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2016.12.01

いばってる人はリーダーになれない

安達 晴彦

いばってる人はリーダーになれない<br />

京都を中心に携帯電話ショップ等を展開するテレアースジャパン。万年最下位のとある店舗が、わずか2ヵ月で首位になった理由は、なんと朝礼でした。

ただ参加するのではなく確実に成果を出すための朝礼の考え方から、人財育成・採用活動・地域密着ビジネスの真髄まで、チーム力を強くするためのメソッドがつまった書籍『朝礼ざんまい 人財が育つ、成果が上がる』より、リーダーもスタッフもお客様も幸せになる働き方を紹介いたします。

現在、本気で社長修業中!


 私が父親の会社(安達住設)に入ったのは、1992年。27歳の時です。それから19年。専務取締役を経て代表取締役になったのは2011年、46歳。
 代表者になった年齢は決して早いとは言えませんが、19年間、経営実務の実質的責任者として、役割を担ってきました。

 これまでに色々な経営者、後継経営者とのご縁を頂いて参りましたが、僭越(せんえつ)ながら周りには私の理想とする経営者はいません。
 もちろん私自身も到底、理想の社長とは言えません。
 それどころかある意味、スタッフ(後述しますが、当社では社員と呼ばずスタッフと読んでいます)には申し訳ないのですが、自分を社長であると思ったことは一度もないのです。
 正直に言えば、代表取締役という立場を与えて頂いて、修業させてもらっていると思っています。

 理想とする社長がいない以上、自分自身で追求していかないといけないのですが、こんな社長にはなりたくない、カッコ悪いという社長像はあります。
 それは社内では「俺は社長だ」とふんぞり返り、社員に対して人格を軽視し、まるでモノでも扱うようにり指示したり、言いつけたりし、対外的にも偉そうにする社長です。

 そんな社長にだけは、なりたくありません。
 極端な例かも知れませんが、私の知っている社長で、とにかく負けず嫌い、しかし臆病で、ゴルフに行く時には、自分の乗る車の前後にまるで護衛のように車を伴走させ、遠くで雷鳴が聞こえただけで、雷が近づく様子もないのに、メンバーのことも気にせず、プレイを中断する。お風呂に入る時は自分の服を下着まで社員、それも部長クラスの人に脱がさせ、風呂場では体を洗い流させるような社長がいました。

 まるで社員は召し使いです。
 社長のこの姿を見れば、私でなくても多くの人が眉(まゆ)をひそめて、不快に思うことでしょう。
 一緒にいることが本当に恥ずかしかったです。
 社員は召し使いではありませんし、「人材」と書くような材料でもなければ、コマでもありません。
 経営において、会社運営において、とても大切な財(たから)ですから「人財」です。

 私が5年前に代表取締役になってすぐ、初めて融資申込の書類にサインをしなければならなかった時は、正直、緊張して手が上手く動きませんでした。
 もちろん、個人で弁済できるような金額ではありません。
 専務という立場とは雲泥の差です。しかもオーナー会社です。
 代表取締役という立場の責任の重さをリアルに感じた最初の瞬間でした。

 世の中には「ウチの社員は」とか「景気さえ上向けば」と愚痴をこぼす社長はたくさんいます。
 また逆に業績が良ければ「俺はすごい」と言わんばかりに、偉そうにする社長もたくさんいます。
 どちらもピンときません。正直、カッコ悪いと思います。

 私が生まれ育った京都府京丹後(きょうたんご)市は昔はそれはそれは丹後ちりめんで栄えた地方ですが、今では見る影もありません。
 昔は一歩、外へ出れば機を織る音が聞こえたものですが、今では耳にすることはありません。
 素人目(しろうとめ)に見ても、洋服が多くなったこの時代、丹後ちりめんが今後もそのまま栄えるとは到底、思えなかったのに、次なる展開ができず、ほとんどの会社が廃業を余儀なくされました。

 それは丹後地域にとって、とても大きな損失になりました。
 それを間近で見てきたからこそ、私は柔軟な心を持って、今求められるものをビジネスとして取り入れようと考えました。

 新規事業への進出です。しかし、新規事業はたやすくできるものではありません。
 後で語りますがなかなか軌道に乗らず、無力感にさいなまれた時期もありました。
 しかし、それとてすべて代表取締役としての私の責任です。
 自分が経営する会社の全責任を誰でもない己が負う立場が代表取締役であり、そうあらねばならないと自分自身に常に言い聞かせています。


すべての責任は社長にある


 お恥ずかしい話ですが、先日、当社がマネジメント上で非常に大事にしている「全体朝礼」(本気の心の朝礼)に、2名が連絡なしに欠席するという事態が起こりました。
 全体朝礼の進行はマネージャーやスタッフに任せているのですが、最後に私に発言の場が与えられました。
「皆さん、改めましておはようございます。今日、何か連絡がなかったりとか、来られなかったスタッフがいたりとか、皆が気持ちよく朝礼ができなかったことはすべて私の責任です。
 昨日、室長と(京都府)北部の会議に行った時に、(同)南部の全体朝礼は今のままではダメだなという話をたまたましていました。
 この全体朝礼を、もっと盛り上げていかなければなりません。
 今日になるまでに電話でも、お店の中でも、『明日のスピーチ訓練、絶対、取ってこいよ』と背中を押すくらいの盛り上げ方をできなかったというのはすべて私のせいです。

 皆さんすみません。
 必ず次の全体朝礼からは本気でやります。
 仲間のために、この朝礼の大事さを伝えていきましょう。
 それがテレアースイズムなんです。
 我々は25周年を節目に、もっともっと進化しなければなりません。
 後々(あとあと)、この25周年があってよかったと言えるようにしましょう。
 よろしくお願いします」

 実はそれより数日前から、南部の全体朝礼を心配していました。参加メンバーは私の期待しているような緊張感、意識には到底、なっていないのではないかと。
 その時に私自身が何らかの手を打っていれば、欠席者は出なかったでしょうし、もっと緊張感のある中身の濃い全体朝礼になっていたはずと悔やまれました。
 「打つべき手を打っていなかった」ことはもちろんその1回だけではありません。
 「己の責任」と思った時には素直に謝ります。心底、謝ることで、二度と私が謝ることのないように手を打つという代表者としての責任意識が高まるからです。

 

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