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2016.11.19

第28回

練習スタジオは怖くない 後編

コミック:たかしま てつを/文:納富 廉邦

練習スタジオは怖くない 後編

初めてバンドを組んで、初めて練習スタジオに行ったのは、中学2年生の時だった。だから、その時、どう思ったか、正直あまり憶えていない。ただ、そこに行かないとバンドが出来ない、と思っていたから、怖いとか何とか考えている余裕さえなかったと思う。憶えているのは、スタジオ代が結構キツイと思ったことくらい。あと、バンドは音がデカイということ。そして、とにかく楽しかったこと。

大人になって、練習スタジオに行って驚くのは、メチャメチャ安上がりの娯楽だということ。大の大人が集まって、2時間、思いっきり楽しんで、一人2000円でお釣りが来たりするのだ。なんだ、そのコストパフォーマンスの良さは。その後居酒屋行って飯食って飲んで、5時間ちかく遊んでるのに、5000円くらいで済んでしまう。本当にビックリするほど安上がりなのだ。まあ、中高生に2000円はきついから、当時は高く感じたけれど大人になった今では、あまりにもリーズナブルな趣味と言ってもいいだろう。

その楽しい大人の遊びの第一歩こそ、練習スタジオの攻略だ。初めて一人で外食した時、初めて一人暮らしを始めた時、初めて一人で泌尿皮膚科に行った時、初めて古本屋に本を売りに行った時、そういった、沢山の初めてを経験してきた大人にとって、スタジオに行くなんて楽勝、などと、自分を叱咤激励し、手のひらにスタジオと書いて何度も飲んで、水を入れたコップの反対側から水を飲んで、前を向いて、ギターを背負って、電車に乗る時にヘッド部分がドアの上部に引っ掛からないようにちょっと屈んで、車内では自分の前に立てて置いて(この時、ギグバッグのヘッド下部分にハンドルが付いていると、その有り難さに感動する)、スタジオまで、せっせとギターを抱えて歩くのだ。

持って行くのは、ギターの他、ケーブル、チューナー、ピック、iPad的なもの(楽譜代わりね)、弾きたい曲を入れたiPhone的なもの、といったところ。あと、使いたいエフェクターがあるなら持って行く。ケーブルやらエフェクターやらは、忘れたらスタジオで借りればオッケー。お茶とかビールとか買って持ち込むとリラックスできて良いと思う。ほとんどのスタジオは食べるのはダメだが飲み物はオッケーなのだ。水分補給は重要だし。雨さえ降らなければギターを持っての移動は、それほど大変ではない。小柄な女の子でも普通にギター背負って歩いているのだ。偶に、近所の人に「何ですか、それ、ギターですか?」とか聞かれることがあるけど、「はい、ちょっと弾くんですよー」とか笑顔で答えて切り抜けよう。

スタジオに着いたら、まず受付のお兄さん(大体、お兄さんだ。時々おじさん、時々おねえさん)に「○○時に予約した××です」と告げる。初めての場合、会員になるための手続きが必要な場合があるが、書いたり、お金払ったりは練習の後で行うことがほとんど。ここではマイクが要るかとか聞かれるので、とりあえず要らないと言って、いよいよスタジオの中に入る(マイクのセッティングは結構面倒なので、慣れてからにしとこう)。そこからは、もう、自分だけになる。しっかりとドアを閉めれば、音もほとんど外には漏れない(ちょっとは聴こえるけど、そんなの気にしている人はいない。凄い上手かったら「おっ」と思う程度)。

さて、ここからが問題だ。初めてギターを大きなアンプに繋ぐのだ。まず、ギターをケースから出して、スタジオ内に置いてあるギタースタンドに立てる。続いて、アンプの背面を見て、電源コードが繋がっているかを見る。繋がってなければ、コンセントを電源に繋ごう。そして、アンプのインプットにケーブルを繋ぐ。しかし、時々、複数のインプットがあるアンプもあるから面倒くさい。とにかく、INPUTと書いてある差し込み口を探す。マーシャルと書いてあるアンプだと、大体右端に、フェンダーと書いてあるアンプだと左端にあることが多い。複数INPUTがあったら、1、HIGH、などと書いてある方に差し込もう。そして、ギターのボリュームがゼロになっていることを確認して、電源スイッチをオン。もし、スタンバイと書かれたスイッチがある場合、電源スイッチを入れてから30くらい数えてからスタンバイスイッチをオン。フェンダーと書かれたアンプの場合、電源スイッチが裏側にあることもあるので、POWERと書かれたスイッチが見当たらなかったら、裏も見てみよう。

