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2017.02.08

第1回

「日本会議」は政権を牛耳る黒幕なのか?

菅野 完/古谷 経衡

「日本会議」は政権を牛耳る黒幕なのか?


■差別主義と陰謀論しかない「ホシュ」の世界

古谷 僕がチャンネル桜で発言するようになったのは2010年頃からですが、当時は自営業で稼いでいたので、お金の問題ではなかったですね。
 正直に告白すれば、承認欲求を満たせる自己表現の場を求めていたんだと思います。それは、たとえば東浩紀氏や宮台真司氏のところでもよかったのかもしれない。でも、彼らの書くものは自分にとっては難しく思えて、敷居が高かったんですよ。
 大学入試で言えば偏差値68ぐらいだから、第1志望にはしづらい。それにくらべるとチャンネル桜は偏差値61ぐらいで、自分でも模試でA判定かB判定がもらえるレベルだと思ったんです(笑)。それに、僕はいわゆる「小林よしのり世代」で、架空戦記やミリタリー模型の大好きなミリオタでもあったので、当然、チャンネル桜は大きな選択肢になります。

菅野 わかります。僕は1974年生まれなんだけど、少し下の世代は中学時代に『紺碧の艦隊』などの架空戦記を読みまくった人が多いんですよ。それがやがて雑誌『SAPIO』を読み始め、さらに「新しい教科書をつくる会」(*)で運動に目覚めるのが、ネトウヨのエリートコース(笑)。

*新しい教科書をつくる会――中学・高校で使われる従来の歴史教科書を「自虐史観」と批判し、それに代わる新しい教科書の作成・普及を進める団体。1996年結成。

古谷 まさにそのエリートコースを踏みました(笑)
 でも、チャンネル桜に集まった人々と何年かつきあってみて、僕が彼らを過大評価してたと思い知らされました。渡部昇一さん(上智大学名誉教授)や長谷川三千子さん(埼玉大学名誉教授)をはじめ、名の通った論客が顔を揃えているから、まともな集団だと思ってたんですよ。
 でも実際にそこで仕事をしてみると、ファクトに基づいて議論するといった、メディアとして最低限の作法も身についていない。要するに「陰謀論」と「トンデモ」の巣窟なんです。偏差値61どころじゃない、言ってしまえば偏差値38だったんですよ。
 チャンネル桜の番組を観ている大半の人たちも、何も勉強していないように感じた。たとえば番組常連の西尾幹二さんなどの講演に行くと、「水戸学が云々」といった知的な話の部分ではみんな居眠りしていて、「支那はけしからんですよ!」という話になった途端にガバッと起きて「そうだそうだ!」。口を開けば「支那」「朝鮮」。在特会は「朝鮮人出ていけ!」と言います。彼らは「朝鮮人は出ていってください!」と丁寧語で言っているだけで、本質は何も変わらない。あとはコミンテルン(第3インターナショナル)(*)の陰謀がどうのとか。
「これが自称保守かよ……」という幻滅の連続でした。単に差別主義者、トンデモ陰謀論好きのオッサンたちが愚痴をこぼしているだけ。最近ではユダヤ陰謀論、国際金融資本陰謀論なんてのも、もう何度目かわからないですけど、流行っているようです。到底、表現や言論の場ではありませんでしたね。

*コミンテルン(第3インターナショナル)――共産主義インターナショナル Communist Internationalの略称。1919年3月にモスクワに創設された、各国の共産主義政党の国際統一組織。1943年5月まで存続した。

菅野 「ホシュ」は間口が広くて敷居が低いのが特徴ですからね。
 そういうチャンネル桜的なものが、メジャーな言論の流通ルートに乗ってしまうような言論環境をつくったのが、日本会議の源流となった「一群の人々」(*)の長年にわたる運動の成果なのではないか。それが『日本会議の研究』を書いたときの、僕の仮説なんです。彼らが、言論界の敷居を下げてしまった。
 なにしろ日本会議主催の集会では、舞の海秀平氏が登壇して憲法改正を訴えるわけだから(笑)。どうして相撲取りに憲法の話をされなきゃいけないのかと思いますよ。

*「一群の人々」――ジャーナリスト・魚住昭氏は「参院のドン」と呼ばれた右派系政治家・村上正邦氏へのインタビューをもとにした著書『証言 村上正邦~我、国に裏切られようとも~』の「あとがき」で日本会議および日本青年協議会周辺の人々を「一群の人々」と称した。菅野氏の『日本会議の研究』は、日本の右傾化の淵源がこの「一群の人々」の活動にあるのではないかとして、それを検証している。

古谷 彼自身は本当に良い人ですけど、そこで登壇する意味はわからないですね(笑)。

* * *

●第2回は2月14日に掲載予定です。

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