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2017.08.02

「子供の頃から集団生活が苦手で嫌われてきました」回答「どうやらあなたの相談は“どうしてそれ以上、人に好かれようとするの?”という類いのもののようです」

橋本 治

「子供の頃から集団生活が苦手で嫌われてきました」回答「どうやらあなたの相談は“どうしてそれ以上、人に好かれようとするの?”という類いのもののようです」

今回の回答者は橋本治さんです。

 

 ◎相談 vol.93 (まりも・小学校教員・30歳・女性・埼玉県)

 わたしは集団生活というものが苦手で、学生時代は常に人間関係がうまくいきませんでした。小学校では、空気を読めない発言が咎められ、クラスから浮いたり、中学校に入ると入って早々に目をつけられていじめられました。それでも、根が真面目な部分があり、勉強に打ち込んだり本を読んだりして乗り越えて来ました。

 念願の高校に入学出来たのですが、そこでもうまくいきませんでした。初めの一年間はすごく楽しかったのですが、その後は孤立してしまいました。どういうわけか、初めは遊びの声などかかるのですが、途中からあからさまに嫌われてしまいます。カンが鋭いので、相手の態度の変化などすぐに気がつきますが、その頃にはもう集団で仲間外れにされるほど嫌われました。

 大学は、志望校ではなかったのですが、夢を叶えるために入りました。そこでも、一年間は楽しかったのですが、またまたうまくいきませんでした。孤立してしまうんです。

 その後は、実家を離れ夢を叶えて就職しましたが、やはり職場で仲の良かった先輩と上手くいかなくなりました。

 わたしの場合、パターンが同じで、和解できないと思うと、こちらもなんとかやり過ごして時が過ぎるのをまつしかありません。うちの家は、父が厳しく、努力しろ、努力しろという人でした。失敗は許されなかったように思います。特にわたしが1番上でしたので、親としても厳しく育てたのだと思います。学生時代は家が大嫌いで、はやく出たいと思っていましたが、今はわたしも所帯を持っていますので、お互いいい距離感が出来ています。

 幸い私とは間逆の、人に好かれる男性と結婚でき、息子たちにも恵まれて、今は幸せなのですが、来春からまた働くので、人の中に入ることが怖いです。ここまで同じパターンで嫌われてしまうというのは、何かあるのでしょうか?逆に、絶対離れていかない友人も、数名はいます。

 ただ、毎日会う人と上手くやるのが苦手みたいです。自尊心は低い方だと思いますが、そこまで嫌われてしまうと、そんなに嫌な人間なのかとたまにものすごく落ち込むことがあります。

 

 ◎お答えします(今回の回答者:橋本治)

 はっきり申し上げて、私にはあなたがなにを悩んでおいでなのか、よく分かりません。「人から嫌われて仲間はずれにされる」という点でお悩みのようですが、私にはあなたがなぜ嫌われるのかが、よく分かりません。

 あなたのご相談はかなりの長文で、普通はこれだけ文章量があると、「なぜ私は嫌われるのか」ということが最低でもうっすらと見えたりはするのですが、あなたの場合は「小学校時代はこうです、中学時代はこうです、高校時代はこうで、大学時代も、就職時代も」という形で「私は均一に嫌われているようです」の羅列だけがあって、具体例というものがありません。

 いじめとか仲間はずれという目に遭った人は、普通「これが一番つらかったし、もう一つこれもつらかった」という具体的な思い出 —— つまり、痛くて忘れられない心の傷というものを持つのですが、あなたのご相談の中にはそういうものがありません。「どうしてなんだろう?」とそのことを考えると、別の可能性が浮かび上がって来ます。

 あなたは本当に、人から嫌われているのですか? もしかしてあなたは、一人で「自分は嫌われているような気がする」と思い込んでおられるだけなんじゃないんですか? でも、そうだとすると不思議なのは、結婚して家庭的な幸せも手にしてらして、《絶対離れていかない友人も、数名はいます》とおっしゃるあなたが、「どうして私は人に嫌われるんだろう?」とお考えになっていることです。普通だったら、あなたの状態は「もういいじゃない。どうしてそれ以上人に好かれようとするの?」と人に言われるようなものですが。