これで、アンプのボリュームとギターのボリュームを上げれば、音が出るのだけど、ギターアンプは、何だか沢山つまみがあって難しい。まず、アンプをじっくり見て、「VOLUME」つまみを探す。続いて、トレブル、ミドル、ベースと書かれたつまみを探して、全部を12時の位置にセット。VOLUMEをやはり12時にしたら、ギターのボリュームを少し上げて、ジャラーンと弾いてみる。音が出ればセッティングはオッケー。ギターのボリュームを上げて、好みの音量にしてみよう。かなり大きい音にしても構わないのがスタジオの楽しさ。ハウリングを起こさない程度に、ギターのボリュームを上げる。もし、音を歪ませたかったら、アンプのゲインと書かれたつまみやディストーションと書かれたつまみを少し上げてみる。または、ディストーションやオーバードライブといったエフェクターを繋ぐのだが、エフェクターの話は、別の機会にゆっくり。ここでは、まず、クリアな音で弾いてみよう。

ギターの音色は、ギターに付いているトーンボタンや、ピックアップの切替えスイッチ、アンプのトレブル、ミドル、ベースのつまみ(これらをトーンコントローラーと呼ぶ)で調整しよう。音量は、左手でフレットを押さえるだけで音が出る程度には上げておきたい。で、EでもAでもCでもGでもいいから、思いっきりギャーンと鳴らしてみよう。それが、エレキギターだ。今度は、1弦ずつ、ポロロロローンと弾いてみよう。グワグワーッと音が混ざっていって気持ちいいはず。後は、今までの練習の成果をギターにぶつけるのだ。

スタジオには椅子もあるけど、せっかくだから立って弾こう。スタジオの壁の片方は鏡になっていることが多いから、ギターを弾くフォームのチェックもできるし、「ギターを持ってカッコ良く弾いてる俺」を見て感動することもできる。一人とか、友達と二人なら、もう、陶酔し放題だ。カッコ良く、得意のフレーズを弾くのだ。そして、いつものように練習するのだ。いつもの練習も、スタジオのデカいアンプで、周囲に気を使うことなく弾くと、随分感じが違う。そして、このスタジオで鳴らす音が、あなたが持っているギターの本当の音なのだ。

音がデカいと、ピックが弦に当たる角度の違いや、フレットを押さえる力加減の違いで、やたら音が変わるのがハッキリ分かる。ピックをどんな風に当てると、どんな風に音が出るかが、とてもよく分かるし、それが、実はかなり、自分の思い通りにコントロールできることも分かるはずだ。ギャンッと弾けばギャンッ、と鳴るし、ガガガガと弾けばガガガガと鳴る。そして、音に震える空気の振動が、自分の体にフィードバックする。それがとても気持ちいいのだ。最近のスタジオは、iPhoneなどの音を鳴らせるようになっているので、スタジオのスタッフに聞いて繋いでもらえば、曲を鳴らして、それに合わせて弾くこともできるのだ。

終了時間の10分前になったら、片づけを始めよう。まず、ギターのボリュームをゼロにして、ギタースタンドに立てかけてから、アンプの電源をオフ。それから、ケーブルを抜いて片づける。ギターはネックと弦を軽く拭いてからケースに収納。忘れ物がないかチェックしたら、スタジオをでて受付へ。代金を払えば終了。多分、1度で、もう怖くなくなるはず。少なくとも、そのスタジオに限れば。

とにかく、何度でもスタジオに行って、デカイ音で弾くのが、何といっても最も効率的な練習方法なのだ。前にも書いたけど、ギターは自分がかっこいいと思えるスタイルで弾かないと、カッコいい音が出ない。まずはスタジオで一人で色々試そう。私は、何故、練習スタジオが歩いていけるところにある家に住んでいないのだろうと、日々歯がみするくらい、スタジオに行きたい。一人カラオケに行くように、ギター持ってスタジオに行きたいのだ。楽しいのは保証するから、とにかくスタジオに行こう。何だったら一緒に行ってもいい、いや、行きたい、気持ち悪いか。

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