毎日を1%ずつ新しく生きる! 刺激と感動のマガジン&ストア

★がついた記事は無料会員限定

2017.02.14

第2回

憲法改正の本丸は9条ではない?

菅野 完/古谷 経衡

憲法改正の本丸は9条ではない?

日本会議の研究』(扶桑社新書)で、「日本会議ブーム」の先鞭をつけた菅野完さんと、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮新書)などの著作で気鋭の論客として注目される古谷経衡さん。問題意識や関心領域は重なるところが多そうなお二人ですが、実は今回の対談が初顔合わせ。
 いまお二人に語り合っていただくならこれしかない! ということで、「日本会議」「憲法改正」「天皇退位」の3大テーマで、ガッツリ議論していただきました。
 第2回は「憲法改正」。改憲派のねらい、戦略と戦術、揺れる心情を読み解きます。(構成:岡田仁志 写真:牧野智章)

* * *
 

■左右関係なし。「女子供は黙ってろ」が世論の多数派

菅野 昨年7月にNHKが天皇陛下の御譲位についてのスクープを流したときから、「右」の言論界は蜂の巣を突いたような騒ぎになりました。みんな好き勝手なことを言っていて、まさに百家争鳴。日本会議でさえ、まだ統一見解を発表できていません。
 ところが不思議なことに、そういうバラバラな右派が、慰安婦問題となるとキュッとひとつにまとまるんですよね。

古谷 そうそう。菅野さんがおっしゃるカタカナの「ホシュ」には何の信念もなく、ただ「アンチ左翼」でまとまっているだけ。だから、天皇陛下の問題ではまとまれないけれど、「反韓国」はアンチ左翼の文脈にあるので団結できるんです。

菅野 しかも、反韓国と言っても、みんなが完全に一致団結するのは従軍慰安婦問題だけ。日韓間には、竹島や戦後補償の問題、通貨スワップ協定など、ほかにも懸案が数多くありますが、それらの問題については必ずしも足並みが揃いません。竹島問題ですら、「韓国に実効支配されているのだから仕方がない」と考える右派はいます。
 それぐらい多様な「右」が、慰安婦問題だけはひとつにまとまるのは、それが「女」の話だからですよ。

古谷 そう。性がからむ問題だからですね。

菅野 だからこれは、レイシズム(人種差別主義)やナショナリズムではなく、ミソジニー(女性蔑視)の世界なんです。
 でも僕は、そう思っているのは「ホシュ」の連中だけじゃないと思う。「左翼はムカつく」「女は黙ってろ」「子供は生意気なことを言うな」。これみんな、昔のおじさんたちが言ってたことで、日本のマジョリティが大好きなコンセプトのような気がするんです。
 実際、リベラル系市民団体のおじさんが、イベント後の打ち上げで「やっぱりダメだね、女子供に仕事を任せちゃ」なんて口にするのを聞いたこともありますからね。

古谷 たしかに、それはあります。そういう女性蔑視があることは、「ホシュ」陣営にいる女性も自覚している。わかっていながら下駄を履かされているのを見ると、すごくイヤな気持ちになりますよ。

菅野 アメリカの公民権運動も、最初に運動の壁になったのは白人ではなく、「白人の規定する生き方が黒人の幸福につながる」と主張して抵抗運動に加わらなかった黒人でした。それと同じように、「男性の決める社会的規範の中で生きることこそが女性の幸せなのだ」と言い張る女性は少なくない。

古谷 「ホシュ」陣営の女性たちに、それが顕著です。それで彼女たちの承認欲求が満たされるならしょうがない面もありますけど、「それはあなた個人の自己実現の問題なんだから、他の女性にまで強要しなくていいじゃないか」と思う。やりきれない気分になります。

菅野 「真ん中よりも左」の日本人もミソジニーを共有しているとすると、ミソジニーは世論の多数派を占めることになりますよね。これが何を意味するかというと、憲法9条の改正には「絶対反対!」の人たちも、個人の尊厳と男女の本質的平等を定めた憲法24条(*)の改正には賛成するかもしれない、ということです。

*憲法24条
・婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
・配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

★がついた記事は無料会員限定

◎菅野完さんの最新刊

『日本会議をめぐる四つの対話』(K&Kプレス)
ご購入はこちら(Amazon)


◎古谷経衡さんの最新刊

『「意識高い系」の研究』(文春新書)
ご購入はこちら(Amazon)

 

記事へのコメント コメントする

コメントを書く

コメントの書き込みは、会員登録とログインをされてからご利用ください

この記事を読んだ人にはこんな記事もおすすめです
  • 神仏のご加護をもらうコツを全編書き下ろし
  • 山本周五郎賞受賞作『後悔と真実の色』続編
  • 麻生幾、浦賀和宏、小路幸也らによる書き下ろしミステリー小説が100円で発売!
  • 結果を出すため0のカギを握るのは、「余裕=ゆとり」
  • どうしたら女性であることを楽しめるのでしょうか?
  • 俺はまだ、神に愛されているだろうか?
  • 「上から目線」の憲法を、思わず笑い転げそうになる口語訳にしてみました。
  • 「日本3.0」時代を生き抜くための必読書
  • からだを若く保つ、整体の知恵
  • 10分以内で作れて、洗い物も少なめ、一皿で食べられるヘルシーレシピ集
神仏のご加護をもらうコツを全編書き下ろし
山本周五郎賞受賞作『後悔と真実の色』続編
エキサイトeブックス
今だけ!プレゼント情報
かけこみ人生相談 お悩み募集中!