「食品ロス」という言葉をご存じでしょうか。まだ食べられるにもかかわらず、賞味期限が迫っているため流通できないなど、様々な理由で廃棄せざるを得ない食品のことです。
 日本の食品ロス量は、632万トン(2013年度、農林水産省調べ)。世界の食料援助量は約320万トン(2014年)なので、日本は、世界全体で支援される食料の約2倍もの量を捨てている「食品ロス」大国です。しかも、日本の食品ロス632万トンのうち、約半分は、消費者由来、すなわち家庭から出ています。
 新著『賞味期限のウソ――食品ロスはなぜ生まれるのか』で、食品をめぐる「もったいない構造」に斬り込んだ食品ロス問題専門家の井出留美さんが、食品ロスを減らすために消費者に何ができるのかを考えます。

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■あなたがどんな人間かは、買い物カゴの中身でわかります


 あるテレビ番組で、ダイエットに挑戦したいという肥満女性の家を訪問するという企画がありました。彼女の家の台所から出てきたのは……20袋くらいに及ぶ、買いだめした同じ食品の山。当然、賞味期限まで使い切ることができないので、捨てることになりました。ああ、もったいない。

 別のテレビ番組では、家の中にどのくらい食品ロスがあるかを調べる企画をやっていました。ある年配女性の家庭には、同じ種類のドレッシングが4本以上、買いだめしてあり、どれも賞味期限が切れていました。家族の人数や、その家でよく作る献立の種類にもよると思いますが、そもそもドレッシングは、そんなに大量に使うものでしょうか。よほど使うのでない限り、同じ調味料を4本まとめて買う必要があるとは思えません。

 お中元やお歳暮を贈る時期が過ぎると、百貨店などで、セット詰めの食品をバラ売りする、「解体セール」「処分品販売」などが行われます。そのような売り場では、缶詰やレトルト食品などを、他の人にとられないように、競うように、カゴいっぱいに入れていく人を見かけます。カニ缶ばかりそんなに大量に買い込んで、使い切れるのでしょうか。日常使いしづらそうな食品を、カゴいっぱいに入れている人を見ると、欲の強さを感じずにはいられません。

 いくらお金があって、全部買い占めることができたとしても、胃袋には限度があります。いくら安売りの商品をたくさん買い占めても、使い切れなければ、結局は無駄になるだけです。
 スーパーやコンビニは、まわりに住んでいる人みんなで共有している冷蔵庫、と考えたらどうでしょうか。自然と、みなで分け合わなければという節度が生まれると思います。

 食に関しては、“You are what you eat.”(あなたが食べているものがあなた自身)(あなたは食べているものでできている)という言葉があります。これと同様に“You are what you buy.”ということも言えると思います。あなたが何を買っているかで、あなたという人間がどのような人かが、わかります。


⇒次ページ「『もったいない』と店を非難する『消費者エゴ』」に続く

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 『賞味期限のウソ―ー食品ロスはなぜ生まれるのか』
(井出留美)

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