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2017.05.18

まだ遅くない!「共謀罪」についてこれだけは知ってほしい(第3回)

今後の国会審議、チェックするポイントはここ!

伊藤 真

今後の国会審議、チェックするポイントはここ!

「共謀罪」の今国会での成立を目指して強行採決も辞さないかまえの与党と、反対する野党の攻防が続いています。
 賛成するにしても反対するにしても、可決されるにしても廃案になるにしても、まだ遅くないので、ともかくこれだけは知っておいてほしい――憲法や法律解説のわかりやすさでは右に出るものがいない、伊藤塾塾長・弁護士の伊藤真さんによる、緊急レクチャー最終回です。(構成 岡田仁志)

 * * *

 法案が衆議院を通過すれば、論戦の舞台は参議院に移ります。代議制民主主義のもとでは、共謀罪法案の成否に私たちが直接関わることはできません。ですが、賛成なのか反対なのか自分の意見を決め、いろいろなかたちで声を挙げていくことは、民主主義における重要なプロセスです。そのためのヒントとして、今後の国会審議を見ていくうえで、チェックすぺき5つのポイントをお話しします。

■ポイント1 共謀罪がないと対処できない犯罪は本当にあるのか

 まずは、第1回でお話ししたことも重なりますが、「共謀罪はなぜ必要なのか」ということがちゃんと議論されているかどうかをチェックすること。政府は、共謀罪でなければ対処できない具体的事例を一応挙げてはいますが、現行法で十分対応できるという意見も多く、説得力ある根拠になっていません。共謀罪がないと、具体的にどんな危険があるのか、政府がその点をきちんと説明できるかどうかを、まず注視していく必要があります。

■ポイント2 デメリットを隠す主張は疑ってかかれ

 ポイントの2点目は、デメリットがどれだけ明らかにされるかです。共謀罪にかぎらず、法律は個人の権利を制約するものである以上、どんな法律にも、必ずメリットとデメリットがあります。良く効く薬には副作用があるのと同じことです。「一般国民は関係ないので心配ありません」などと、デメリットの存在を隠してメリットだけを強調する言説は、そのことだけをもって、疑ってかかるべきです。

 たしかに、共謀罪の導入によって日本が監視社会となり、警察の権限が強化されれば、犯罪が減って社会の「安全」が高まる可能性はあるでしょう。しかし、その代わりに、冤罪に巻き込まれたり、見せしめとして突然逮捕されたりする危険は増えることになります。何より、表現の自由や内心の自由をはじめとする、人類普遍の権利である基本的人権が、制約を受けることになります。

「安全」と「自由」はトレードオフの関係にあります。安全を手に入れるために、どれだけの自由を失ってもよいのか。共謀罪によるメリットとデメリットを比較するとは、そういうことです。

■ポイント3 「何が犯罪なのか」は明確になったのか

 ポイントの3点目は、前回お話ししたように、犯罪の構成要件の絞り込みがどこまでできるかということ。今回の共謀罪法案が成立した場合、条文の文言に表れていないことでも、立法の過程で議論されたことは、実際に法を運用するにあたっての解釈に大いに影響してきます。その点で、政府から、構成要件をきちんと限定する解釈を引き出していくことが重要になってきます。

 * * *

⇒次ページ[ポイント4 企業の経済活動への影響も考慮せよ]に続く

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