旅先で地震に出くわすことほど、心細いこともあるまい。

 昨年の暮れ、ある東北の街に招かれた。2時間ほどの講演のあと懇親会となり、特産品でご接待をうける。いやぁ魚も野菜も、本当に美味しかった。ほろ酔い気分でホテルに戻ったのが夜の11時。さてスーツを脱いで、一風呂浴びよう……とした途端、グラッときた。かなり大きい。

 部屋からとびだし辺りを見回す。周りの部屋の宿泊客もぞろぞろと廊下に出てきた。出張族がホテルに帰る時間にちょうど重なったのがいけない。たちまち廊下は、青ざめた顔をした男たちであふれた。「大きかったですね」「いやぁびっくりしました」などと、あちらこちらで自然と会話が発生した頃、「当館の耐震対策は万全です。どうか自室にお戻りください」と館内アナウンスが流れた。みな、促されるようにして部屋に戻っていく。

 が、私はそこで気づかねばよかったことに気づいてしまった。廊下にいたのはおそらく総勢30名。その30名が30名とも、白いズボン下とワイシャツと黒い靴下だけの姿だったのだ!

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