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2017.06.19

第十三回

ヘッドスタンド完成なるか

内澤 旬子

ヘッドスタンド完成なるか

 こうしてご縁に恵まれ、自分のペースを死守しつつも、これまでよりも少しだけしっかりとアシュタンガヨガに向き合うこととなった。私のような堪え性のない人間でも、ここまでの必然に囲まれ「アシュタンガメイン」にしてみると、どうしてもできないポーズが気にかかるようになる。

「できない」と思い詰めるのは、根性なしのネガティブ思考の人間にとっては非常に良くない。どんどんできなくなる。とはいえ全く考えないわけにもいかない。アシュタンガ・レッドクラスの場合は、全てのポーズが考える間もなく流れていくので、とことん思い詰めることはない。さあちょっと挑戦して、ああ今日は少しうまくいきそうだった、とか、あれ、今日は全然ダメだわ、などとなる。それでもポーズの数が多いので、クラスが終わってから家に戻って復習したくなるポーズは、実は少ない。私の脳が忘れっぽいからだろうか。

 ポーズの中で、気になってひっかかるのは、やっぱり派手なものからだろう。筆頭は三点倒立。逆立ちだ。頭頂と、手首から肘にかけてを床に正三角形になるようにつけて、背中から腰を垂直に立てて、足を床から離して持ち上げていく。両手のひらと、頭頂で行う流派もある。

 このポーズとの付き合いは長い。はじめてトライしてから十年は経つ。うわ、改めて数字を書くと呆れる。なぜ今も満足にできないのか、いやできるようにはなってきているんだけど、完成にいたらないのか、不思議だ。実はそんなポーズばっかりなんだけどな。

 一番はじめは、跪いた姿勢から頭頂と手のひらを床につけて、膝下を床につけたまま腰を持ち上げた状態で、数回呼吸していた。これでも頭頂に刺激が行くし、ポーズの効果はある。頭頂のどこをつければ気持ちよく重圧に耐え得るのか、じっくり探っていた。なにより首に負担がかからない。

 そのうちに腰を垂直に上げてもいいかなあという気になったら、膝を床から離して爪先を頭に近づけるように歩み寄る。だんだん頭頂や手に重力がのしかかるようになるので、うまいこと床を押すような感覚を身に着けていく。

 このあたりまではすぐに、大変気持ちよくできたように思う。すでに十年前のことだからよく覚えていないけど、一度でできたはず。爪先を床から離すのも、比較的サクッとできた。ここまでは怖くなかったのだ。

 ここから先、実はいろいろな先生にいろいろな方法で教わってきている。壁を使ってやりましょうと言う方もいれば、最初から壁無しで行くほうがいいと言う方もいたような。まあとにかく足を少しずつ天に向けて持ち上げていくわけで、だんだんぐらぐらし始める。頭をつける位置と肩から腰までの立てかたがきちっと安定して自立していたら、足がどこにあろうがどうでもいいくらいになる。

 始めて五年も経っていない頃に、ちゃんと壁無しで足を上に持って行くことは、できるようになっていたように思う。わりとここまでは悩まずに来れたのだ。もっと深刻にできないポーズがある中で、得意とは言えなくても、完成までの未来が明るいポーズだったはずなのに。

 そこから先が長いのなんのって。そもそもアシュタンガの場合は、足を真上に持って行って十五呼吸固定しなければならない。他の流派で行うときに比べると、圧倒的に長い。カウントをとる先生にもよるのだけれど、かなり長い。みみっちい話だが八呼吸までならいけるのだが、その先で乱れることも多い。

 で、それで終わりではない。十五カウントの後に足を下ろして来て直角で止めて五呼吸してから、吸いながら足をまた上に上げねばならないのだった。まっすぐ上げたらゆっくりと下ろして、ポーズ終了。しかもこれが体力気力を使い果たした最後のあたりに来るので、フラッフラの状態で行わねばならない。

 倒立自体はそんなに問題なくできたような気がしたのに、十五呼吸もたない、もしくは十五呼吸もっても半折にするときにバランスを崩す。または半折後に再び足を立てるうちにバランスを崩す。などなどなどなど、課題が山積みとなってしまった。

