1. Home
  2. 生き方
  3. 阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし
  4. おすそわけわらしべ長者【書籍発売記念リバ...

阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし

2018.07.17 公開 ツイート

おすそわけわらしべ長者【書籍発売記念リバイバル掲載】 阿佐ヶ谷姉妹

この度、阿佐ヶ谷姉妹の初書籍『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』が発売になりました!本サイトの連載エッセイはもちろん、書き下ろしのエッセイと小説も加わった盛りだくさんな内容。こちらのリバイバル掲載をお楽しみ頂きつつ、ぜひ書店でお探し頂けたら幸いです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

阿佐ヶ谷に住んで約23年、今の住まいで9年、みほさんと同居して6年ほどになります。
ずっと住み続けている理由の最大ポイントは、ご近所に恵まれている所です。
平成の世ながら、何とも昔から変わらぬご近所付き合いが続いている所が、ありがたく、居心地よく。


特に八幡煎餅さんは、ご家族ぐるみでよくして下さるご近所さん。私が一人暮らしをしている時から、目が合うと朝晩のご挨拶をして下さるので、こちらからもご挨拶するようになり、そのうち「今日は暑いわね」とか「お出かけだった? お疲れ様〜」とか軽い会話が続くうちに、「おねえさん、今日煮物いっぱい作っちゃったの、もらってもらったら、困る〜?」とカボチャや筑前煮から始まり、いつの間にか、シチュー、コロッケ、鮭ハラス、ほうとう、餃子、煮込みハンバーグというメイン料理にまで及び、我が家の食卓が、差し入れのお惣菜だけで足りるほどの頂き物をするようになってしまいました。


その中でも焼き餃子は、餃子の街、宇都宮育ちの私エリコの厳しい舌をもうならせる逸品。自作やお店、数々の餃子を食べ歩いた中でも『阿佐ヶ谷姉妹杯 美味しい餃子ランキング』殿堂入りのお味です。
中の餡のお肉とお野菜のバランスもよい上に、鶏ガラスープを仕上げに入れて焼き上げる事で、中ふんわり外パリパリ、全体的にしっかりとお味のついた、そのままでも冷めても、何とも美味しい餃子に。ああ、今書いていても食べたい〜。


餃子も、最初は5、6個のおすそ分け常識の範疇での分量だったのですが、そこにみほさんが同居し始め、二人しておいしかった〜おいしかった〜と素直な感想を伝えるうちに、10個になり、15個になり、気付けばフライパンぎっしりグルッと敷き詰めて焼いていただいたものをそのまま、姉妹のためにおすそ分け頂くようになっていました。
私達が自宅にいる時に、わざわざ「これから餃子焼くけど、こまる?困る〜?」と聞きに来てくれた上で、焼きたてのものを下さるのです。


何という愛情!私たちへの優しさもさる事ながら、美味しいお料理を、美味しい状態でおすそ分けしてくれようとする、そのこだわりがお料理のすみずみにまであふれていて、ますますひとくち一口が胸にお腹に沁みわたるのです。


『ぷっ』すま」という番組で、自宅で手料理を振る舞うというロケにて、ステーキ丼を作るも、ちょうど差し入れて下さった餃子を食べた草彅さん(実際の漢字は違われるようです)、ユースケ・サンタマリアさん、FUJIWARAの藤本さんに「今まで食べた餃子で一番うまい!」と絶賛され、御三方とも美味しすぎてそればかり食べられてしまうという、まさかの展開になりました。
阿佐ヶ谷関連の話を取材される度、ついこの餃子の事を言ってしまい、そうすると「ぜひ見てみたい!」という流れになり、お煎餅屋さんにお手間をかける事になって申し訳なくなり、最近は言いたくてもお口にチャックするようになりました。


私も頂き始めの頃は、自分でも作ったものをお返ししなくてはとチャレンジした事もあったのですが、豚の紅茶煮を作っておすそ分けした次の日、お煎餅やさんから手作り具沢山ピザを頂き、その具に差し上げた煮豚が細かく刻まれ、さらに美味しくアレンジメントされているのを見て、「これはもう、何をやったりとったりしたか分からなくなっていらっしゃるのかも。混乱を招くのはやめよう〜」と、自分なりに都合の良い解釈をし、地方に行った折々で、お土産を買って行ったりしています。毎回とても喜んで下さり、そしてその後のおすそ分けの倍返し感ハンパなく。結果、両手がふさがるほどのお返しをいただいて、ドアノブをおばさんに回してもらって帰ってくる始末です。


お煎餅やお赤飯を買わせてもらう事ももちろんあるのですが、少し買うと、その3倍くらいのおすそ分けをいただいてしまい、得させているのか損させているのか分からない状態になってしまうので、なかなか難しい所です。つくづくありがたい話なのですが。

こんな、恵まれたおすそ分けわらしべ長者な生活をしておりますと、六畳一間の狭苦しい二人暮らしに多少難があっても、この環境以上の所などないのではないかと思わずにはいられません。男性とのご縁にはあまり恵まれなかったけれど、お煎餅屋さんはじめ、お隣の大家さん、周りのご近所さん、これだけ良いご縁に恵まれたのだから、これ以上何かを望んだらバチが当たりそうです。


姉妹は感謝で頭を垂れながら、徐々に徐々に体脂肪を実らせるのでした。めでたし、めでたし。(姉・江里子)

 

とある日の餃子の差し入れ。見事に円を描いた焼きたて餃子に、特製ダレ、中華風卵スープ、きゅうりの浅漬け、小玉スイカのフルコース。カメラで撮る前に、耐えきれず1個つまみ食いしてしまいました。

 

阿佐ヶ谷姉妹の魅力満載の宣伝動画を作成しました(歌あり)。ぜひお楽しみください!

関連書籍

阿佐ヶ谷姉妹『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』

40代・独身・女芸人の同居生活はちょっとした 小競合いと人情味溢れるご近所づきあいが満 載。エアコンの設定温度や布団の陣地で揉め る一方、ご近所からの手作り餃子おすそわけ に舌鼓。白髪染めや運動不足等の加齢事情を 抱えつつもマイペースな日々が続くと思いき や――。地味な暮らしと不思議な家族愛漂う 往復エッセイ。「その後の姉妹」対談も収録。

{ この記事をシェアする }

阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし

40代、独身、女芸人ふたりの地味おもしろい同居生活エッセイ。

バックナンバー

阿佐ヶ谷姉妹

ASH&Dコーポレーション所属
高い歌唱力で歌って踊れるピンクのドレスの二人組。
劇団東京乾電池研究所にて知り合い、以来親交を深める。
本当の姉妹ではないけれど、顔が似ているということでコンビを組むことに。
2016年フジテレビ「とんねるずのみなさんのおかげでした」『第22回細かすぎて伝わらない モノマネ選手権』優勝。現在、数々のバラエティ番組で活躍中。

渡辺 江里子(わたなべ えりこ・写真右)
1972年7月15日生 栃木県出身 特技:ハモり 趣味:カラオケ

木村 美穂(きむら みほ・写真左)
1973年11月15日生 神奈川県出身 特技:ゼリー作り 趣味:仏像鑑賞

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP