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2017.01.06

なんだか面白いので、まだ続けるよエッセイ34

シンガーの僕が、ようやく漕ぎつけたライブツアーで、初日に失くしてしまった「大事なもの」ってな~んだ?

歌う旅人・香川 裕光

シンガーの僕が、ようやく漕ぎつけたライブツアーで、初日に失くしてしまった「大事なもの」ってな~んだ?

シンガーだもん。ずっと、ライブツアーは夢だった。
YouTubeで必死になって、毎日新しい動画を撮っては流し、少しずつ名前も音楽も知ってもらって、ようやく初のツアーに漕ぎつけたのだけど・・・・・・。やっぱり災難。
今年も笑わせていただきます!

*   *   *

エッセイ
鍵穴

 新年明けましておめでとうございます。いやはや、めでたい。あっという間に1年が過ぎ去ってしまった。
 ちょうど1年前、僕はテレビの中で歌わせていただいた。そこでなんとグランプリをいただいたのだ。そのおかげで、2016年は本当にたくさんの縁を頂いた。自分のCDが全国流通の翼に乗り、たくさんの人に届いた。憧れだった「TVの音楽番組」にも出演できた。バンドメンバーと共にハワイまで行って歌った。それまでの活動とは比べものにならない密度で歌わせていただいた1年となったのである。
 様々な縁やその恩恵の中で、この”幻冬舎plus”なんて大きなサイトの中でもエッセイの連載をさせて頂けているのだ。
 ライブツアーをこなしなからレコーディング、作曲にラジオ出演に……とバタバタしていると、曜日感覚を忘れ、締め切りを逃し、気付いた時は幻冬舎さんが年末休みに入っていたなんてことも仕方ないことだ。
 自然の摂理だ。大自然の前では、人間なんて儚いものなのである。ごめんなさい。反省してます。

 ちなみに、年越しは地元で盛大にカウントダウンライブをさせていただいた。
 真冬に野外で、寒さを堪えながら年を越すという我慢大会みたいなカウントダウンだ。
 初めてだったこともあり、タイムキーパーとの連携がうまくとれず、
「さぁ、2017年まであと何分かな? …ん!? あと数秒? ……え…? もう年越えた…?」
「はっぴーにゅーいやー?」
 ――という感じで、普通に失敗した。

 同じくエッセイも、クリスマスネタからヌルっとお正月を迎えてしまった。
 なにはともあれ、 2017年もよろしくである。

 新年ということで、今回は、人生最初のライブツアーについて少し書こうと思う。
ギターを握ってステージに立ったことがある人間なら、誰しもが1度くらい「ライブツアー」に憧れるんじゃないだろうか。楽器や荷物をバンに積み込んで、仲間たちと笑い合いながら、旅をする。旅先では自分を待ってくれているオーディエンス。鳴り止まない歓声。ご当地の美味しいものやお酒で打ち上げをして、また次の街へと旅立つのだ。
 僕もまた、その憧れを抱いた一人だった。
 学生時代に浜田省吾の「演奏旅行」という曲を聴いてからというもの、僕はずっとライブツアーに憧れていたのだ。
 しかしそう簡単に実現できるものではない。ライブツアーをするためには、”お客さん”が必要なのだ。
 自分の知らない街へ行くと、当然ながら自分のことを知っている人なんて存在しない。名前も知らない人のライブチケットを買ってくれる物好きなんて、そうはいないだろう。
 そんなわけで、そう簡単にライブツアーはできないのである。
 でも「ライブツアーしたい!」という想いは鳴り止まない。どうしよう。
 悩んだ結果、
「そうだ! YouTubeに動画をあげて宣伝しよう!」
 となったのである。
 とりあえずむしゃらに動画をアップロードしてみた。
 自分が得意な曲や、懐かしの名曲、流行りのドラマの主題歌とか、とにかく検索にヒットしそうな曲の弾き語り動画をアップした。
 たくさんの人に日課としてみてもらえるように、”毎日21時にアップ”を掲げて、毎日、独りカメラの前で歌った。
 映像にもこだわって、少し高級なカメラと、映画のように背景がボケる単焦点のレンズまで購入した。
 最初は特に反響もなかったが、少しづつ少しづつ応援してくれる人が増え、気づけば僕のチャンネル登録者は5000 人を突破し、ネット販売していたアルバムも300枚くらい注文をもらった。  
 どの県で何枚くらいCDが売れたのかを自分でチェックしながら、
「これなら、そろそろライブツアーに行けるのでは!?」
 と胸が高鳴った。

 仲間達と一緒に、安く借りられる箱(ライブハウス)や、安ホテルを探して、旅のスケジュールを決めて、ネットで宣伝して、夢を実現する準備をした。

 そして3年前の春、僕はようやく生まれて、初めての”ライブツアー”に出発したのだ。
もちろん、メジャーなアーティストがやっているようなそれとは縁遠い。各地の小さなライブバーや、路上で歌ってまわるような、しょーもないものだった。
 それでも広島を出て、仲間達と一緒に各地を巡り、自分の知らない街で歌うのだ。決して多くはないけれど、ちゃんとチケットを買ってくれるお客さんがいて、自分のことを待ってくれている。僕は初めて「歌うたい」になれた気がした。
 ギャラより交通費や経費の方がかかるし、おそらく、お先まっ暗な旅。
 しかし、ちゃんと”行き先”を持って我々は出発した。ボロの軽バンに楽器も荷物もパンパンに詰め込んで、高鳴る胸に耳を澄ませて。
 カーラジオの音も、まだ少し冷たい風の音も、頼りないエンジン音も、笑い声も、すべて歌のように聞こえた。
 最初の街でささやかなライブをしたあとは、ギャラを全部、打ち上げに使った。
 知人の家に数人で押しかけて宿代を浮かし、笑いながら夜通しくだらない夢の話をした。
 どうしようもなく、楽しかった。

 そして朝がきた。旅路の朝だ。気持ちがいい。
 さぁ、次の街へ向かわなければ。
 そしてとんでもないことに気がついたのである。

 車の鍵穴が、なんかぶっ壊れとる……。
 旅の足であるツアーバンの鍵穴がボッコリ外されて、閉めたはずの鍵が開いている……。

 なんと我々は、ツアー早々、”車上荒らし”の被害にあったのだ。

 車の中には、楽器や大きな荷物は残し、貴重品だけもって宿泊をしていた。
「ええーーー!! モンゴルじゃあるまいし!!(※バックナンバー参照)」
 人通りの少ないコインパーキングにひと晩駐車したら……。
「やられた!!」
 慌てて荷物を確認すると、幸い楽器や機材は無事だった。
 しかし何か違和感がある。

 僕のバッグがない。着替え(下着)を入れてたバッグがない……。

 ということで、まだ先の長い旅の2日目にして、替えのパンツをすべて失ってしまったのだった。
 この先どうすればいいんだ……。万が一、オネショでもしようものなら大変だ(買えよ)。
 しかし、犯人はなぜ高価な楽器ではなく、僕のパンツを狙ったのか、未だ事件は迷宮入りだ。

 そして、パンツを新しく買い直すと、僕は旅を再開した。
 結果、一生忘れられない旅となった。
 以来、何故か、ライブツアーのたびに新しいパンツを買って旅に出る癖がついた。
 今年も、たくさんパンツを買おうと思う。

   *   *   *
 どんなときも、おかしなトラブルに巻き込まれる香川さん。今年はどんな年になるでしょう!!?
本年も、音楽はもちろん、こちらの連載もご注目ください。

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