子どもたちにとって待ちに待った夏休みが始まりました。家でダラダラ過ごすくらいなら、わが子を塾の夏期講習に……とお考えの保護者のみなさま。ちょっと待ってください!学校や塾に外注しなくても、子どもの学力と可能性を広げる教育は、家庭でこそベストに行えるのです。独自の家庭教育で娘をハーバード合格に導いた廣津留真理さんの著書『世界のトップ1%に育てる親の習慣ベスト45』から、親の行動を少し変えるだけで、子どものやる気と才能をみるみる引き出す超実践的なメソッドを紹介。お子さんと一緒に過ごす時間が増える夏休みにこそ、ぜひお読みください。

 

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日本の教育は極端な学力偏重であり、日本人学生のほぼ全員が5教科(英語、国語、数学、理科、社会)の学力を伸ばすことだけに血道を上げています。外注先の学校や学習塾はもちろん、家庭でも宿題や復習という形で5教科を学び、週末は模試、夏休みなどの長い休みは夏期講習などの名前でひたすら詰め込み教育を実践してきたのです。

世界的に見ると、学力偏重の詰め込み教育はとっくの昔に時代遅れになっています。日本でも次期学習指導要領では学力以外の学びに向かう力、人間性、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力などを育てることを志向しています。

学力以外の要素を「学ぶ」ために、アメリカの大学入試を念頭に置いて高校生までにやっておくべきことをTo Doリスト化してみました。新しく何かを始める小学1年生、中学1年生の参考になると思います。

 

○高校生までにやっておくべき13項目をチェック

・小学校6年間、もしくは中学校3年間の学業の目標、個人的な目標を立ててみます。それを最低年1回は見直して修正しましょう。

・先生やスクールカウンセラーと話し合い、自分の得意が作れるような課外活動やスペシャルプログラムにはどのようなものがあるか相談。気に入ったら参加してください。

・あなたが先生を知っているように、あなたも先生に自分がどのような人間であるかをよく知ってもらってください。それはこの先の内申書の内容にも関わりますし、奨学金の推薦状を得るためにも必要です。アウトプットに消極的で自分が何者であるかを自らアピールしなければ、誰もあなたに注意を払ってくれないのです。

・スポーツに没頭し、チームのメンバーになり、仲間を作りましょう。

・没頭できる趣味を作り、チームのメンバーになり、仲間を作りましょう。

・音楽会、演劇部、絵画サークル、朗読会など芸術に触れる機会を作りましょう。

・募金活動などに参加し、自らイベントを企画してリーダーシップを発揮してください。

・機会を捉えて国内、海外のあちこちに旅行に出かけましょう。そのための資金を出してくれるアワードや奨学金がないかチェックして応募しましょう。

・将来進みたい大学のウェブサイトをチェック。学生にどのような資質を求めているか調べましょう。メンバーになってメーリングリストに登録し、最新情報をゲット。

・新聞や、インターネットに目を光らせて情報を集めましょう。

・自分が参加できるサマーキャンプ(夏休みなど長い休みのときに自宅を離れて課外活動を行うもの)、学業や芸術やスポーツなどのコンテストや大会、仕事(アルバイト)、ボランティア活動の機会がないか調べて積極的に参加してください。

・大事な書類をすべて入れる「収納ケース」を用意しましょう。

・“ポートフォリオ”を作る準備をしましょう。

Valerie Pierce with Cheryl Rilly『Countdown to College: 21 ‘To Do' Lists for High School』(Front Porch Press)より

 

○「収納ケース」の中身を見れば、人生を成功に導く「グリット」の有無がわかる

こうしてリストアップしてみると、改めてやるべきことが多いとわかります。なかでも最後の2項目は重要なので詳しく解説します。「収納ケース」と「ポートフォリオ」です。

収納ケース(素材は何でもよく、容量が十分確保できればOK。アメリカでは牛乳などを運ぶミルク・クレートというケースをよく使います)に入れるのは、芸術やスポーツ、リサーチなどの分野で子どもがゲットした各種のアワード(賞)を記念した表彰状やメダル、地方紙や雑誌などに載った記事など。

