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シンギュラリティ・ビジネス

2017.05.31 公開 ツイート

AI時代に勝ち残るために、「2045年」を先取りせよ! 齋藤和紀

 AIと並ぶ大注目のキーワード「シンギュラリティ」。
 シンギュラリティとは、ごく簡単に言うと、「AI(人工知能)が人間の知性全体を大きく上回り、科学技術の進化の速度が無限大になること」。
 提唱者レイ・カーツワイルは2045年にシンギュラリティが到来すると予言。シンギュラリティが到来すると「エネルギー価格がゼロになる」「水不足も地球温暖化も食料不足もなくなる」とも言われます。
 そんな夢物語のようなことが、2045年という近未来に起こるはずがない?
 齋藤和紀さんは著書
『シンギュラリティ・ビジネス――AI時代に勝ち残る企業と人の条件』で、シンギュラリティが本当に起きるか否かは、実は重要ではないと述べています。それはなぜ? そして、いま私たちが知り、対応しなければならないこととは何でしょうか?

 * * *

 2013年頃から、第3次人工知能ブームといわれ、テレビ・新聞や街中で、「人工知能」や「AI(artificial intelligence)」の語を、毎日のように見かけるようになりました。

 それとあわせて、2016年の後半から、メディアなどへの登場回数が急激に増えたのが、「シンギュラリティ」という言葉です。

 この言葉を世界的に有名にしたのは、AIの世界的権威にして天才未来学者、レイ・カーツワイルです。カーツワイルは、「テクノロジーの進化のスピードが無限大になる」シンギュラリティが、2045年に到来する、と予言しました。

 カーツワイルは、シンギュラリティを「人間の能力が根底から覆り変容する」レベルの現象と称していますが、そういわれても、何のことかまったくわからない、私たちの生活にどんな影響があるのかピンとこない、というかたがほとんどかもしれません。

 でも、シンギュラリティが迫っていることを、私たちの多くは、実はすでに肌で感じています。

 ニュースでは、自動運転車の実験や、ドローンの活用など、最先端のテクノロジーに関する情報が、毎日、何かしら報道されます。それらのニュースを見ていると、技術が進化するスピードが、最近どんどん加速していると感じないでしょうか。

 また、電話もカメラもゲームもSNSもパソコンも、すべてがスマートフォン1台に入ってしまって、一体いつの間に、スマートフォンなしでは暮らせなくなってしまったのかと、あらためて驚くことはないでしょうか。iPhoneが初めて米国で発売されたのは、ほんの10年前のことです。

 テクノロジーが進歩するスピードがこれまでと違う――これが、まさに、シンギュラリティが迫っていることの本質です。

 それをより深く理解するには、テクノロジーの進化が「指数関数的」=「エクスポネンシャル」に加速していることがもたらすインパクトの大きさを理解する必要があります。

「エクスポネンシャル」、本書のもうひとつの重要なキーワードです。

 人工知能によって人間の仕事が失われる、人間に代わってロボットが闊歩する――かつてSFで描かれたような世界、得体の知れない何かがやってくることに、不安を抱いている人も多いでしょう(私は、2016年に公開されて話題になった映画『シン・ゴジラ』の「シン」は、シンギュラリティのシンではないかと思いました)。

 カーツワイル自身も、シンギュラリティのインパクトがどんなものになるかは「予測できない」と述べているぐらいです。

 ですが、歴史を振り返れば、人類は次々と新たなテクノロジーを生み出すことで、生活を飛躍的に向上させてきました。新たなテクノロジーは、いつの時代も最初は畏怖され、不安や攻撃の対象となりましたが、肉体労働の比率の低下や、寿命の延長、貧困率の低下、乳児死亡率の低下、病気の克服など、すべてはテクノロジーによってもたらされたものであることは疑いがありません。

 私は、これからも人類はテクノロジーによってこそ、明るい未来をつくっていけると確信しています。そして、人類が数千年かかって経験してきたことよりはるかに大きな変化を、これから数十年の間に体験できるかもしれない、そう思うと、とても興奮してきます。

 シンギュラリティなどありえない、少なくとも2045年などというごく近未来には実現不可能――そのように、シンギュラリティに対して懐疑的な研究者も少なくありません。

 ですが、いまを生きる私たちにとって、シンギュラリティが本当に起こるか否かは、それほど重要ではないと私は考えます。

 シンギュラリティが到来しようがしまいが、テクノロジーがそこへ向かって、エクスポネンシャルに進化していることは、まぎれもない現実です。だったら自分たちがそこにどう対応していけばよいのかを、考えるべきではないでしょうか。

 そこで、本書では、「シンギュラリティ」や「エクスポネンシャル」がもたらすインパクトについて、できるだけ平易かつコンパクトに解説していきます。あわせて、このような時代に飛躍的成長をとげるビジネスとは何か、企業はどう組織を変革していくべきなのか、私たちはどんな考え方で人生やキャリアを設計していけばいいのかについても、考えていきたいと思います。

 読者の皆さんが2045年を先回りして決断し、行動するためのヒントをご提供できれば幸いです。

 * * *

 続きはぜひ、News Picks編集長・佐々木紀彦さんも「AI入門の決定版だ」と推薦本書でお読みください。

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シンギュラリティ・ビジネス

2020年代、AIは人間の知性を超え、2045年には、科学技術の進化の速度が無限大になる「シンギュラリティ」が到来する。そのとき、何が起きるのか? ビジネスのありかた、私たちの働き方はどう変わるのか?

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齋藤和紀

1974年生まれ。早稲田大学人間科学部卒、同大学院ファイナンス研究科修了。シンギュラリティ大学エグゼクティブプログラム修了。2017年シンギュラリティ大学グローバルインパクトチャレンジ・オーガーナイザー。金融庁職員、石油化学メーカーの経理部長を経た後、ベンチャー業界へ。シリコンバレーの投資家・大企業からの資金調達をリードするなど、成長期にあるベンチャーや過渡期にある企業を財務経理のスペシャリストとして支える。エクスポネンシャル・ジャパン共同代表、Spectee社CFO、iROBOTICS社CFO、Exoコンサルタント。

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