「食品ロス」という言葉をご存じでしょうか。まだ食べられるにもかかわらず、賞味期限が迫っているため流通できないなど、様々な理由で廃棄せざるを得ない食品のことです。
 日本の食品ロス量は、632万トン(2013年度、農林水産省調べ)。世界の食料援助量は約320万トン(2014年)なので、日本は、世界全体で支援される食料の約2倍もの量を捨てていることになります。しかも、日本の食品ロス632万トンのうち、約半分は、消費者由来、すなわち家庭から出ています。
 なぜ日本はこのような「食品ロス大国」になってしまったのか。
 その原因のひとつに、「3分の1ルール」という商慣習があると言われています。
 新著『
賞味期限のウソ――食品ロスはなぜ生まれるのか』で、食品をめぐる「もったいない構造」に斬り込んだ食品ロス問題専門家の井出留美さんが、食品業界の不思議なルールに迫ります。

* * *


■不思議で不合理な「3分の1ルール」


 その日までに「消費しなければいけない」消費期限と違って、賞味期限は「おいしく食べられる期限」、あくまで目安です。しかも賞味期限は、本来のおいしく食べられる期限より短めに設定されていることがほとんどです。

 スーパーやコンビニなどの小売店の多くは、そんな、目安に過ぎない賞味期限よりさらにもっと手前の日に商品を撤去します。「3分の1ルール」があるからです。 

 食品業界の不思議なルール、「3分の1ルール」とは、賞味期間を3分の1ずつに区切って、最初の3分の1を「納品期限」、次の3分の1までを「販売期限」とするもので、法律ではなく、食品業界の商慣習です。

 たとえば、賞味期間が6カ月の菓子であれば、メーカーや卸は、最初の3分の1、すなわち製造してから2カ月以内に、小売店に納品しなければなりません。それを過ぎてしまうと、多くの小売店に拒否され、納品することができないのです。

 賞味期間が6カ月の場合、さらに製造から4カ月過ぎると、今度は販売期限が切れるので、賞味期間があと2カ月残っていても、商品棚から撤去されます。
 納品期限が設けてあるために、卸・小売からメーカーへ返品される額は年間821億円、販売期限のために小売から卸へ返品される額は年間432億円と推計されています。
 この「3分の1ルール」こそ、大量の「食品ロス」を生む大きな要因のひとつなのです。

 一体なぜ、このようなルールが作られたのでしょうか。
 

⇒次ページ「小売店に目をつけられるのを恐れて、メーカーは泣き寝入り」に続く

この記事をシェア
この連載のすべての記事を見る

★がついた記事は無料会員限定

 『賞味期限のウソ―ー食品ロスはなぜ生まれるのか』
(井出留美)

書籍のご購入はこちら(Amazon)