけ合いながらやっていた。メンバーの一人が最近流行の『ハンドスピナー』のことを『ハンドスナピー』と呼び間違いしたことをバカにしたり、録音中に、つい声が裏返って変な声が入っちゃったのを何回も聞き直して腹抱えて笑ったり、バカな下ネタ言い合って女の子から呆れられたり、とにかく笑いの絶えない時間だった。

 そして、そんなくだらない時間がどうしようもなく愛しく思えた。厳かな式典も、偉い人たちの挨拶も、華やかなステージも大切だけど、"平和"なんて結局そんな"当たり前の延長線"なんじゃないかと思えた。
 決して、誰かが奪ったり、壊したりしてはいけない、かけがえのない、尊い時間である。

 広島に生まれ育って、少なからず人前で何かを発信できる立場にいる以上、僕は声を大にして平和への想いを発信していきたい。
 今回はちょっぴり真面目に書いちゃったけど、
 今後も悪ふざけのくだらないエッセイばかり更新していこうと思っている次第である。

 

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