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2016.11.11

「長谷川アナの透析患者バッシングに見る、医療の現実」第3回

自業自得の患者が得をする日本の医療費体制?
医療を「平等」に受けられるようにすることは、実は非常に難しい

岩波 明

自業自得の患者が得をする日本の医療費体制?<br />医療を「平等」に受けられるようにすることは、実は非常に難しい

日本では医療を平等に受けられるようにしているからこそ、「自業自得で病気になった患者の医療費を税金で負担しなくちゃいけないんだ」といった不平不満も生じるのでしょう。
目を海外に向けて見ましょう。各国、それぞれ違った取り組みをしています。日本がこれから選ぶべき道とはーー?

*   *   *

 つまり現場においては、医療費抑制の試みは、さまざまなレベルで行われているわけであり、それにもかかわらずなかなか成功しないのは、この課題が複雑な要素を多数持っているからなのである。
 この点について、長谷川氏は、知識不足、取材不足であるように思える。たとえば内科医10人の意見を聞いたとしても、それだけでは、まったく不十分なのである。
 ところで実際のところ、長谷川氏の主張のように、臨床の現場において、「治療すべき」患者と「見放す」患者を分けることは可能であろうか。これは疾患にもよるが、医療の現場で患者を二分することはほぼ不可能だ。
 あらためていうまでもないが、どのような疾患も、「遺伝的な要因」と「環境的な要因」の両者の影響を受ける。遺伝性の強い疾患においても、環境の影響によって発症したりしなかったりする。
 遺伝子のタイプがまったく同一である一卵性双生児においても、疾患の発症率が一致しないことは珍しいことではない。つまり、たとえ環境的、個人的な要因が病気の原因と推定されたとしても、それを治療しないわけにはいかないのである。
 医療費の問題については、各国それぞれに取り組みがなされているが、どの国においても十分に成功しているとは言えない。

 たとえば、英国においては、NHS(国民保健サービス)というシステムが整備され、制度上は、ほとんどの医療機関が“無料”か“低額の自己負担”で利用が可能なものであり、「必要なときに、万人が医療に公平にアクセスできる」という基本理念を掲げてきた。
 時代によってNHSの評価はさまざまであるが、一時は、医師・看護師などの人材不足、長期の入院待ちなど、深刻な問題が指摘されていた。救急センターに搬送された患者が半日以上待機させられるという事態もみられた。これには、英国独特の医療制度の問題があり、NHSに所属する医師は、公務員でありながら、別にプライベートな診療が可能であるため、NHSにおける治療に十分に対応していない場合も多かったようである。

 米国においては、英国や日本のような皆保険制度は存在しておらず、個人は収入に応じて様々な医療保険に加入している。その保険に応じて、受けられる医療のレベルが決められており、収入によって明らかな“医療格差”が存在する。
 わが国においては、医療における差別を認めることはなかなか難しく、平等を原則としてシステムを組み立てる必要があるが、今後は民間のロジックを導入していくことが求められると考えられる。

*   *   *

次回のテーマも、どうぞお楽しみに!

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