まずは、下ごしらえ。りんごの芯をとって八等分に切り分け、じゃがいもを皮ごと四つ切りにする。それから、皮をむいたにんにくを薄切りにする。そして、豚のロース肉の厚切りをまな板の上に並べてたたいておく。肉たたき器がなければ、包丁の背で肉に格子状のあとがつくようにトントントンとやればいい。そのあと脂身のところに切れ目を入れて肉全体に黒コショウをふる。あればローズマリーやセージ、コリアンダー、タイムなどのハーブもふるとなおよい。緑色のハーブをまぶすと、赤く生々しかった肉がとたんにおいしそうになる。
 さて、肉の下ごしらえを終えたらフライパンを二つ用意する。一方に多めのオリーブ油をひいてじゃがいもを並べ、塩をふって弱火にかけ蓋をしておく。塩は出来れば岩塩がよい。じゃがいもの中まで火が通り、焦げ目がついたら蓋をとってひっくり返して皮がカリッと香ばしくなるように焼いていく。これはつけ合わせ。焼くのに時間がかかるので、こうして先に作っておく。
 さて、じゃがいもが焼けたところでいよいよ肉を焼く。フランベ用にブランデーを一本傍らに置いておき、もうひとつのフライパンを弱火にかけてオリーブ油を熱し、にんにくの薄切り、ローリエを入れる。にんにくが焦げそうになったら、とり出して乾いたふきんにあげる。このにんにくは、あとで焼きあがった肉の上に並べるのだが、こうするとにんにくがクリスピーな歯ごたえになってうまい。  
 火を少しだけ強め、フライパンに下ごしらえをした肉を入れ、塩をふって蓋をする。このあと焼くときの火加減がとても大切だ。肉の下側の面に焦げ目がついたら裏返して弱火にし、フライパンのあいているところにりんごを並べて、また蓋をする。一分ばかりして、りんごに少し火が通ったら蓋をとり、肉は裏返さずそのままりんごだけを焦げないようにひっくり返して焼く。  
 ここから先は手早くやらねばならない。肉に完全に火が通ったところで中火に強め、ブランデーをふりかけてフランベする。ブランデーの炎が消えたらすぐに肉とりんごを皿に盛り、とっておいたにんにくとローリエをのせる。肉を焼いたフライパンが熱いうちに火にもどし、そこへ赤ワインを入れ、強火で一気に煮詰めてソースを作る。その後中火でゆっくりとフライパンをまわしながら、竹べらで焦げ目をこそぎとるようにして煮詰めるといい。このソースを肉にまわしかけて、焼いておいたじゃがいもとクレソンを添えたら出来上がりだ。
 りんごの酸味と、ほくほくしたじゃがいもの食感が豚肉によく合う。

 

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