不思議な深海生物について、最新研究からわかったことを美しい写真とともに紹介するビジュアルブック『深海散歩 極限世界のへんてこ生きもの』が発売になりました。
その中から今回は「進化したスポンジ」を試し読みとして公開します。
美しい見た目のカイメンたちは、実は肉食性なのです。

進化したスポンジ

スポンジは、海綿動物門という、多細胞動物の中でもっとも単純で原始的な体の造りをした動物。運動神経も感覚器官も筋肉もなく、体の表面にあるたくさんの小さな孔から水を入れ、大きな孔から出すことで、有機物をこし取って生きている。

さまざまな形のものがあるが、モクヨクカイメンは、古代から、体や食器を洗うスポンジとして利用されてきた。

近年、そのカイメンの中に、不思議な形をしたものが発見された。枝がハープのように広がって伸びるもの、ピンポン玉のような球が付いたもの、打ち上げ花火のような形のものなどだ。 いずれも、小さな甲殻類などを捕食する肉食性のカイメンだということがわかった。

ついつい身を寄せたくなるような美しい構造物に見えるのかもしれない。しかし、宿り木のつもりで身を寄せたら最後、餌食になってしまう。

 

右・タテゴトカイメン
Chondrocladia lyra
2012年、モントレー湾水族館研究所(MBARI)によって報告された肉食性のカイメン。枝に獲物が引っかかると、体から薄い膜を出して獲物を包み、ゆっくりと消化してしまう

左・コンドロクラディア ランパディグロバス
Chondrocladia lampadiglobus
タテゴトカイメンと同じエダネカイメン科の一種。2003年にモントレー湾水族館研究所が報告した肉食性のカイメン。英名は「ping pong tree sponge(ピンポンの木のカイメン)」

写真/モントレー湾水族館研究所​

 

次回の「第5回 生態もすごいが見た目がすごすぎるザラビクニン」は7月15日(土)に公開予定です。

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