 肩から首にかけてわずかに後傾していてまっすぐになっていない。肘をつける位置を正三角形よりも狭くとってみるといい。地面に突きさすように立つのだ。などなど、いろいろな先生からさまざまなご指導を仰いでその都度改善してきたのであるが、それでも安定しない。

 一度ごろんと転ぶと恐怖心がなくなってできるようになるとも言われた。たしかに怖い。すごく怖い。頸椎を痛めたくない、痛めたらどうしようと、恐怖心を募らせていれば、身体も固くなるというものだ。

 高松に来てから一年ほどして、やっと、転ぶことができた。これで恐怖心がとれるかと思ったのだが、全然とれなかった。進歩無し。相変わらず怖くて、真上に足を持って行くときに、身体がこわばる。あらまあ。期待してたのに。

 なんとかできるときが続いてこれで安定したかと思うと、できなくなるの繰り返しなのである。どうやら土台となる上半身ばかり意識して、足先に力を入れずにフワフワとバランスだけとっているのがいけないのだということに気付いたのは、この一年余りのこと。しかし足の先まで力を入れると、ものすごい全身運動になるのですが。

 そう、私は上に上がったときに腰から足にかけて、勝手に休ませていたのだが、ここにも力をしっかり入れねばならなかったらしい。力を入れないほうがバランスがとれるような気もしていたのだけれど。ダメでしたか。

 足先とともに力を入れ忘れていたのが、尻であった。最後の五度、垂直に足を上げるには、尻に力を入れて尻から足を動かす。腰から反らせたら、それこそバランスを崩してひっくり返ってしまう。うーむ、元凶は尻だったのか。

 現在意識して挑戦し続けているのだけれど、いまだに必ずできるという安定は手に入らない。できたりできなかったりの繰り返しなのであった。

 ところで尻についてである。腰痛が治ってみると勝手なもので、私の脳内では尻問題が再び浮上した。

 それはもうながらく尻と対決してきた。元気になると尻が気になるという具合だ。最近発見したのだが、ワコールが二の腕にひっかけて二の尻と名付けてくださっていた、まさにその部分。加齢とともにぐずぐずに崩壊する、腿と股との境界線あたり(ワコール公式HPではヒップと太もも)。


 そんなもの気にする歳でもなかろうというご意見もあろうが、腹割れて、胸はシリコン、二の腕ビシリのこの身体、尻だけたるんでいるのはどうにも許せないじゃないか。他が締まれば締まるほど、なぜ尻だけが、尻だけがあっっ!! と、尻を責めたくなる気持ち、ご理解いただきたい。いや、ご理解いただけなくても勝手にやってますので、どうかお構いなく。

 バレエをやっていれば、二の尻を重点的に動かすことができたので、対策はそれ以上講じなくても済んだ。しかしバレエから脱落となり、ヨガだけになると、二の尻対策は、どうしたらいいのだろう。

 倒立の件でもそうなのだけど、ここ最近になってヨガのいくつかのポーズで尻に力を入れ損ねていたことが発覚して、ヨガをやっても尻は締まらないという私の自説は、大いなる誤りであったことを認めねばならない。ごめんなさい。ただしそれらのポーズは、尻に力を入れにくいものであることも否めない。それに尻の力を抜くポーズも多い。当時の私では、尻肉を締めるのに他の手段の助けを求めるのは、致し方なかったのだ。

 ヨガの場合、戦士のポーズなど、尻の上部に力を入れるポーズはとても多い。いつのまにか尻の上の部分にえくぼができるようになった。グイッと力を入れれば、尻の上部にはにぎりこぶし位の筋肉が盛り上がる。上半分だけはまあまあカッコいい尻になっていたのだ。これがヒップアップになる、と聞いたのだけれど、なりませんでした。下は全然アップしませんから。ダラダラですから。なぜに??

