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2017.04.18

「人間〇〇で当たり前」と押しつける人

小池 龍之介

「人間〇〇で当たり前」と押しつける人

 前回は「あるがまま」「ありのまま」の誤解と真髄について記しましたが、今回は箸休め的に、「あるがまま」が通俗的に誤解されて広まったバージョンについて、考察を広げてみたいと思います。

 その際に思い起こされるのは、「人間なんだから欲望も執着もあってこそ幸せなんだよ」という種類の言説です。

 そうした話は、しばしば「自分は自分。このままでいいんだよ」といったメッセージとともに発せられもしますね。

 これまで、こうした話を耳にしてきた私的経験から感じてきた印象としては、この種の自己肯定的なお話は、「反論するのは許さないぞ」という雰囲気の元に語られることが多く、強い主張を伴っている傾向があるような気がいたします。

 ときには、まるでからむかのように、お説教調で「人間っていうのはね……」と、長々と続いたりもしがちなものですね(にっこり)。

 いやはや、表面上は「あるがまま」という姿勢を打ち出しながらも、「素のままの自分が正しく、好ましいのだ!」と固執する点において、前回記したような、何にも囚われない「あるがまま」とは、正反対の代物になってしまっているのですねぇ。

 そう、「あるがまま」とは、「正しさ」や「主張」などとは、まったく無縁なものなのです。

 むしろ、今の状態に対して、「正しい」「好ましい」もなく、「誤っている」「嫌だ」もなく、すべての判断を消滅させて、何の判断もなく鏡に映すだけのようにしていられることで、「あるがまま」の智慧の境地に浸っていられるのです。

 思うに、心の中に生じる煩悩に対しては、「誤っている」「嫌なものだ」という否定的な判断が生じやすいものであるだけに、否定的判断をしないようにしようとすると、こんどは反対に肯定、とばかりに、「正しい」「好き」という方向に行きやすいものでもあるのかもしれません。

 それは自己嫌悪や自己否定に陥りがちな人にとっては、一時的な気休めになるはずではありまして、だからこそ「まずは自分を愛すること」「自分を肯定すること」というメッセージは、一定の役割があるのだろう、ということはよく分かります。

 が、真実の次元では、自分を嫌悪するとか肯定するということは、どちらもナンセンスなのです。前々から記してきたように、自分はいないのである以上は、いないものを嫌悪することも肯定することも、事実誤認に他ならないのですから。私なるものが「いない」のなら、ただあるがままに意識の鏡に現象が映って流れていくだけで、肯定も否定もありようはなく、ただただ安らかなだけなのです。

 その際、心の鏡にたとえ何が映っても、ただ映って流れてゆくだけですから、そこにどんな煩悩が映っていても煩悩が力を抜き取られていて、それゆえ「全てが許されている」という安堵感を感じることも、しばしばあります。

 ただし全てが許されている安堵感は、あくまでも、全てが、ただ映っているだけで無力だと分かっていることが、前提です。

 そのとき、心の中には「自分を肯定する」もなく、「自分を否定する」もなく、ただ、あるがままの=誰もいない、圧倒的なOK!!という調和だけが、立ち現れています。

 翻ってみると、「人間なんだから〇〇で当たり前なんだよ」と押しつけるように語られがちなお説教はというと、心の中に「本当にOK!!」という調和がなくて不安だからこそ、生じてくるのだろうとも推測されるところです。なぜなら、「本当にOK!!」という円満さが活き活きと働いているとき、「このままでOKなんだよ」と、叫ぶ必要はないのですから。

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