伊豆天城山で女たちの駆け込み寺「サンガ天城」を運営し、たくさんの悩める女性を救ってきた尼僧・戸澤宗充さん。著書『すべてを喜びとする。駆け込み寺庵主の「引き寄せ」問答』より、頑張ってるあなたの小さなモヤモヤをすっきり解消する問答をお届けします。


 おととし胃がんになりました。でも、すべては取り切れなかったので今もがんが残っています。悪化する可能性はありますが、延命するつもりはありません。死に方としては、ピンピンころりが理想ですけれど、死に方は選べませんからね。これはこれで、死に支度ができるから、まぁいいかと思っています。

 人からよく、「庵主さんは、自分が好きですか?」と聞かれます。もちろん「大好きよ」と答えます。だって、世界にひとりしかいない自分を嫌ってどうするんですか。自分を好きにならないと、他人を愛することはできません。

 だけどね、実は私も子どものころ、自分を嫌いな時期がありました。容姿にコンプレックスがあったんです。だから「自分の容姿を好きになれない」という悲しさはよくわかります。私はぺちゃんこな鼻が嫌いでね、洗濯バサミでつまんだこともありました。だから悩んだ末、祖母に聞いたんです。「おばあちゃん、なんで私の顔って、こんなに醜いのかしら」って。そうしたら「おまえの唇は、本当にいい形をしているよ。口紅をつけたみたいに赤いし、第一髪の毛がとてもきれいだよ。それは自慢になると思うよ」と言ってくれました。私は、嫌いな鼻ばかりに心を引きずられていましたが、よいところもある、そしてすべてひっくるめて私の個性なんだと教えてもらったことで、コンプレックスはなくなりました。

 容姿なんて、目に見えるだけのものです。それよりも、ずっとやりとりしなくてはいけない心を清めるほうが大切。落ち込んだとき、迷ったとき、相談する相手は顔ではなくて、己の心です。人生の終わりが近づいてきたとき、人は生きてきた道を振り返り、死に支度をします。最良の支度を整えるためには、よき〝相談相手〟が必要です。今のうちから心を清らかに、美しく磨いていきましょう。そうすれば、穏やかな気持ちで最期を迎えられるはずです。

容姿なんて目に見えるだけのもの。
心を清めるほうが大切です。

相談する相手は
顔ではなく己の心。

 

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