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2017.05.18

おばさん7000人脳内会議

小池 龍之介

おばさん7000人脳内会議

 最近、10日間にわたってインテンシブな坐禅瞑想のレッスンをしている中で、心の中で起きているアレやコレやのお喋りを、生徒さんたちが眺めていられるための、有用なイメージが思い浮かびました。

 それは「頭の中に住む7000人のおばさんたちの、井戸端会議」というものです。7000人というのは、デタラメな数ですからどうか気になさらず、要は、膨大な人数のおばさんたちが寄り集まって、ああだこうだと、尽きることもなく脳内で井戸端会議を繰り広げているイメージだと、思い浮かべてみてください。

 それは、たとえば参加されていたある生徒さんの頭の中では、こんな具合であったことだろうと、推測も交えて記してみましょう。

おばさん①「あの人に対してあんなことをしてしまったなんて、何てことをしてしまったのでしょう!」

おばさん②「後悔しても仕方ないわよ。あのときは、ああするしかできなかったのだもの。もっと前向きに、『今、ここ』に意識を向けないとダメよ」

おばさん③「でも、あのとき、本当はもっと相手のためを思って行動していれば、怒らるせることもなかったのに、愚かなことをしたもんだねぇ」

おばさん④「そうやって、自己批判したって無意味だって、小池氏が言ってるでしょう」

おばさん⑤「そうそう。批判するよりも『後悔してるんだなぁ』と気づきを向けなきゃいけないのよ」

おばさん⑥「『気づきを向けなきゃ!』と、批判に対して批判してるだけで、これじゃ、気づきになってないんじゃ……」

おばさん⑦「こうやってアレコレ考えているのを、ありのままに眺めていればよいだけだから、大丈夫」

おばさん⑧「そう。眺めていたら、おばさんたちの声にはとらわれなくなるから、楽だよね」

おばさん⑨「そうだね。そう考えてるのも、おばさんの一人にすぎないけどね」

おばさん⑩「あー、これもおばさんかぁ。どれもおばさんの会議なら、どうでもよくなってきた」

おばさん⑪「どうでもよいから、楽よね~」

おばさん⑫「思考は、意味がないねぇ」
 
おばさん⑬「……」
 
おばさん⑭「あれ、思考が消えた!!」

おばさん⑮「いや、『消えた』って考えてるし、それもおばさんの噂話の一つでしょ」

おばさん⑯「あんたもね」

 ……などなど、といった塩梅です。こうした思考群が、ほんの30秒~1分くらいの間に一気に進んでいるのでありまして、その過程では、前回述べたように互いに矛盾する思考も含まれていたりもするものです。

 そして通常の鈍い意識状態では、こうした脳内で自動進行する多数のおばさんたちの声うち、いわば大声で喋り倒すおばさんの声に意識が釘付けになり、その「考え」や「意志」こそが「この私」なのだと勘違いしそれを実行しています。

 ただし、そのおばさんの声は、たまたまその時点で声が大きいだけのことで、別のタイミングで別の刺激が心に入力されると、反対のおばさんの声が勝手に強くなったりもするもので、簡単に引っくり返る、すこぶる不安定なものにすぎません。

 先程の生徒さんの例なら、「自責の念」と「仕方なかったのだと正当化しようとする思い」という、二人のおばさんを中心として派閥ができて、彼女たちが覇権争いを繰り広げているようなものです。そしてふだんは、どちらかのおばさんに同調しているせいで、覇権が引っくり返るたびに混乱が生じてストレスが生まれているのです。

 ところが、「私が後悔している」のでもなく「私が正当化しようとしている」のでもなく、おばさん①が勝手に後悔のお喋りをしたり、おばさん②がそれへの反動として正当化のお喋りをしているだけ、と眺めていると、感じ方は、激変せざるを得ません。「あー、このおばさんはそう思うんだー、ふーん」とでも聞き流してやれば、それらは力を失うのです。

 ある生徒さんが述べた言葉によれば、「強烈な欲求の感情が出てきてとらわれそうなとき、その感情の主語は誰かと調べてみると、主語は『私』ではなく『おばさん』でした。どうでもよくなり、手放せました」と。

 そして、ここでおばさんと申しているのは、脳内の各神経細胞群に、次々と電気信号が通ってゆく、膨大な数の神経回路の組み合わせに他なりません。次回は、そのあたりに照準を合わせ、お話ししましょう。

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