パリ在住20年に及ぶ著者・野口雅子さんが出会った55人のフランス人マダムたち。彼女たちに教わった人生の知恵を集めたのが『フランス女性は80歳でも恋をする』です。自分を卑下しない、毅然と「ノン」と言う、幸せは隠す、結婚していなくても幸せ、不倫は贅沢と心得る…など、私らしさにこだわる生き方の秘訣が満載です。そんな本書から、エピソードをいくつかご紹介していきます。

魅力をアピールすることに照れない

 友人のエレーヌは、長身でストレートのショートヘア、いつも黒を基調にしたパンツルックという装い。パリの街を颯爽と自転車で移動しています。シングルマザーとして、緑豊かな郊外の一軒家で子どもたちを育てあげた彼女は、55歳にして新たな人生をスタートさせました。それまでの企業での幹部という肩書きを捨て、ずっとやりたかった学問の道に転身したのです。

 現在はパリの中心にある学生街、カルチェ・ラタンのアパルトマンにひとり住まいをしながら、大学で美術史を教えています。

 ルネサンス美術からモダンアート、新しくできたベトナム料理のレストランの話題など、活き活きとした表情で早口に話す彼女ですが、ボーイッシュというよりは、女らしい印象があります。

 

「何故だろう?」と考えてみたら、彼女のチャームポイントである手首と足首がちゃんと強調されているからでは、と思い当たりました。

 エレーヌの手首と足首は、大柄な彼女の体型からすると、華きや奢しやでほっそりしていて、とても美しいのです。

 

 ある日の午後、私は数人の友人と共にエレーヌの家に招かれました。

 パンテオン近く、築300年は経つという何とも趣のある古いアパルトマン。その最上階に彼女の住まいはありました。

 作り付けの棚にはぎっしり本が並んでいて、図書館にいるようです。

 

 サロンにある暖炉の前で彼女が床に脚を交差して座っていると、短めのパンツと黒のバレエシューズの間から華奢な足首が覗いていました。手元には大きめのブレスレットをつけて、手首の細さがより強調されています。やはり、ちゃんと手首に目がいくようになっているのです。

 すると誰かが、

「エレーヌ、あなたって本当にきれいな足首をしているわね」

「本当、手首だって細いし」

 と言いました。

 やっぱり、私だけではなく皆に魅力が伝わっていたのです。

 それは、他ならぬ彼女自身がアピールしているから。

 

 以来、周りの女性たちを観察するようになりました。

 そして、私は確信したのです。

 フランスの女性たちは自分の長所を知り、その魅せ方を研究し効果的にアピールしているのだ、と。

 

 一方アンヌの魅力といえば、首筋から胸元までのデコルテのラインだと思います。彼女は、胸元を隠すタートルネックや首のつまった服は、決して着ません。やはり、自分のチャーム・ポイントをちゃんと意識しているのですね。

 アンヌが、ごくシンプルな白いTシャツを着ていても、私は「お洒落な人だなあ」と感心してしまいます。Tシャツ1枚選ぶにも、上質のコットン素材で、襟ぐりがきれいに開いたものにこだわっているということ。

 ある時は、バロック・パールの3連のネックレスで豪華に、ある時は、アクセサリーはつけずに、ラメのパウダーが淡く光っていたり……と、アンヌのきめ細かな白い肌のデコルテは、大人の女性の清潔感とセクシーさを感じさせます。

「何か特別なお手入れでもしているの?」と訊いてみると、

「化粧水を含ませたコットンで拭いた後、クリームをつけるだけ」というシンプルな方法だそうです。

 

 あなたもまず、どんな人にもある自分の長所、それをぜひ見つけてください。髪がきれいなら、さらにきれいに見えるように魅せ方を考える。シャンプーをする時やブラッシングする時など、「私の髪はきれいなんだ」と常に意識することが大切です。

 

この記事をシェア
この連載のすべての記事を見る

★がついた記事は無料会員限定

関連書籍

野口雅子『フランス女性は80歳でも恋をする』
→試し読み・電子書籍はこちら
→書籍の購入はこちら(Amazon)