 第一あなたは、いじめられたり仲間はずれにされたりしても、そのことでたいして悩んだり傷ついたりはしていないんですね。小中学校時代には、いじめられたり仲間はずれにされたりしても、《根が真面目な部分があり、勉強に打ち込んだりして乗り越えて来ました》ですんでしまうのですね。仲間はずれされる寂しさというのは、そう簡単に「乗り越えました」にはなれないもので、「勉強に打ち込もうとしても、どうしても寂しさを感じてつらくて仕方がありませんでした」ということになるようなものですよ。でも、あなたはそうじゃない。《和解できないと思うと、こちらもなんとかやり過ごして時が過ぎるのをまつしかありません》で、あなたはやり過ごしてしまえるのです。普通は、「やり過ごす」になるまでが一番大変で、そこであれこれと考えて悩むのですが、あなたはそうではないみたいです。

「いや、そうではない、私だってあれこれと悩んだのだが、そのことを書かなかっただけだ」とおっしゃるかもしれませんが、「やり過ごす」ということがそうそう簡単には出来ないのは、「省略出来ないようなつらさ」を感じてしまうからで、それを省略できてしまうあなたは「とても強い人」なのです。だから、そういう人が「人に嫌われている」ということをそんなに気にしているのが、不思議なのです。

 もしかしたらあなたは、「自分は誰からも好かれ、愛されていなければならない」とか「愛されるはずだ」とお考えなのでしょうか? あなたのお悩みは、「それなのに私は失敗し続けている」というような種類のものに思えるのですね。もしかしたら、あなたの厳しいお父さんは、「すべての人に愛されるような人間にならなければだめだ!」というような教育方針をお持ちで、それをあなたに押しつけたのですか? だとしても、もういいんじゃないですか? もしかして、あなたがあるところで人に嫌われてしまうというのも、あなたの中にある「私は誰からも好かれなければならない。誰からも好かれるはずだ」という思いが「押しつけがましい」と取られてしまうからかもしれません。あなたがそのようにお考えであったら、「仲間はずれにされても、人とうまくいかなくても平気」という切り換えは、わりと簡単に出来てしまいますが。

 もういいんじゃないですか? あなたは「誰も心を許してくれない、私は一人ぼっちだ」という人でもないんですから、「人に嫌われる」ということをそれほど恐れなくてもいいんじゃないんですかね。というか逆に、「すべての人とうまくやれなくても平気」という方向に考え方を切り換えた方が、いいと思います。だって、あなたは小学校の先生なんですから。

 小学校の先生は、教室の中で一人孤立してますよね。別に生徒に嫌われていなくても、先生は生徒じゃないわけですから、教室の中ではたった一人異質の存在ですね。そのことを前提にして教育というものは行われるわけだし、その時に生徒からあまり好かれない、嫌われるという系統の先生であっても、後になって「昔はそう思わなかったけど、今思い出してみると、教えるべきことはちゃんと教えてくれたいい先生だった」と生徒に思われるかもしれないし、そういう覚悟で生徒と向かい合うことは必要だと思います。

 職場の仲間——つまり教員室で孤立したって、「私は信念を持って教育しているんだから、多数決原理からの孤立なんか恐れない」という態度をお持ちになれば、どうということもなかろうと思います。そして、一番重要なのは、そういうあなたであれば、あなたの生徒がいじめに遭った時、「私はこうして堪えて来た」と言って、いじめられた生徒の味方になれることです。あなたなら、クラスの生徒達に「いじめなんかしてはいけない!」と説得力を持って話すことが出来るはずです。

 あなたの問題は、「自分は人に嫌われるいやな人間なんだ」と思い込んでしまえる程度に《自尊心は低い方》になってしまっていることで、自尊心を高く持てばあなたの問題は解決します。あなた自身の思い込みをなくすため、人と会う機会があるのなら、その前に「私は人に嫌われていない」と念じることをお勧めします。物事はすべて慣れですから、そういうことを続けていれば、自尊心だって高くなって「なんだって私は一々、つまらないおまじないみたいなことを言い続けているんだろう?」ということにもなるでしょう。それに第一、あなたはもう「私は人に嫌われている」と思うことに慣れてしまっているのです。だったら、「今更人に嫌われたってどうってことない」とお考えになればいい。それで問題はなくなると思いますが。

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