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2016.12.12

自分を客観的に見る訓練は、脳の老化を食い止める

奥村 歩

自分を客観的に見る訓練は、脳の老化を食い止める

「あれ? いま何をしにここに来たんだっけ?」
「あの同僚の名前……顔は思い浮かぶのに名前が出てこない」
「最近、デパートの駐車場でどこに車を停めたかすぐ忘れてしまう」

……よくありがちなこういった「もの忘れ」。働き盛りの30代、40代の人にも心当たりがある方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。
じつはこの「もの忘れ」は、放置しているとうつ病や認知症へとつながっていく、危険を知らせる大事なサインなのです。
これまで10万人以上の脳を診断し、「もの忘れ外来」を開院されている奥村歩先生の新刊『脳の老化を99%遅らせる方法』では、この「もの忘れ」の意外なカラクリと、すぐに実践できる対処法がわかりやすく解説されています。
本連載では、そのエッセンスを「試し読み」の形でお届けします。

 

 

 

今回からは、「つながりのいい脳をつくるために必要な"5つの処方箋"」について、詳しくご説明をしていきたいと思います。

具体的にどんなことを生活習慣として取り入れるとよいかについても、いくつかご紹介しますので、参考になさってみてください。

 

処方箋 1
自分の脳が悪いほうへ傾くときのパターンを把握しておく

 

体に調子がいいときと悪いときの波があるように、脳にも好不調の波はあります。

ただ、ここで大事なのは、どんなに調子が悪い日が続いても、深みにハマらないようにしておくこと。不調が続いて迷路の奥深くにハマりそうになったときに、悪い流れから抜け出せる態勢をつくっておくことが肝心なのです。

私は、うつ病の人をはじめ、心が迷路にハマってしまった患者さんを数えきれないほど診てきましたが、ほとんどの患者さんは「いったいどうして自分がこんなに追いつめられてしまったのか」の原因がわかっていません。どの人も日々目の前のことに振り回されているうちに疲れをため込んでいき、知らず知らずのうちに袋小路へと追い込まれてしまっていたわけです。

しかし、悪いほうへ傾いていくとき、わたしたちの脳や体は、必ず「気をつけておかないと、このままじゃマズイぞ」という信号を出しているものなのです。

そもそも、ある程度の年齢になり、幾度となく不調や失敗を重ねていれば、そういう”悪いほうへ傾きそうなパターンのときの感覚”が記憶にしみ込んでいるもの。自分の置かれた状況を察知して、自分の行動に注意を払ったりセーブをかけたりして修正していく力が求められるわけです。

こうした信号は、体に現われる場合もあります。脳過労やうつ病に陥りそうになると、しばしば、頭痛、めまい、肩こり、腰痛、冷え、不眠、疲労感といった身体症状が現われるのです。

私は、こんなふうに”悪いパターンにハマりそうになったときに、なんとか自分を修正していこうとする意識”を持っているだけでも、脳のコンディション維持には非常に大きなプラスになると考えています。

普段から自分の脳が悪い方向へ傾くときのパターンをしっかり把握して、悪い流れからできるだけ早く抜け出せるようにしておきましょう。

 

 

処方箋 1 のニューロビクス
“自分の不調を客観的に捉えるメソッド”にトライしてみよう

※『ニューロビクス』とは、アメリカの研究者がつくった造語。ニューロン(脳神経細胞)とエアロビクスを足してつくった言葉で、脳を鍛える健康習慣を指しています。

 

脳の調子をキープするには、自分の調子が悪い方向に傾いてきたときに、その状況を”わかっている”ことがたいへん重要になります。ここでは、自分の脳の調子を客観的に捉えるためのニューロビクスをご紹介しましょう。

 

●ストレスや悩みを”大””中””小”に仕分けする

脳が過労によって不調になってくると、ストレスや悩みに解決の優先順位をつけられなくなる傾向があります。”目の前の小さな問題”も”人生に関わるような大問題”も、すべてを並列で捉えてしまい、どれも自分にとって”重要なもの”に思えてくるのです。

ですから、普段から、ストレスや悩みなどの”自分の頭の中の懸案事項”を”大””中””小”に仕分けする習慣をつけておくといいのです。おそらく、このように問題を整理すると、日頃の自分がいかにつまらないことや小さなことに振り回されているかが客観的に見えてくるはず。

