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猫は、うれしかったことしか覚えていない

2017.08.04 公開 ツイート

コウハイ、今日のうれしかったこと その8

わかめが届いた。暑くなくなるまほうクーラー。はじめてのキャンプ。 石黒由紀子/ミロコマチコ

『猫は、うれしかったことしか覚えていない』(石黒由紀子・文 ミロコマチコ・絵)発売を記念して、石黒さんちのコウハイ(野良出身・オス・6歳)に、日々の「うれしかったこと」を教えてもらいました。

 

お届けものがあったのよ。“のと”ってところで採れたわかめだって。どうりでいいかいりがするわけよ。ボクはもう我慢ができなくなって「ゆっちゃんがいないときに食べちゃおう!」って思ったの。で、キッチンに置いてあったのをリビングまで運んできたんだけど、やっぱりセンねえたんにも声かけていっしょに食べるのがいいかな、って考えているとこ。


 

朝の早い時間にベンラダでしんこきゅう。空も澄んで小鳥もくるし、きもちのいい楽しい時間よ。“ひるま”になると、暑くておそとにも出たくなくなるよね。こんどさ、ベランダで朝ごはんを食べるのはどうかな。いつもよりいっぱい食べたくなってしまうかも。そしたらおかわりちょうだい。お水もしんせんなのをゴクゴクのんで、げんきな1日のはじまりよ。

クーラーっていうおへやにいます。クーラーって、暑くなくなるまほう。「コウちゃんのロングヘアは、見ているだけでも暑くなる」なんていうのよ、ゆっちゃんが。失敬だ。「見ている」より「着ている」ボクはどうしたらいいのさ。でね、クーラーしたら眠くなって、あくびをひとつ。そしたら「平和そうでいいね」とかいわれて。そうよ、平和が一番よ。

 

 

いいとこ見つけた! あれ、ちょっと得意げな顔しちゃってるかな? だってさ、ベランダに出たら、こんなにいい隠れ家ができてたの。雨で濡れたニセ芝生? を干していたんだって。なんだかテントみたいだし、涼しいし、ボクはここが気に入ってしまった。今日はここで、ごはんを食べる。夜はここで寝たい。はじめてのキャンプというやつです。


 

 

あに撮ってんだお? ボク、寝ていても撮られているの、ちゃんとわかるんだからね。今日はセミがたくさんやって来たから、忙しかったのよ。忙しいと1日ってあっという間よね。それで疲れてんの。眠むたいの。たから撮られたくないわけよ。わかる? 今日もごはんがおいしかったし、センねえたんと遊んだし、セミの見張りもして、いい1日だったよ。

 

関連書籍

石黒由紀子『猫は、うれしかったことしか覚えていない』

梅干しの種を飲み込んで、開腹手術を受けた猫のコウハイ。苦しかっただろうに、獣医師によると、「また、誤飲しますよ」。猫には楽しい記憶だけが残るので、種を転がしておもしろかったな、とは覚えているけど、苦しかったことは忘れてしまうそう。うれしかったことだけ積み上げて生きていく。そんな猫たちの、可愛くて笑えて、沁みるはなし。

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石黒由紀子

エッセイスト。栃木県生まれ。日々の暮らしの中にある小さなしあわせを綴るほか、女性誌や愛犬誌、webに、犬猫グッズ、本のリコメンドを執筆。楽しみは、散歩、旅、おいしいお酒とごはん、音楽。著書に『GOOD DOG BOOK ~ゆるゆる犬暮らし』(文藝春秋)、『なにせ好きなものですから』(学研)、『さんぽ、しあわせ。』(マイナビ)など。『豆柴センパイと捨て猫コウハイ』、『犬猫姉弟センパイとコウハイ』(ともに小社刊)は、幅広い支持を受け、ロングテールで人気。

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