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2017.07.29

酒乱の巨人・山口俊は罰金500万円の厳罰に

広岡 達朗

酒乱の巨人・山口俊は罰金500万円の厳罰に

 

 球界の盟主であるはずの巨人で、また信じられない“事件”が起きた。昨年オフ、横浜DeNAからFA(フリーエージェント)で獲得した山口俊投手が7月11日未明、都内の飲食店で泥酔し、ガラスで利き腕の右手甲をケガしたのだ。

 投手としてはこれだけでもアウトなのに、治療のために向かった病院で扉を壊したり、警備員に暴行を働いたという。

 事実関係は警視庁で捜査中だが、病院から器物損壊と傷害の被害届が出されたのだから、プロ野球選手失格である。

 山口は外野手の陽岱鋼(よう・だいかん、前北海道日本ハム)、中継ぎ投手の森福允彦(もりふく・まさひこ、前福岡ソフトバンク)とともにFAで入団したが、右肩痛のためキャンプは三軍スタート。6月14日にやっと一軍で初登板したが、計4試合に登板して1勝1敗、防御率6.43(7月29日現在)と期待を裏切っていた。

 事件が発生したのは、7月9日の阪神戦に先発して5回6失点でKOされ、翌日の試合途中にチームを離れて帰京した直後だったという。そもそも先発投手が登板翌日のベンチ入りを免除されるのは、次回の登板に備えて調整するためだ。深夜まで友達と、それも利き腕を負傷して病院で大暴れするほど泥酔するためではない。

 それでなくても3年総額7億円(推定)の契約に見合う働きができず、大型バブル補強の責任を問われて前GMが更迭された直後の不祥事である。プロ野球選手としてというより、人間として論外であり、本来なら即解雇だ。

 

ロッテ時代、先発拒否の伊良部に罰金100万円の厳罰

 1995年から千葉ロッテのGM(ゼネラルマネジャー)を務めたとき、忘れられない経験がある。

 エースの伊良部秀輝がある日、「溝に落ちて足をケガした」という理由で先発登板を拒否したのだ。当時の処分なら数十万円の罰金が常識だろうが、伊良部の日頃の言動から登板拒否の理由に疑問を感じていた私は、担当コーチに「100万円の罰金を取れ」と命じた。

 監督の降板命令に怒ってグローブと帽子をスタンドに投げ入れるなど、球界屈指のトラブルメーカーだった伊良部はさぞ驚き、怒ったことだろう。

 しかし、伊良部はその年活躍し、最優秀防御率と最多奪三振のタイトルを獲ったので、私はシーズン後、罰金の100万円を本人ではなく、伊良部の母親に送った。

 私が高額の罰金を母親に送ったのは、驚いた親が罰金を子どもに返せば、伊良部にエースの自覚が芽生えるだろうと思ったからだ。中途半端な罰金は本人の怒りと不満を増幅させるだけだが、高額の罰金が親を通して返ってくれば、カネが生きることになる。

 伊良部はその後、1997年にニューヨーク・ヤンキースに移籍した。罰金の真意がどこまで伝わっていたかは、わからない。

 

人間教育を怠った巨人の責任

 では巨人は、大酒飲みで酒癖が悪いといわれる山口にどんな処分を下すのか。

 今回の出来事が事実なら即解雇が妥当だが、私は選手の野球人生を奪うだけが処分ではないと思う。

 たとえばチーム不振の責任が、無能でやる気のないコーチ陣にもあるなら、球団は容赦なく問題コーチを二軍に落としたらいい。しかしその場合も、なぜ左遷されたのかをよく説明し、「下でしっかり指導者としての勉強をし直してこい」と言って送り出せば、心を入れ替えて真剣に二軍選手を鍛えるはずだ。そして指導者として成果を挙げたら、また一軍に呼び戻せばいい。

 つまり処分は、その人間を殺すのではなく、生かすものであるべきだと私は思う。

 山口もまだ30歳。やったことはプロ野球選手としてあるまじき行為だが、心から反省して練習に励めば、これまで以上の投手になる可能性は残っている。

 しかし、巨額の年俸を手にしたFA選手に半端な罰金でお茶を濁せば、甘やかすだけだ。いずれ酒乱投手に逆戻りするだろう。

 だからここは、罰金500万円か1000万円の厳罰に処し、徴収した大金はあとで親に渡したらどうか。まともな親なら球団の温情を察し、息子に罰金を返して諄々(じゅんじゅん)と諭すはずだ。

 最後に指摘しなければならないのは、巨人の責任である。今年、巨人は総額30億円超といわれる大型バブル補強で、山口をはじめ3人のFA選手のほか、外国人選手など10人以上の新戦力を補強した。

 ドラフトで獲得した新人が育たないから、他球団の即戦力を豊富な資金力で集めたのだが、これらの新戦力に「巨人とは何か」をしっかり教えているのか。プロ野球の生みの親で巨人の創設者・正力松太郎の遺訓「巨人軍は常に紳士たれ」の意味を教えたのか。「巨人軍の伝統とは何か」を教えたのだろうか。

 2年前、巨人ナインが野球賭博問題で摘発されたとき、球団首脳は「再発防止と信頼回復に全力を尽くす」と繰り返した。しかし大事なのは形式的な対策ではなく、選手への人間教育である。今回の不祥事が証明したのは、巨人が勝利を急ぐあまりカネで集めた補強選手に、根本的な人間指導を怠っていたことだ。

 

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