伊豆天城山で女たちの駆け込み寺「サンガ天城」を運営し、たくさんの悩める女性を救ってきた尼僧・戸澤宗充さん。著書『すべてを喜びとする。駆け込み寺庵主の「引き寄せ」問答』より、頑張ってるあなたの小さなモヤモヤをすっきり解消する問答をお届けします。


「会社を辞めたい」という悩みも、とても多いです。「どうして?」と聞いても、大したことじゃないんです。仕事がつまらないとか、給料が安いとか。
「あなたのような悩み、みんな持ってるのよ。あなただけじゃないのよ」と言いますけれど、愚痴を言うだけですっきりすることもありますからね。私は、うなずいたり、お説教したりしながら、愚痴を聞いています。

 色々な相談を受けるのは、正直申し上げて、ものすごくしんどいです。特に天城は、四六時中誰かの相手をしないといけませんからね。でも、それは私の仕事だから、「しんどい」とは言っていられません。だって、私のひと言でその人の人生が変わるかもしれないじゃないですか。どうしたらこの人は幸せになれるのかなと、いつも考えていないといけない立場ですからね。「面倒くさい」とか「煩わしい」とか思うことはありません。

 自殺未遂をした女性を見舞いに病院へ行ったとき、精神科医から「あなたはご家族の方ですか」と聞かれ、サンガ天城のことを話しました。すると、大変驚いた様子で「精神科医はもう手一杯で、医者が薬を飲んでいるような状態です。今こそ宗教者が病める人々のために働くときです」と言われました。

 精神科には次から次に患者が訪れ、医者がゆっくり話を聞けないのが現状です。私には、精神科医のような専門知識はありませんが、ゆっくり話をする時間はあります。そして、『法華経』、お題目という良薬を差し出すことができます。
相手と対話し、内面を見つめ、肌で感じ、心を動かすような言葉をかけること。それが私の務めだと思っています。それによって下を向いてうずくまっていた女性たちが、前を見て歩いていく姿を見られることは、私にとって大きな喜びです。

 不平不満は、言い出したらきりがありません。何事も、求めすぎないことが大切だと思います。イヤな人間はどこにだっていますから、イヤな人間に「いい人」を求めるのはやめましょう。人はなんでも言いたがりますから、たとえ陰口をたたかれたって、いちいち心を引きずられずに、受け流す訓練をするしかありません。給料が安いのが不満なら、もっと働きましょう。そうしないというのであれば、結局足りているということでしょう。

「少欲知足(しようよくちそく)」の欲望を少なくして満足することを覚えれば、心が豊かになります。もちろん、「もっと出世したい」とか「もっと美しくなりたい」とか、欲を持つことによって努力できることもあります。けれども、そればかりの人生では、心が疲弊してしまいます。心の渇きを止めるには、水を与えなくてはなりません。まずは今日までの自分が、手にしてきたものを認めてあげてください。集めた種にしっかり水をあげるのです。そうすれば、きっと美しい花が咲き、あなたの人生を彩ってくれることでしょう。

今日までの自分が
手にしてきたものを
認めてあげてください。

小さな幸せも、集めれば大きくなる。
それはまるでブーケのように、
人生を美しく彩る。

 

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