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2017.01.11

離婚した母たちの本音。「フツウ」からそれた場所にあった、自由と楽しさ。

LiLy/紫原 明子

離婚した母たちの本音。「フツウ」からそれた場所にあった、自由と楽しさ。<br />

5年ぶりのエッセイ『ここからは、オトナのはなし』を上梓した作家のLiLyさん、『家族無計画』『りこんのこども』などの著書が注目を集めるエッセイストの紫原明子さん。同世代で離婚歴のあるママ、という共通項のあるおふたりに、結婚のこと、子育てのこと、新しい家族のかたちのこと……を語っていただきました。聞いてみないと知らないことばかりの生活です。
(構成:池田園子 撮影:菊岡俊子)


離婚は「傷」ではないという実感

紫原 『ここからは、オトナのはなし』、拝読しました。家庭環境や経験は私とLiLyさんとで全然違うけど、このエッセイに書いてあることは、すごくよくわかるなって思いました。母親になると「母親は、こうでなくてはいけない」とコンサバな考え方にとらわれる、とか。

LiLy ありがとうございます。お互いに同年代で、ママで、離婚も経験したうえで、「フツウの結婚/フツウの家族というかたち」に疑問を持っていて。実は、家入さんと先に知り合って、その流れでデビュー前の明子さんの文章を読んだのが最初だったんです。ものすごく文才があって面白くって、衝撃を受けて、書籍化すべきですこれは、と家入さんに連絡しました(笑)。

紫原 ははは(笑)!

LiLy  と、同時に、とても自由な家入さんが「夫」って、たいへんだろうなと他人ながら思っていました(笑)。というか、ご本人にもツイッターでそのむねをリプしたことすらあります。そしたら「確かに!」というような返事をご本人からもらって、あぁ、やはり家入さんは自由人でありながらも、本当に憎めない素敵人間だなぁ、と(笑)

紫原 わかります(笑)。彼は根っから自由な人ですからね。

LiLy  家入さんの家庭という箱に収まらない自由な感じが、当時結婚していて育児と仕事の往復に全力だった頃の私には、なんでだか、やけに気になったんですね。今振り返ると、同族嫌悪的な感情だったんじゃないかって。私自身が、「結婚」という枠におさまることができないタイプだったんだなと、今改めて思っているので。

紫原 なるほど。私は彼の自由さがうらやましいな、と思っていました。それでも、子供に申し訳ない気がして、羨ましいとは思わないようにしよう、と自分の感情と戦ってました。

LiLy  わかります。子供ができても仕事のペースを落とさずにいられる夫が「羨ましい」と私は口に出して言ってしまっていました……。

 

シングルマザーは意外にモテる

紫原  実は離婚前は、離婚すると「脛に傷を持って生きる」みたいな、なんとなく暗い感じを想像していました。でもシングルに戻って、自由になってみると、まったくそんなことはなくて。

LiLy これは本にも書いたのですが「子供もいるのに離婚してタイヘンだね」と言われたことが、男女問わず一度もないことに気づいてビックリした部分があって。住んでいる場所もあると思いますが、女性の経済的な自立が一部では既に浸透していますよね。「離婚が傷」と言われることはゼロで、どちらかといえば「もう子供もいるし余裕だね」という意見ばかり。私自身、二十代の頃からもし自分が妊娠しにくい体質だった場合を考えて養子縁組について調べるほどに、母親になることを熱望していたので、そこの部分に関して本当に同感です。

紫原  離婚して、もうひとつ意外だったのは、シングルマザーは思いのほかモテる、ってことですね。良くも悪くも、男の人から「この人には子供がいるし、結婚も迫ってこなさそう」だと安心されるんでしょうかね。

LiLy  母という存在が男の人の目には、こうも魅力的に映るものなの!? というのは私も目からウロコでした。

紫原 とくに私は18歳で結婚して家庭に入っていたこともあって、30歳になる少し前に初めて社会に出たとき、ろくに美人でもないのに女性というだけでこんなに優しくしてもらえるの? と、びっくりすることもありました。「あぁ、なんか楽しいなぁ」って穏やかな気持ちに(笑)。別居から離婚まで4年くらいかかったので、女性としての自尊心はすっかり折れていたんですけど、社会の中でずいぶん癒されました。

