円城塔さんと田辺青蛙さん夫妻による『読書で離婚を考えた。』。芥川賞作家の夫とホラー作家の妻が、お互いをより理解するために本を勧め合い、読書感想を送り合った格闘の軌跡をまとめた一冊が、6月22日に発売となりました。
その後、妻・田辺さんより、あらためて思ったことを綴る番外編の後編です。

もくじ
(前編)
1.夫婦の本棚のタイトル20冊発表
2.もし続きが出たら課題図書に選びたい本10選

(後編)
3.没企画の紹介
4.私の考えたソラリス

3. 没企画の紹介

読書リレー連載中、そして連載終了後に思いついた企画をここで紹介します。

(1)映画鑑賞会リレー
お互い好きな映画を課題として出し、レビューを書くという企画。
夫の「サメ映画ってジョーズ以外にあるの?」というトンデモない一言がこの企画を思いついたきっかけでした。
ただ、家で好きな映画のタイトルを幾つか出し合って見た結果、あんまりこの人のお勧めでもそんなに見たくないなあ……というような雰囲気になってしまったので没になりました。

(2)大阪グルメ名所巡り
大阪の名物って何? 大阪っぽい物が食べたいと言われたら、どこに行けばいい?
東京から来た編集者から「美味しいお好み焼きや、たこ焼きが食べたい」と言われたらどうする? という案から出た企画。
没理由は、夫婦そろってあまり大阪らしい店を知らないから。
でも、お勧めのお店は色々あるんですよ。いつか夫婦でグルメ企画はやれたらいいなあって思っています。

(3)ワインの紹介
夫婦で行きつけのリカーショップがあり、そこの店長がお勧めするワインが毎回いろんな意味で凄いので思いついた企画。
店長の出すワインは、毎回エピソードがおお! と声が出そうになる謂れがあるものばかりです。
没になった理由は、夫婦を絡めずにその店長がするべき企画なんじゃないか? と思ったことと、店長がやや人嫌いっぽいので。
でも、お酒に関する物語って人を惹きつける何かがあると思うので、これもいつかやりたい企画の一つですね。

(4)夫婦リレー小説
夫婦でリレー小説をやってみよう! 三題噺等も可。
夫が一番嫌がった企画です。理由は理不尽な目にあうに決まっているからだとか。

(5)レッツ! 文豪プレイ
文豪のエピソードを二人でやってみようという企画。
文豪の〇〇が通ったお店や、散歩した場所に行ってみたり、持ち物を再現してみたり等。
没理由は、夫が現在共同通信で「文学散歩」をやっていて被ることと、エピソードを集めるのに結構時間が掛かってしまいそうだから。

4.私の考えた『ソラリス』

「夫婦読書リレー」で円城塔からの最後の課題図書として選ばれた『ソラリス』
SF小説の金字塔なわけですが、私としてはこの設定でどうしてホラーにならなかったんだろう? と思ったわけですよ。

伊藤潤二さんの漫画で『地獄星レミナ』というのがあり、これは意志を持った惑星が星を人を喰いに来る!! という話です。
もうこれは凄いというか、絵で見て体感するしかない!!! としか言えない作品です。
超お勧め!!

『地獄星レミナ』伊藤潤二

さて、赤いゼリー状の惑星ソラリスについてですが、意志を持っているように感じるけれど、人間側からは『ソラリス』が何を考えているかということを推測することすら難しい存在です。

しかも、『ソラリス』を人間が倒そうを思っても相手は巨大ですし、致死性のガスに覆われている部分もあり、敵に回すと超やっかいなうえに、ソラリスの裏をかくのは非常に難しいです。妖怪のサトリなんざ相手になりません。

おまけにちょっと『ソラリス』が天然っぽいのも怖いですね。

まあ、ケルビンが勝手にハリーを『ソラリス』からの贈り物と思っていたのと、最終的には割と喜んで受け取ったので、ギフトのセンスがやや悪い天然ちゃん、それが『ソラリス』と思いましたが、事実は分かりません。

程よく怖がったり嫌がったりすることも見越して、過去自殺した恋人と見た目と記憶が同じ、だが、不死の存在を送りだした可能性だってあります。

そうなると、かなり嫌な奴ということになりますよ!『ソラリス』。

『ソラリス』の人類に対する嫌がらせを考えると、どんどん怖い物語が浮かんできます。
『ソラリス』が調査にやって来た人間に興味を持ち「おっし! オラ! ちょっと地球さ行って、人間とか暇つぶしに亡ぼしてみよっかなー」とか思われたらもう、人類終了なわけですよ。

それか『ソラリス』の考えた「最強の殺人兵器」とか「ウィルス」とかを、探査機の尻にでもこっそりペッタリとくっ付けられても人類はアウツ! なわけです。

他にも映画『ALIEN』の記憶を調査員から読み取り、ソラリス・ステーションで再現しよう。よーしビショップも作って「人間もなかなかやるね」を言わせてみよっかなーとかも『ソラリス』は出来ます。

怖い。怖すぎるぞ。何でも作れる赤いゼリーの海、怖いです。惑星起動を修正出来る能力を持っているわけだから、宇宙をある程度は自由に動けるわけですしね(しかもその理屈や仕組みが全く分からない)。

赤いゼリーっていうのも、それ自体が怖です。赤いゼリーに沈み込んで死ぬのとか嫌だなあ。でも、そういう小説があれば、そうゼリーのような物に覆われ、死していく小説……というのを読みたいなと思ったら今発売中の『幽』(VOL.27)の中にまさしく求めていた作品が!!

発売されたばかりの雑誌掲載作ということで、詳細は伏せますが、そうだよ! こうだよ、ゼリーは地球を亡ぼせるんだよ! ってな内容の短編です。

でも、探せば結構ありそうな気もしてきました。

意志を持った(もしくは持ったように見える)意思疎通があまり出来ないゼリー(もしくはプリン)のような物に殺されたり、人類が滅亡したりする作品を御存じの方は教えて下さい。
って、最後は『ソラリス』と離れた内容になっちゃいましたね。

 

この記事をシェア
この連載のすべての記事を見る

★がついた記事は無料会員限定

円城塔×田辺青蛙『読書で離婚を考えた。』
→書籍の購入はこちら(Amazon)
定価(1500円+税)
6月22日発売

夫婦のかたちに正解はない。本の読み方にも正解はない。芥川賞作家の夫とホラー作家の妻の、ハラハラするやりとりを覗き見ながら、読みたい本に出会える類まれなる書!

夫婦でお互いに本を勧め合って、読書感想文を交換しあえば、いまよりもっと相互理解が進み、仲良くなるのでは――? そんな思いで始まった、芥川賞作家・円城塔とホラー作家・田辺青蛙の夫婦読書リレー。『羆嵐』『VOWやもん! 』『クジョー』『台所のおと』『黄昏流星群』などなど、妻から夫へ、夫から妻へと課題図書が指定されるたびに、なぜか雰囲気はどんどん険悪に。相手の意図をはかりかね、慣れない本に右往左往、レビューに四苦八苦。作家夫婦のコミュニケーションはなんだかちょっと変だけど、夫婦の格闘の軌跡を覗き見ながら、読みたい本も見つかる画期的な一冊。