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2016.11.29

後編

人生を成功させるいちばん確実な方法

冨山 和彦

人生を成功させるいちばん確実な方法

「あなたの仕事人生が“手遅れ”になる前にという副題が刺さった」という声が寄せられている、冨山和彦さんの最新刊『有名企業からの脱出』。丸善丸の内と八重洲ブックセンターのビジネス書ランキング1位も獲得しました。本書は、これからの自分の人生を間違えないためには「自分オリジナルの幸福の尺度」を持つこと、説きます。では、どうしたらその尺度を持てるのでしょうか? 


東大卒でさえ、会社の尺度で成功するのはひとりかふたり

 自我と向き合い、尺度を自分で決めるのは、苦しさもあります。だから、だいたいの人はゲームそのものを諦めてしまいます。

 軋轢を起こさずに無難に5年、10年と過ごそう、というゲームに切り替える。生存本能としては、正しいからです。しかし、50代ならあと10年ほどですが、40代なら20年はある。これはけっこうつらいでしょう。

 そして、出世の道はますます狭きものになっていく。会社の尺度で成功することは、極めて難しくなっていく。50歳を過ぎると子会社や関連会社へ出されるか、残れるか、日々恐怖です。

 私の東大法学部の同期ですら、メガバンクを含むすべての銀行を入れても、本体に残れているのはひとりかふたりです。ほぼ全滅に近い。

 だから、自分の人生を成功させる確率が一番高いのは、自分で成功の尺度を決めることなのです。自分の尺度で成功を測る。自己満足でいいのです。

同期が頭取でもランボルギーニに乗っていても気にしない

 学歴エリートを目指している時は、親や学校の評価、社会人になると組織任せ、上司任せの“他人の人生”を生きていると、自分の人生を自ら定義できない人間になってしまいます。

 同期が頭取になろうが、勲章をもらおうが、ランボルギーニに乗ろうが、別荘を持とうが関係ない。そう言える自分になるのです。

 正直、これは日本人的には、一番チャレンジングかもしれません。日本はムラ社会。物事の尺度は世間という空気が決めている。空気が幸福の尺度をつくってしまうからです。

 しかし、それでは、どこまで行っても幸福にならない場合があります。あるいは自分の幸福というものを、自分がコントロールできない要素で決めてしまったりする。そうすると、人生は微妙になるのです。

「冨山はJALのCEOになりたがっている」

 一方で、社会的に成功していると思われていても、世間が決めた成功にまったく関心がない人も少なからずいます。実は私もそうです。世間的にいえば、出世だと思われるオファーをたくさんもらってきましたし、つい最近、某金融機関のCEOのオファーもありましたが、すべてお断りしています。なぜなら、まず関心がないし、それを出世とはまったく思わないから。

 JALが経営破綻したとき、タスクフォースの一員になりましたが、「冨山はJALのCEOになりたがっている」という怪文書を流されたことがあります。そして、そういうことを真に受けてしまう人もいる。ところが、私自身はこれっぽっちも思っていないのです。それは、私自身に「尺度」があるからです。

 これは日本では特殊かもしれませんが、日本を出れば、先進国ではみんなそうです。諸外国のトップたちの行動パターンを見てみればわかる。何の惜しげもなく、ポストを捨ててしまう。まったくパーソナルな事情でトップの地位を放り出す人もいる。それは、その人の世界観、人生観によるものです。

小泉純一郎の「尺度」

 日本も近代先進国家になりました。リーダーをやっている人たちは、そうでないと、かえって危ないと私は思っています。その意味では、小泉純一郎元総理は、見事は辞めっぷりでした。完全に自分の尺度で生きていた。

 逆に、小泉さんの先輩で、まだ政治にしがみついている人もいます。高齢になっても、なかなかポストを手放さない。勲章の格がひとつずつ上がっていって、世間様からより一層「立派だね」と認められることに感応しそうな人たちもまだいます。

 しかし、今はそういう姿を見て、ダサいと思っている人が、増えているのではないでしょうか。日本も明らかにムードが変わってきています。世代が下れば下るほど、新しいムードは強くなっていく。だから余計に、早く自分なりの尺度をつくっておいたほうがいいのです。

江戸末期に「自分の藩がなくなる」と感じた藩士は皆無

 それこそ時代は一気に変わっていく、ということを認識しておくべきでしょう。1863年頃といえば江戸末期、10年足らずで明治維新による廃藩置県という時期。しかし、この時、紀州藩など親藩の藩士は、10年後に自分たちの藩がなくなっているなどと、誰も思っていなかったと思います。

 安政の大獄、桜田門外の変、戊辰戦争……。時代はうねりを上げて変化していきますが、それを実感していたのは、薩長や会津の最前線の武士たちだけ。その他の藩では、粛々と日々の生業が継続して行われていた。ところが10年で、世の中はひっくり返ってしまったのです。

 実はこれは、今の時代も同じだと思います。JALが破綻し、シャープが苦境に陥り、東芝が事件を起こしても、当事者にならなければ所詮は他人事。悪いくじを引いたくらいにしか思えない。人間の心理は、そんなものです。

 江戸時代は身分制ですから、藩士の身分も基本は終身年功制。現代の大企業サラリーマンと同じです。サラリーマン社会は、大学卒業時に一括採用で迷い込んでしまった会社に一生勤めることが一般的です。

「自分で選択した」といってみても、20歳そこそこの子どもの選択です。主体性のなさという意味では、江戸時代になんとか藩士の家に生まれたから自動的に藩士になるのと大差ありません。

 でも、自分が忠誠を誓っていた藩が、わずか10年後になくなってしまい、居場所を失った江戸時代の藩士と同じようなことが、今の多くのビジネスパーソンに起こらないという保証はどこにもありません。いや、今、それに近い空気を私は感じています。カイシャ幕藩体制、サラリーマン幕藩体制は、末期に来ているのではないか、と。

あちこちで起きている「静かな革命」

 実際、その萌芽はあちこちに見てとれます。マジメにコツコツ仕事をしていても、役員や社長になれなくなった。外部から役員や経営者が送り込まれてくる時代です。戦後日本を牽引した大手製造業や今やGDPの3割を切り、雇用も2割ほどしかない。モノづくりの力を一生懸命磨いている間に、その力を持たないアップルのような会社に世界を席巻されてしまっている。

 さらにインターネットの登場で、社会は大きく変わりつつあります。ネットバンキングや電子マネーが浸透するなか、果たして銀行の支店はこんなにたくさん必要なのか。

 実はいろんな分野で今、静かな革命が起きています。しかも、世界で同時多発的に。蒸気機関車や自動車が初めて世に出てきたような社会や人の関係性の大きな変化が起きようとしている。すでにシーソーは反対側に傾きつつある、というのが実態だと思うのです。

エリートの武士が屯田兵になるしかなかった時代の変化が目の前に

 人間は同じことが永遠に続くと思ってしまう生き物です。これは人間の性といっていい。まさか自分の会社がつぶれたり、大きなリストラをしたり、給料を大幅に下げたり、ポジションを剥奪するようなことはしないと思っている。

 しかし、現実には特権階級として君臨していた士族という人間たちが必要なくなり、そのスキルが新しい時代にまったく役に立たなかった時代が、ほんの150年ほど前にあったのです。

 彼ら社会のエリートたちは、北海道で屯田兵になるしかなかった。何が起きてもおかしくない、ということに気づいておくことです。そのために準備を押し進めておくことです。行動しておくことです。

 それができていれば、新しい時代は恐れるものではない。しかし、準備ができていなければ、けっこう危ない。その現実を、知っておいたほうがいいでしょう。

 

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