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2017.03.29

第85回

「隣人が挨拶を返してくれず、ひどく落ち込みます」回答「あなたの挨拶はお天道様が見ておいでですから、悲しい気持ちになるのはやめましょう」

三砂ちづる

「隣人が挨拶を返してくれず、ひどく落ち込みます」回答「あなたの挨拶はお天道様が見ておいでですから、悲しい気持ちになるのはやめましょう」

今回の回答者は三砂ちづるさんです。

◎相談vol.85(ちよ・自営業・43歳・女性・大阪府)

 マンションでの挨拶で悩んでいます。私は、挨拶をきちんとするように親に躾けられて育ったので、同じマンションで出会った方には必ずこちらから笑顔で挨拶するように心がけていますが、たいてい無視されます。会釈してくださる方は時々いますが、声を出して挨拶を返してくださる方はほとんどいません。
 個人的な理由で挨拶をしたくない人がいるのはわかっていますが、その日誰にも挨拶を返してもらえないと、悲しい気持ちになり、ひどく落ち込みます。
 もしかして、挨拶をすることで、相手に不快な思いをさせているのではないかとも心配になり、悩んでいます。今後どのようにしたらよいでしょうか? アドバイスよろしくお願いします。

◎お答えします(今回の回答者 三砂ちづる)

 私の職場は「大学」なんですけど、大学の教員、って変な人の集まりです。他の会社とか職場でうまくやっていけないけれど、「これぞ」という、自分が研究するものさえあれば、仕事がやっていけるような職場だったんですよ。長いこと。

 まあ、最近は、どこの大学も他の職場なみに履歴書を精査したり長い面接をしたり模擬授業をしていただいたりして教員を選んでいるそうですから、そういうことができる人しか大学教員になれなくなってきました。でも、ここ10年くらいの間に退職なさった大学の先生方は、「大学の先生以外は勤まらないだろう」みたいな異色の方も多かったですね。逆に言えば、世間的なことはどうでもいいから、学問の最先端を広げてくれるような変人を集めているのが大学というところであったわけです。

 それはそれで重要なことだったんだと思いますけど、世の中は変わっていきます。最近の若くて大学教員になる方は、語学もできて、業績もあって、コミュニケーション能力もあって、みんないい人です。昔からいらっしゃるタイプの、ご挨拶もできないような変な人だけれど、研究者としては立派な皆様はこれからどうなるんだろうなあ、と、心配です。

 そうです。大学には「ご挨拶ができない人」という方も、その昔はお勤めだったんですよね。同僚だから、私が廊下で会って、「おはようございます」と言っても、無言で、無視。機嫌の悪い時は、横を向かれたりしてました。ご退職まで、ずっとご挨拶していただけませんでした。

 誰にもご挨拶をなさらないわけじゃないみたいで、学生には慕われていましたから、特定の気に入らない人には挨拶をしないということになさっていたのかもしれず、私はおそらくその一人だったんでしょう。私も庶民の娘なので、人には挨拶しなさい、と言われて育ちましたから、うわ〜、すごい人もいるもんだと思いました。見ず知らずの人じゃないんですよ、いつも顔合わせる同僚ですよ。普通の会社じゃ勤まりませんよねえ。

 でも挨拶しないのは、そちらの方の問題であって、私の問題じゃありません。相手が挨拶しようがしまいが、私は親に言われた通り、「おはようございます」と言い続けました。だって、無視することが私には嫌なんですから。相手がどうであろうが、自分がやるべきことはやったほうが自分がすっきりしたんでしょう。

 あなたのご相談を読んで、「挨拶をすることで相手を不快」にしていたこともあったかもしれない、と思いました。ああ、そういう考え方もあるんだなあ。でも、もう遅いです。やっちゃったものは仕方ないし、これからもそうすると思います。

 他人に会った時、家族や近しい人じゃない人、あるいはそういう集団に遭遇した時、殴り合ったり、威嚇したりせず、穏やかにご挨拶できる、ということは、人間が人間たる所以の一つ、と言われております。あなたのお悩みの一つは、「その日誰にも挨拶を返してもらえないと、悲しい気持ちになり、ひどく落ち込みます」ということですが、あなたは人間として正しいことをやっているので、相手から挨拶が返ってこないからといって、悲しい気持ちになるのはやめましょう。

 あなたの挨拶は「お天道様」が見ておいでで、おお、今日も良い挨拶じゃ、とか思っておられますよ、きっと。ということでご挨拶は、「お天道様にやっている」と思ってください(信心しておられる方ならその神様あてでも……)。

 もう一つのお悩みは「もしかして、挨拶をすることで、相手に不快な思いをさせているのではないか」ですが、挨拶をされて挨拶を返さないような人は、そういうことで不快な思いをするようなデリケートさは持ち合わせていないので、悩むだけ無駄です。

 ということで、明日もにっこり「おはようございます」をおっしゃってはいかがか、と思います。嫌になったら、やめればよいだけです。親の教えや躾も40過ぎたら忘れていいこともありますよ。

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