 東京にいたときには、二の尻を隠すために、ガードルを穿いていた。フワフワの二の尻に食い込むのは全く無意味どころか余計に醜悪になるので、必ずひざ上まであるものに限定。尻肉を手ですくうようにして収めると、イイ感じの尻の形が作れる。

 しかしこれらのガードル、裾がシームレスになっていても、腿との境目に段差がつく。若いお嬢さん方と違って肉にサシが入ってんのかというくらい柔らかくなってんだから仕方ないんだが、スキニーパンツなどを穿くとこの段差がとてもみっともなく表出する。段差がつかないくらいソフトな素材にして、二の尻をしっかり持ち上げてくれるガードルを探しまくったものだ。

 しかしだ。島にまで来たとたん、ガードルを穿く気が失せてしまったのだ。なぜあんなに苦しいものを身に付けていられたのか、わからない。もう無理だ。ガードル無理。一生穿かない宣言をいたします。

 となれば、少しでも二の尻の肉を刺激し続けなければ。あっという間にぐずぐず崩壊してしまうんじゃなかろうか。

 こうして自宅で二の尻を刺激するトレーニングを検索し、自分で考案していたのであるけれど……。いまいち尻は締まらない。そんなある日ふとスマホの広告から悪魔がささやいた。

「どうせ、東京にいるときより家賃が安くなってるんだし、機械に頼ってみたら?お試し体験なら安いし」

 そう、セルライトや無駄肉を成敗するための機械がこの世にはあるらしいのだ。パソコンを開けばなんとなく目の隅っこに入って来る。キャビテーションだの、エンダモロジーだの、ラジオ波だの……。東京に出張するときに、体験してみようか。ちょっと楽しい夕ご飯とお酒を一回我慢して、コンビニおにぎりで済ませるくらいの値段で、体験は受けることができるのだ。なんで今まで気が付かなかったんだろう。

 あちこち調べて、合計四つか五つのエステサロンに行き、体験してみた。それぞれ少しずつ機械が違っていたり、機械を使わずにハンドマッサージだけだったり。

 しかし行く前からわかっていたのであるが、裸に近い形で寝そべるのが、結構辛いのだ。どんなに綺麗な場所でも、なんとなく辛い。潔癖症でもないし、自宅はそれほど綺麗なわけでもない、いやむしろ汚いのだけれど、なぜかエステサロンというスペースに行くと、落ち着かない、なぜなのだろうか、性に合わない。他人との距離感の問題だろうか。使いまわしのモノなどにすぐ気を取られてげんなりしてしまう。マッサージは大丈夫なんだけどなぁ。

 そしてエステティシャンの女性とのお話が、もっと辛い。まあ、ないんだよ、話すことが。ホントにセルライトがとれるのかどうか、くらいしか。

 なぜか大手のサロンでは、他社からのスパイに疑われた。十分痩せていらっしゃるので……と。だーかーらー、尻の垂みをとりに来たんだってば! それ以上でも以下でもないんだよ。機械でホントにとれるものかどうか、知りたいだけなのに。

 そしてこの手の機械は、むやみに沢山当てることはできないらしい。セルライトは脂肪の塊なのであるが、これをキャビテーションなどの機械で溶かした後は、リンパに流して排泄してもらわねばならない。なるほどそらそうだ。人間についてる出口は汗腺か肛門か尿道口しかないのだから。一時に排泄物が押し寄せたら内臓に負担がかかるらしい。

 ということは、どんな機械を使っても、リンパマッサージをちゃんとしないとダメってことか。ちなみにリンパマッサージだけの施術は、気持ちよいというよりは痛くて、しかも一回ではほとんど効果はなかった。とても上手だったと思うのだが、尻のシルエットはそう簡単に変わらない。

 一軒だけ、たった一回の体験で本当に穿いてきたスキニーデニムの尻のラインが変わった。皺がとれたのだ。ひざ上のたるみもとれた。これには驚いた。最後のリンパマッサージまで、詳細は忘れたが、三種の機械を使っていたような。通ったらさぞすごいだろうとは思ったけれど、やっぱり定期的なコースを組むとなると、予算オーバーであるし、週に一回の割合で通わないと効果がないようで。上京するのは月に一度か隔月なのであるから、東京のサロンは難しいということか。しかし高松のサロンを探したとしても、ヨガの他に週に一度通うのは、なかなか難しい。もう少し手軽に尻をなんとかできないものか。

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