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2016.11.26

第29回

フォークデュオが楽しく有効な理由

コミック:たかしま てつを/文:納富 廉邦

フォークデュオが楽しく有効な理由

ギターが有り難いのは、これ一台でリズム楽器にもメロディ楽器にもなるところだ。ライブなんかで大きな顔して弾いていられるのは、偏に、このどういう状態でもメインを張れる万能性にある。そして、この万能な楽器が二台あれば、もうほとんどバンドのようなものが出来上がるのだ。だって、リズム楽器とメロディ楽器があって、低音も高音も出るのだから。アリスが、あみんが、風が、ポカスカジャンが、彼らだけでちゃんと音楽になるのは、ギターが二本いるからなのだ。

一人で弾き語りというのも、もちろん悪くない。しかし、一人だと音の厚みが出ないというか、歌いながらだと難しいことできないというか、まあ、色々あって、結局、コードを鳴らしながら歌うことになって、それはそれで楽しいけれど、やっぱり飽きる。何か、こう、もっと音楽っぽいことがしたいと思った時、そりゃ、上手ければ押尾コータローのような、荒木真樹彦のような、リズムとメロディが渾然一体となったようなプレイだって出来るかも知れないが、そんなものが出来るわけもない。そういう時、もう一人いたら、それだけで、どうにかなるのだ。

例えば、RCサクセションの「スローバラード」を二人で弾いてみる。片方が、「タンタンタンタンタンタン」とコードをアルペジオで弾き、もう一人が「チャンチャチャンチャチャンチャチャン」とピアノのあのフレーズを弾けば、ほら、それはもう「スローバラード」だ。かぐや姫の「神田川」なら、一人がアルペジオ、もう一人がイントロやら間奏で、あのバイオリンのフレーズを弾くと、やたらと趣が出る。余談だが、「神田川」のレコードでバイオリンを弾いているのはムーンライダーズの武川雅寛氏だ。

コツは、当たり前だが二人が違うことをやるということ。一人がアルペジオなら、もう一人はコードストローク、一人が普通にコードを弾いて、もう一人パワーコードとか。それこそ、一人がコード、もう一人がベースということにすれば、あの面倒くさい分数コード、Am/G、とかいうあれ、コード弾く方はAm弾いて、ベース担当がGを単音で弾けば、キレイに分数コードの響きになる。楽が出来てカッコいいのだから、二人の力は偉大だ。二人で一人、バロロームである。どちらかがアコースティックギターやウクレレを弾いて、もう一人がエレキギターという感じで楽器を変えても面白い。カラオケでハモると楽しいのと同じような気持ちよさなのだ。しかも、ハモる時みたいに、相手に釣られることが少ない。これは、輪唱は簡単だけど合唱は釣られるのと同じようなことかな。とはいえ、フォークやるならハモらなければならない。そう、フォークデュオをやる際の、最も高いハードルはギターではなく、ハモることかもしれない。しかし、ハモりは昭和フォークの醍醐味でもあるのだ。逃げるわけにはいかないだろう。学校で習ったはずの「翼をください」とか、比較的簡単な「22才の別れ」あたりから練習すると良いかも知れない。

バンドをやる前哨戦というか、練習というか、入り口としてフォークデュオが良いのは、スタジオに行かなくても出来るということもある。自宅や友達の家でできるのだ。ギターと、エレキギター用の小さなアンプを持っていけば、それでオッケー。小さなアンプで休日の午後あたりで弾くなら、ギター二本なんて、ピアノの練習とさして音量は変わらないのだ。もっとも、ピアノを弾いているのは深窓の令嬢かもしれないが、こっちはくたびれたおっさん二人だったりするが、見えないのだから気にするな。マイクなし歌って相手の声が聴こえるくらいにしかギターの音量も上げないのだから、昼間なら問題ないのだ。近所から苦情が来たら、すぐやめれば良い。大人なんだから。で、相手の家とか河原とか行くのだ。小っちゃいアンプは電池駆動だから平気だ。

フォークデュオやるなら、小型のアコースティックギターとフェルナンデスのアンプ内蔵ギター「Zo-3」でやるのも楽しい。何せ、ケーブル要らず。ギターも小さくて大きな音が出ないから、休日の趣味にぴったりだ。持ち込み自由のカラオケ屋なんかに行くのもいい。その気になればストリートミュージシャンにだってなれる(ハードル高いけどねー)。もはや、日曜はゴルフバッグ抱えて出掛けるのではなく、ギターを抱えて友達の家に遊びに行く時代なのだ。高校時代を思い出せ。その際、相手の家の奥さんや子どもたちへの手土産は忘れずに。そこが、学生時代とは違う、大人の嗜みなのだ。あと、酒も一本も下げて行くのも良いだろう。飲みながらギター弾けるのも、友人宅フォークデュオ・セッションの楽しみ。

二人いれば、フォークも出来るけれど、ギターソロの練習もできる。片方がコードを弾いて、それに合わせてソロの練習、これを交互にやれば、それはもう立派なギターセッション。そのままオリジナル曲の制作になだれ込んでも良いし、ギター二本でハモる、いわゆる「ツインリード」の練習をするのもいいだろう。ツインリードの練習に最適なのは、何といっても、KISSの「デトロイト・ロックシティ」だろう。キッスの曲は、アコースティックギターで弾いても、ロックっぽくなりやすいので、フォークデュオの練習の合間に気分転換に弾くのに最適なのだ。あの名曲「ロックンロール・オールナイト」なんて、コードをジャカジャカ弾くだけで、カッコ良く聴こえるのだから、彼らのソングライティングとアレンジの力は物凄いと思う。

フォークデュオの最大の味方は、この連載でも紹介した、「うた本」だ。往年のヒット曲の歌詞とコードが延々と書いてある、あれをお互いに持って、「あ、中島みゆきの『わかれうた』、やってみよう」とか、「ダウンタウン・ブギウギ・バンドの『港のヨーコ・ヨコハマヨコスカ』って弾けるかな」とか、「さだまさしの『檸檬』好きだったなー」とか言いながら、弾いて歌って、ちょっとアレンジ考えたりして、「そういえば、イントロ、こんなだったよね」とか言いながら、カラオケでは照れて歌えないような曲や、すっかり忘れていたけれど、中学生のころ、こっそりと周囲に内緒で聴いていた曲なんかを、ギターの練習だという言い訳と、「懐かしいねえ」という魔法の呪文で振り切って、楽しく合奏するのが、本当に楽しいのだ。

 

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