LiLy 母になり離婚を経てモテる、というのは一種のセラピーですよね。

紫原 そう、まさに。

LiLy 若いときの「モテる」とは感じ方が違って、じわじわ癒やされるんですよね。自尊心を立て直していけるというか、女としての自信を失っていたところに、キラキラしたものが染みていく感じ、というか。なんかもっと穏やかな気持ちで、わー、ありがとうね、って(笑)。

紫原 嬉しいよー、ありがとねーみたいな(笑)。優しい気持ちが満ちていきます。

LiLy ちなみに明子さんは、もう一度結婚したいと思いますか?

紫原 私は何度でも結婚したいですね、というより、大人の務めとして、結婚というものの価値を下げたいなと思っていて。「結婚しなきゃいけない」とか、「結婚していても幸せじゃない」とか、結婚に伴う苦痛を抱えてる人はとても多いと思います。単純に、多くの人がより幸せに生きられるために、「この前、離婚したんだ」「へー、そうなんだ」で済むような、結婚しやすく、離婚しやすい社会になればいいと考えてるんです。

LiLy  いいですね。結婚は、長過ぎる人生の中の“イベント”としてはアリですよね、“つき合う”のひとつ上に位置する男女関係程度のものになるなら、いいなと思います。昔から恋愛=結婚=永遠という夢を馬鹿真面目に描いていたタイプで、そもそも“人生をかけた契りを交わす社会的制度”みたいな結婚は信じていないので。

紫原 離婚したことで、子供たちには理想的な環境を提供できなかったけど、長い目で見ると彼らのような、親が離婚していたり、シングルマザー、シングルファーザーに育てられていたりする子供が珍しくない社会になったほうがいいな、って。そのためには、少しでも結婚をカジュアルにする方法はないか、と考えています。何をもって結婚というのかも考えなきゃだめですけど。振り返って思うのは、ひとりの男の人と強固なパートナーシップを築くのは大変だったな、ということです。

LiLy わかる〜。私、終わらない恋がほしかったんですよ。だから結婚したんですけど……。

紫原 終わらない恋、ほしい! 恋と生活はなかなか両立しないんですよね(笑)。

LiLy まさに。恋と生活は油と水ですものね。恋と愛ですら向かうベクトルは違うし、男と女としての関係と育児の両立に関していえば、至難の業が過ぎる(笑)。
 ノンビリとした愛だけがあれば良いと思えるくらい恋に疲れた時に結婚願望が強くなる、という流れってとてもリアルで。去年は不倫が世の中を騒がせていましたが、結婚生活に疲れてきた頃には、今度はまた恋が欲しくなるというのもまた、ひとつのリアルというか。そういう意味では「結婚」って、寿命はもちろん“男女としての寿命”も伸びた現代においては、制度そのものにわりと無理がある。
 私の場合は、離婚したといってもパパが子供たちの生活の中に毎日いて、共に育児をしているので、いわゆるシングルマザーという呼び名もまた違うのですが、籍を抜いて男女関係を法的にも解消したことは、私の中ではとても筋の通ったことだったと思っています。男と女の季節が過ぎ去っても良きパパとママでいられることは、子供たちのためにも自分たちのためにも悪いことであるはずがないので、時にこの関係は難しいけれど、そう信じてパパも私も頑張っています。
 離婚が不倫よりもNGだと思う人が多いから、不倫ばかりの世の中なんだと思いますが、私からしたら、不倫のほうがよっぽど離婚よりNGなのです。ウソという面で、どちらが家族への裏切りか、という価値観の問題なので否定はしませんが。


子供は母親の“女”な部分を見たくない

紫原 極端な話、今はシングルなのでたとえ私が恋愛しても何も問題ないんですが、一方で、子供がそれをどう受け止めるかということは気になります。子供は家庭の中だけじゃなく、社会の中で、その他大勢の人とも生きているわけで。親が個人としてどんな考え方を持っていても、彼らにそれを強いることで、傷つかないとは言い切れないですよね。離婚についても時間をかけて伝えて、今でこそ許容してくれるようにはなったけど、親の恋愛についてはさらにその次のステップだなと思います。子供って、親が恋愛するのはどうしてイヤなんでしょうね? 