整理は後回しにしておいて、子どもがいったい何者なのかを示す書類やグッズを一つ残らず放り込んでおきます。

この箱を作っておかないと、苦労してゲットした表彰状やメダルをなくしてしまい、子どもの才能や頑張りを目に見える形で残せない恐れがあります。

ここにはテストの答案用紙や模試の成績といったいわゆる5教科のペーパーテストは入れません。

なぜなら、この収納ケースは5教科以外の子どもの人となりや得意を示す証拠を収めるものだから。ケースが空っぽに近いとしたら、今後の大学入試で評価対象となる5教科以外の課外活動が疎おろそかになっている証拠です。

アメリカでは伝統的にアワードが重視されてきました。子どもの努力と情熱を客観的に評価する目安となるからです。

5教科以外の課外活動を何もしなければ、アワードは獲れません。スポーツや音楽などの芸術に打ち込み、できるだけ多くのアワードをゲットしてみてください。

アワードが注目される大きな理由は、人生を成功へ導く才能やIQ(知能指数)以外の第3のポイントである「グリット」の有無が明確になるから。

グリットとは心理学者のアンジェラ・リー・ダックワースさんの研究をきっかけに注目された能力で、努力、情熱、忍耐を持ち続けて何事かをやり抜く力を意味します。

多くの物事は「できたから、やった」のではなく「やったから、できた」もの。スポーツでも芸術でも、アワードを得るためには、個性が活かせる分野を見つけたら多少の困難に負けず、途中で挫折しないで真剣に突き詰める能力が欠かせません。

多くのアワードを得ている子どもはこのグリットが高いと評価されるので、大学に入学した後も成長が期待できます。

むろんアワードを獲るためだけにスポーツや芸術を始めるのではありません。学力以外に他人よりも抜きん出た自分の得意を作ると自己肯定感が高まって自信になりますし、失敗を恐れずにリスクを取ることもできます。そして何より人間性の幅が広がり、子どもたちがより充実した人生を楽しめるようになるのです。

 

○入試だけでなく就活にも役立つポートフォリオを作る

次はポートフォリオです。

ポートフォリオは日本では、(1)アーティストの作品集(自分の実績アピール用)、(2)投資家の資産リスク管理の用語、(3)生徒個人個人の学習過程と成果を一元化し、到達度をチェックする学校教育ツール、の3つがあります。(3)のポートフォリオを学校以外の学びの場に広げたものが、ここでいうポートフォリオです。

ポートフォリオには、収納ケースに詰め込んだペーパーなどを整理整頓し、自らの得意のレベルを示す各種アワード、課外活動でのボランティアやリーダーシップを発揮した実績、アルバイトやインターンシップなどの職業体験、外国語やコンピュータ・スキルといった特殊技能(スペシャル・スキル)などをまとめます。

欧米諸国では、ポートフォリオは大学入試だけではなく、卒業後の就職活動や転職活動にも大いに活用されています。

欧米ではいわゆる履歴書(レジュメ)に添え状(カバーレター)を添付するのが一般的です。

添え状というと単にあいさつを書いただけの添え物のように思われるかもしれませんが、添え物どころかカバーレターと呼ばれるようにレジュメの表紙に相当する重要なものです。

採用担当者はまずカバーレターを読み、そこで興味を持った人だけレジュメを確認し、面接を行います。

つまり、カバーレターの段階で企業の興味を惹く人材でなければ、入社も転職も思い通りには進まないのです。

就職や転職時にはカバーレターにその職種に応募する理由を書きますが、その根拠となるのがポートフォリオ。「こんな得意があり、スキルが高いから当該の職種にベストマッチだし、まさにあなたたちが欲しがっている人材そのものですよ!」と熱烈アピールするのです。

「御社の編集者採用に応募した理由は、私はとにかく本が好きだからです!」と情熱だけをいくらアピールしても、自分にどのような能力、セールスポイントがあるかを示さないと、採用側は「それがどうしたの?」と首を傾(かし)げるだけです。

日本国内でも外資系企業に入社、転職するときはレジュメとカバーレターは必須になっています。今後は国内企業でもその傾向は強まるでしょうから、子どものうちからポートフォリオを充実させておきましょう。

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