このように、日々自分がどういう問題にストレスを感じ、何に追いつめられているのかを”わかっている”ことが大切なのです。

なお、この”仕分け習慣”を身につけると、仕事や作業の優先順位も見えるようになるため、もの忘れやうっかりミスを減らすことにつながります。

 

●『FOMO』(取り残され不安)を解消する

脳の調子を落とさないためには、氾濫する情報に振り回されないことが大切。しかしながら、現代では、情報を見逃したり情報から取り残されたりすることに不安を覚える人が増えてきています。

こうした人はアメリカでは『FOMO(Fear of Missing Out)』と呼ばれています。これは”見逃し不安””取り残され不安”という意味です。この『FOMO』になると、大切なメールや重要な情報を見逃してしまうのではないかという不安を募らせて、スマホやパソコンを頻繁にチェックせずにはいられなくなります。

そして、近年、脳過労やうつ病で脳のコンディションを悪くする人には、『FOMO』傾向の強い人がたいへん増えているのです。おそらく、日々忙しく情報に追われ、時間に追われるうちに、「早く情報をチェックしないと乗り遅れてしまう」といった強迫観念をふくらませてしまうのでしょう。自分でも気づかないうちに『FOMO』になっている人もたくさんいます。

ですから、脳過労やうつ病の深みにハマるのを避けるには、普段から情報とうまく距離をとって、『FOMO』を未然に防がなくてはなりません。

『FOMO』の予防には、まず、しょせんすべての情報なんてつかみきれないんだ」「自分が本当に求めている情報は、ほんのごくわずかなんだ」ということに気づく必要があります。そのうえで、たとえば、「メールチェックは朝晩1回ずつにする」とか、「ネットサーフィンは30分以内にする」などのように、自分なりのルールを決めて取り組んでいくのがおすすめです。

 

●”自分がコントロールできないこと”では悩まない

脳の疲労やストレスを減らすには、自分を悩ませている問題が”自分にコントロールできること”なのか、それとも”自分にコントロールできないことなのか”をきっちり見極めることが大切です。

たとえば、他人の言動は、自分にはコントロールできません。ところが、最近はSNSを利用する人が増え、そこにアップされる他人の言葉を気にする人がたいへん増えています。自分が他人にどう受け止められているのかの評判や評価をうかがい、ときに他人の書き込みに深く傷つけられて、脳を疲弊させてしまうわけです。

しかし、”しょせん自分でコントロールできないもの”にいちいち心を乱されていたら身が持ちません。私は、脳の健康をキープするためにも、SNSの書き込みには気を取られないようにすべきだと思います。

現代では”自分にコントロールできないこと”に振り回されて、脳過労やうつ病になる人も少なくありません。みなさんも、目の前の問題が”自分にコントロールできることか、できないことか”をしっかり見極めつつ、いたずらに悩みを深めないように注意しましょう。

 

●ごく簡単な”行動日記”をつける

自分の調子を客観的に把握するために、ぜひ身につけていただきたいのが”日記をつける習慣”です。

日記と言っても、ごく簡単なものでOK。その日1日の出来事や行動、感じたこと、体調の変化などを2~3行で記すだけでいいのです。うまく書く必要もないし、長い文にする必要もありません。

この行動日記は、極端に言えば、文章なんてどうだっていいのです。それよりも、”今日の自分のポイント”を振り返って記録し続けることが重要なのです。

1日1日どんなことがあったかを日記につけ続けていると、だんだん自分の好不調のパターンが見えてくるようになります。たとえば、「いつも連休明けは調子が出ない」とか「天気が悪い日は体の調子がよくない」などといったパターンです。

すると、自分の調子が悪いほうへ傾いてきたときに、その兆候に気づきやすくなり、スランプや迷路にハマるのを防いでくれるわけですね。

また、1日1日、日記をつけて自分の行動を振り返っていると、自然に”自分のこと”をいろいろな角度からチェックするようになります。これにより、”自分モニタリング機能”であるデフォルトモード・ネットワークが活性化して、脳回路にもろもろのよい影響を与えるようになっていくのです。

ですから、みなさんも行動日記をスタートしてみてください。その日記は、きっと脳をよりよい方向に成長させるうえで、大いに役立つことでしょう。

 

 

次回は「ぼんやり上手」になるためのニューロビクスをご紹介します。12月16日更新です。お楽しみに。

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