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2017.01.09

第200回

おしるこ→カレー

益田 ミリ

おしるこ→カレー

 クリスマスの夜に映画を観に行った。映画の前の早めの「ディナー」はカレーだった。カレーを食べて、映画を見る。いい感じのクリスマスである。
 カレーの前には、おしるこを食べに行った。クリスマスケーキの代わり、と思って食べるおしるこもまたいい感じだった。ちなみに、とらや、のおしるこである。
 老舗のカレー屋は雑居ビルの2階にあった。
「クリスマスだし、なんかおいしいもの食べたいねぇ」
 じゃあ、やっぱりいつものカレー屋だわな。辛い、辛いと汗を拭きつつうちの彼と食べていたら、家族連れが入ってきてギョッとした。「空いてますか?」とお父さん。連れているのは幼稚園から小学校まで、男の子の三兄弟。店の人は大慌て。「うちのカレー、かなり辛いです」。そう、わたしがギョッとしたのも、「こんな小さい子たちも、ここの常連なんだ!」という驚きである。しかし、どうやら子供用のカレーがあると見込んで入ってきたようで、ないとわかると残念そうに帰って行った。 
「また大きくなったら食べにきてね!」 
 お店の人が明るく言っていたのが、なんだかよかった。
 観た映画は『14の夜』。実は前日のクリスマスイブが公開初日で、行ったらすでに立ち見のチケットしかなかったので、翌日のクリスマスにリベンジしたのだった。
 14歳の男の子たちの夏休みの物語、というだけで甘酸っぱく、クリスマスにはなんの関係もないけれど、楽しみにしていたのである。
 一度でいいからオッパイを揉んでみたくて、都市伝説に振り回されつつ、夏の夜、オッパイのためだけに14歳の少年が全速力で走るシーンに、胸がじーんと熱くなった。
 エンドロールが流れ、明かりが灯った。いい映画だったなぁと立ち上がりかけたとき、サプライズで監督の舞台挨拶があった。
「クリスマスの夜に、この映画を観てくれてありがとうございます」
 というセリフに、笑いが起った。 

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