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2016.11.15

第50回 歩く

いとうあさこ

第50回 歩く

 考えてみると私は道を歩いていく、突き進んでいくような歌詞の歌が好き。例えばユーミンの「Happy Birthday to You~ヴィーナスたちの誕生」。

♪前へ前へ前へ進むのよ

 この歌詞に何度も背中を押されて。2010年R-1で決勝戦に行けたのもこの歌のおかげと言っても過言ではないのです。これ本当は赤ちゃんが産道を通って生まれてこようとしている歌詞なのですが。
 渡辺美里さまの名曲「MyRevolution」もそう。

♪非常階段 急ぐ靴音 眠る世界に響かせたい
♪MyFears MyDreams 走り出せる

 この力強い歌詞とあの歌声が相まって、数え切れないほど助けられ前に進んできました。
 他にも北海道ロケの際、果てしなく続く長い道を見るとやたら興奮したり。飲みに行った帰り急に歩きたくなって、お店から家まで30分以上歩いていくこともしばしば。まあ酔っているのでたびたび転んで膝すりむいたり、足首ぐねったりしちゃっておりますが。

 そんな歩き好きな私に何故かここ一か月、歩く仕事がよく舞い込んできました。
 先日行われた「GirlsAward2016」。カリスマモデルさん達がランウェイを歩き、ヤングなガール達が悲鳴に近いキャーッという歓声をあげまくるキラキラしたイベントに、まさかのババアが参加してきまして。そうです、ランウェイ歩いちゃったんです。この冬公開のオムニバス映画「TOKYO CITY GIRL-2016-」。その中の『幸せのつじつま』にて私は“他人の結婚を妬む独身40代の婦長さん”という役作りが大変難しい……わけがない役を演じておりまして。今回はその告知も兼ねて、キャイ~ンさんたちと出演させていただいたのです。

 映画の予告VTRがスクリーンに流れた後、舞台上に私とキャイ~ン天野さんが登場。突然のおじさんおばさんの登場に「誰?」とザワザワする会場。二人で決めたテーマ“ファッションショーのエンディングでよく見る、並んで出てくるデザイナー(天野さん)とモデル(私)”の感じでランウェイを歩いていくと皆さん、少しずつ誰かわかったようで。今までのキャーとは違うギャーに近い笑い声の混じった悲鳴が唸りのように沸き上がりまして。もうね、気持ちいい。行きはちょっと緊張したけど、帰りは手なんか振りながら歩いちゃったりしてね。ああ、夢のよう。

 でもね、神様はちゃんと見ているのね。その日の夜「勘違いするなよ」と言われているかのように、ローションまみれの長い長いヌルヌル階段を上るという仕事が。ランウェイとヌルヌル大階段。どちらも長く、そしてどちらもいろんな意味で素晴らしい道でありました。はい。

 そしてこの歩き月間の締めくくりは“集団行動。”先日オンエアの「世界の果てまでイッテQ!」にて女芸人10人で挑戦いたしました日本体育大学の一糸乱れぬ集団パフォーマンスです。前後左右きっちり列を揃え、決められた歩幅で号令に合わせて前へ後ろへ斜めへ素早く動く。時にただ自分と仲間を信じて前を見たまま躊躇せず後ろに下がる。

 いやいやいや。そもそもメンバーの体型が全体的に大型じゃないですか。それが何十人もがピッチリと並んだ狭い隙間を通り抜けられるとは思えない。しかもその歩くスピードはプロの競歩の選手くらい、ととても速い。そして号令がかかったらすばやく方向を変えなくてはいけない。身長差もあるから歩幅もなかなか合わない。

 年齢だってまあ最年少29歳はいますけど、ほとんどがアラフォー&アラフィフ。となると“すぐ疲れる”という致命的な特性が。もちろん一生懸命やりますよ。すごく一生懸命やりますけど、ちゃんとすぐ疲れるんです。それにすぐあちこち痛くなりますしね。

 まずは3日間そんなうちらだけの猛特訓。もちろん(?)途中でお約束の宴会(みんなでカラオケをやる)やら朝稽古(みんなでお相撲をとる)もやりながら。

 数日遅れてくる筋肉痛がちょうどドンピシャで両足全体にきちゃった4日目。いよいよ学生さん達との合同練習。まず“本物”を見せていただく。その“本物”のド迫力に丸みを帯びた女芸人たちは口々に、「いやいや、無理でしょ」「やばいって」。そんな中先生からまさかの一言。「じゃあ芸人の皆さん、学生の間に入って」……え? いきなり? 最初っから? 戸惑う間もなく10人が学生さん達の間にちりばめられる。「気を付けー! 前へー、進めっ!」は? もしや? 始まった? 密集した人間の塊が一斉に動きだす。すると本能が「人にぶつかったら危ない」「転んだら人も巻き込んじゃう」と危険を察知して指令を出すんですかね。急に耳が研ぎ澄まされまして。号令がよく聞こえてくるんです。ウソみたいに。目も同様で前の人の足の動きがゆっくり見えたりして。

 そしたらね、まさかの動けるという。いやね、正確に言うと出来ていないんですよ。もちろんぶつかりもしますし、列から跳ね飛ばされちゃうこともあります。でも10人で練習していた時と全然違うと言うか。考える暇がない分、とにかく必死に動くんですよね。しかも四方八方上手な人に囲まれて、その“上手”が移るのかも。まさにあの金八先生の“腐ったみかん”の逆状態。

 こうして2日間合同練習をして、最終日。ダメダメな私たちを見捨てず指導してくださった先生方と、母親でもおかしくない年齢の私たちを励まし続けてくれた学生さん達に支えられ、なんとか無事に本番終了。感謝。本当に大変でしたが“青春再び”な感じで楽しかったです。

 すると後日、この経験が意外なところで役に立ちまして。先日品川駅の朝のラッシュ時、誰ともぶつからずまっすぐ突き進み改札まで行けたのです。それを見ていたマネージャーが「なんだか今までのあさこさんと違う」と。ババア、まだまだ成長しております。

 

【今日の乾杯】
前回のアン肝に続くプリン体……いや、冬の味覚・白子さまの登場。軽く焼き目がつく程度に炙った白子にすだちをキュッとしぼる。寒いの苦手ですが、これが来たら冬も好きになるわ。

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No Name2016.11.21

あゆみ。もっとも大切です。 過去に13kgのバックパック背負って、42.195km以上を足腰ダメになるくらいで休み休みで歩いたんですよ。 だと19時間かかりました! あゆみ。もっとも大切です。

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