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2017.02.16

姫乃たまがつなげるアイドルと東京インディーズバンドとサブカルチャー

宗像 明将

姫乃たまがつなげるアイドルと東京インディーズバンドとサブカルチャー
姫乃たまワンマンライブ「アイドルになりたい」の1コマ ※#メガネ先生(国語)さんのツイートより

引退も視野に入れたライヴから5年。渋谷WWWをソールドアウト

「アイドルになりたい」と題された、すでにアイドル活動をしている人物のライヴに行きました。それは2017年2月7日に渋谷WWWで開催された、姫乃たまのワンマンライヴでした。

 日頃からアイドルのライヴに多く行っている私が、なぜ彼女について特記するのかというと、姫乃たまにとって5年ぶりのワンマンライヴだったからです。

 前回のワンマンライヴから5年後の世界。前回のワンマンライヴで「マイクを置く」(=引退する)つもりであったという姫乃たまが、5年後に渋谷WWWをソールドアウトさせたライヴでもありました。

 

自ら「地下」を名乗るアイドル

 姫乃たまは、自ら「地下アイドル」と名乗っている人物です。彼女は蔑称である「地下アイドル」という呼び名をあえて使っていると言います。

 そんな彼女の活動は、一方でいわゆる「地下アイドル」にとどまらない要素を含んでいます。アイドルやアダルトについてのライターとしても雑誌やウェブで活動し、2015年には自身の体験をもとに「地下アイドル」の実情を綴った単著『潜行』を上梓しました。また、DJ、イベントの司会としても活躍。そうした活動の中で、姫乃たまの批評眼を通して育んできた異様に幅広い人脈が、このワンマンライヴの成功へと結実していました。

 そもそもこの日のライヴは、姫乃たまのソロだけではなく、まず「僕とジョルジュ」のステージから始まりました。姫乃たま、佐藤優介、金子麻友美によるグループです。さらに、サポート・ミュージシャンとして澤部渡、清水瑶志郎、佐久間裕太、シマダボーイが加わっていました。澤部渡は、昨年スピッツが「ミュージックステーション」に出演した際にサポートを務め、口笛を吹く謎の男として話題になったミュージシャン。そして、僕とジョルジュのステージに上がったメンバーのうち、澤部渡、佐藤優介、清水瑶志郎、佐久間裕太、シマダボーイの5人は「スカート」としても活動しており、彼らは東京インディーズバンドシーンの雄でもあります。

 僕とジョルジュの途中では、1970年代から「ガセネタ」、そして「TACO」で活動してきた山崎春美も参加しました。地下アイドルのライヴで、東京インディーズバンドシーンの過去と現在が交錯した瞬間です。

 続いて、姫乃たまのソロのステージに。渋谷WWWの規模のライヴハウスをソールドアウトさせ、VJとオブジェを投入したステージで歌う彼女は、もしかしたら世間一般の「地下アイドル」のイメージと合致していないのかもしれません。しかし、姫乃たまは「地下アイドル」を掲げたまま、この日のステージに立ちました。

 また、この日の物販では、姫乃たまの写真集「号外 地下しか泳げない通信」が初売りされました。そこでもっとも多くのページ数が割かれているのは、漫画家の根本敬による、水着を着た姫乃たまへのボディペインティングの写真たちです。1990年代に「ガロ」を毎号読んでいた私は、日本のサブカルチャー界きっての因果者が、約20年の歳月を飛び越えて現れたような感覚に陥りました。しかも、アイドルを通して。

 

姫乃たまで交錯するカルチャー

 姫乃たまは5年ぶりにワンマンライヴを行いましたが、5年後にもきっとワンマンライヴをできるはずだと確信したのは、こうした文化的なコンテクストの交錯ぶりのためです。アイドル、東京インディーズバンドシーン、(私にとっての)呪われたサブカルチャー。しかも、それはただ混線しているのではなく、強く大地に根を張っているかのようでした。「地下アイドル」というプラットホームにおける姫乃たまならではの発展形であり、5年後にはどんなライヴを見せてくれるのだろうかと、気の早い期待までさせるようなものでした。

 面白おかしくマスコミのネタにされることも多い「地下アイドル」という世界。だからこそ「ジャニーズ事務所にも同じ態度を取れる人間だけが、『地下アイドル』という言葉に石を投げなさい」とも考えてしまいます。しかし、そんなノイズに負けずに、地下アイドルシーンのタフネスを体現しているかのように感じられたのが、姫乃たまの5年ぶりのワンマンライヴでした。

姫乃たまワンマンライブ「アイドルになりたい」の1コマ ※#メガネ先生(国語)さんのツイートより

 

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