伊豆天城山で女たちの駆け込み寺「サンガ天城」を運営し、たくさんの悩める女性を救ってきた尼僧・戸澤宗充さん。著書『すべてを喜びとする。駆け込み寺庵主の「引き寄せ」問答』より、頑張ってるあなたの小さなモヤモヤをすっきり解消する問答をお届けします。


愚かな人々は
未来のことにあくせくし
過去のことを思い出して悲しみ
そのために萎(しお)れていく

 お釈迦様がおっしゃるこの言葉は、多くの人にあてはまることでしょう。夫が事故死した直後の私は、まさにこの「愚かな人」。先行きが見えない未来に心をもがれ、毎日「明日こそ死のう」と考えていました。そして、夫が事故死する原因となった車について、悔いていました。

 実は、夫は車を買ったわずか3カ月後に、事故で亡くなってしまったのです。「いくら自分が気をつけていても、相手がぶつかって来ることもあるんだから、車を持つのはやめよう」と、私は車を買うことに反対しました。でも、夫がどうしても乗りたいと言うので、折れたんです。その結果、あんなことに。だから「もっとあのとき、反対しておけばよかった」と悔やむこともありましたし、幸せだったころを思い出し、涙することもありました。

 そんな毎日なので、私は「今日」という日に存在していませんでした。心が在るのは未来か過去で「今」はただ、空虚な時間を積み重ねるばかり。そしてそのことが、私を萎れさせ、さらに過去と未来にしばられる。そんな愚かな生き方をしていたのです。
結果的に、私は信仰を手に入れたことで、愚かな生き方に決別することができました。

「夫を亡くし、ひとりになってしまったのは私のせいではない。でも、これも仕方のない現実。いつまでも情けなく生きるのではなく、生かされているこの命を大切にしたい」そう思うようになりました。

 私の命は、仏様によって生かされ、世間様によって生かされ、そして亡くなった夫によっても生かされています。「私のこの行動を、夫が見たらどう思うだろう」。何かあるたびにそう考えているからです。

「愚かな人々」にならないために大切なのは、まず、自分の過去を許すこと。辛いけれども、起きてしまった出来事は許すしかありません。いつまでも許さず、後ろを振り返って歩いていると、前が見えないので転んでしまいます。
今は真っ暗なトンネルの中にいるかもしれません。けれど、光が差し込む出口を見つけるためには、前を向くしかないのです。

今日という日に
存在してください。

過去は変わらない。
けれど未来はこれから作っていける。
だから前を見て歩いていこう。

 

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