LiLy  私は自分が子供の頃、両親の激しい夫婦喧嘩の火花を全身に浴びて育ったような感じだったんです。当時、毎日考えていました。どうして両親は、いつもはとてもまともで賢い人間なのに、男と女になった途端にあんなに幼稚に、馬鹿みたいになるんだろうって、ほんとうに疑問で。どうやったら男と女は上手に愛し合えるんだろうって、ずっと泣きながら考えていたような小学生時代で。と、同時に、早く私も自分の男と見つけて結婚してこの家を出たい、と考えていました。そんなこと誰にも話せないから、日記帳にそのことを綴っていて。そう考えると、私が恋愛エッセイでデビューしたのは、とても自然な流れなんです。

紫原 そうなんですね。そういう面では私の幼少期はLiLyさんとは全然違って、うちの両親は全く喧嘩をしなかったんです。だから、子供の前で親が泣いたり、夫婦喧嘩をしたり、というのはもってのほかだとすら思ってました。自分が結婚してみて、それがいかに難しいことかっていうこともよくわかったんですが(笑)。それでも、両親が私にしてくれたように、子供たちに安定した生活環境を提供するのが親としての役目、というのは変わらない思いとしてあります。

LiLy  当時の両親は、今の私と同じ30代。あの頃は、いい年してなんなのこの人たち、もっと枯れてくれよ、と思っていましたが(笑)、今思えば、あたりまえに現役の男と女なわけです。そして、子供の前でも抑えきれないくらいに激しい喧嘩をしていたふたりは、今は60代ですごくすごく仲良くて。あ、もちろん現役で激しい喧嘩はしていますが(笑)。
 そう考えると、私の結婚の失敗のひとつは、子供の前で「女」である自分を、得意の百かゼロか、でゼロにしてしまったところがあったと思う。母親の「女」の顔をみるのが子供の頃すごくイヤだったという記憶から。

紫原 なるほど。反面教師になってしまったんですね。

LiLy でも、両親の喧嘩が私を物書きにしてくれたうえに、今もふたりは仲良いんですよね(笑)。だから、どちらが正解なのかはわかりません。正解なんて、ないのかもしれません。ただ、今でも、自分の中に刷り込まれた「理想の母親像」との葛藤はすごくあって。

 私は、いわゆる「お母さんの仕事」とされる「家事」も「料理」もすごく苦手なこともあって、ただ「お母さんの仕事」という刷り込みの中には含まれていない,「仕事」はすごく得意で。でも「仕事」をしていると子供と一緒にいられる「時間」は減るわけで。
紫原 そうですよね。

LiLy そういう意味では、母親としての自信をなくすことの連続です。でも、それでも、「愛情」だけは、惜しみなくと思っていて。毎日口に出して「愛してる、大事だよ、大好きだよ」って伝えていて。ダメなところを挙げたら切りがないけれど、そんなふうに自己ベストで頑張ってるんだから、私はこれでいいんだ! って自分に優しく声をかけてあげることにしています。

 「お母さんがハッピーなら子供は幸せ」とはよく言いますし、ほんとうにそうなのですが、その肝心な「お母さんとしての自分を肯定すること」って、「お母さん像」の刷り込みがある故に、実は一番くらいにタイヘンなことで。
 みんな、ギリギリですよね、それでも、自己肯定を死守するように心がけています。
(後編につづく。公開は1月18日の予定です)

***

<お知らせ>
1月13日 19時半~
「子どもに誰が・いつ・どう性を伝えるか」トークショー
~SmartNews ATLAS Program「社会の子ども」vol.2~

「社会の子ども」はSmartNews ATLAS Programがお贈りする、社会と子どもについて考えるための全3回の映画鑑賞会+トークショーです。
Vol.2の今回は「子どもと性について考える」というテーマで、「子どもに誰が・いつ・どう性を伝えるか」と題したトークショーを行います。

詳しくはこちらで。
 

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