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幻冬舎plus+編集部便り

2016.10.31 公開 ツイート

「ヒト」を消費する時代に動くビジネスとは? 坂口孝則

欲しいモノがなくなっている時代。

そのなかで潤っているビジネスは何か? 
人はどこにお金を落としているのか? 

坂口孝則さんは、この問いを電子書籍『日本人はこれから何にお金を落とすのか?』のなかで読み解きました。今回は、完全書き下ろしの内容の冒頭部分をご紹介します。

(*電子書籍は、Amazon Kindle、楽天Kobo、iBooks Store等の各電子書店でもお求めいただけます)
 

誰かの語る「人生の質を高める工夫」にお金を使う

ある奇妙なうわさが、どこからともなく聞こえてきた。

誰でも確実に大金持ちになる方法があるという。

FXか、それともアフィリエイトか、株式の自動売買システムか。または、いま流行のせどりか。これまで無数のビジネスモデルが喧伝されては、多くの失敗者を生んで、また次の流行が誕生してきた。

「宗教ビジネスなんだ」

新興宗教を立ちあげるというのか?

「いや、フェイスブックとかツイッター、メールマガジンとか見てみろよ」

たしかに、いま私のフェイスブックでは、フォローしたひとたちがオススメする記事や商品が次々に流れてくる。さらに、私がもともと一人のみから購読していた有料メルマガも、いまでは10人を超える。平日、最低でも2通は有料メルマガの最新号がメールボックスに届く。

よく、「モノからコト」に消費が推移している、とひとびとは語る。しかし、それはほんとうだろうか。私には「モノからコト。そして、コトからカタ」あるいは「モノからコト。そして、コトからヒト」に移行しているように思えてならない。「カタ」とは、誰かが語るライフハック=人生のクオリティを高めるための工夫。世界の見「方」だ。そして、なによりそれを語る「ヒト」そのものが消費されている。

なるほど、その意味で、私はもはや10人もの教祖の信者なのかもしれない。クレジットカードの明細をみたとき、無数の無形物に支払っているとわかり驚愕する場合がある。
ライブ・コンサート、トークショー、有料メルマガ、サロン……。また、モノであっても、どこかの有名人が推薦したり、そのひととのつながりを得るために購入したりする機会が多い。「宗教ビジネス」とまではいいすぎかもしれない。ただ、単純に家電とクルマを購入して満足する時代では、たしかにない。

しかし、ときに新たな消費のみが世界を覆うといっている論者がいるものの、それは極論で、私たちは生きるためのパンはいまだに購入している。トイレットペーパーも買う。シャンプーも買う。それは物体の形をとる、たしかなモノ、商品だ。

かつて、すべての商品は記号であると語った論者がいた。センス、アート、個性……。現代では、それらを表す記号を商品に求めるらしい。だから、記号消費と呼ぶ。しかし私が注文したコピー用紙は、たしかに実用を求めてのものだ。昨日、購入したミカンは記号ではなく、しっかりと味のするものだった。

私は製造業の工場で働いていた。製品が記号として消費されているって? 当時の私はとても信じられなかったに違いない。毎日のように品質監査で取引先に出向いていた。不良品を集計しては改善状況を把握した。客先は品質問題で細かなクレームを入れてきた。トラブルであちこちを駆け回った。その記憶からは、記号ではなく、具体的機能のみが重要だった。

そういうことではない。記号消費論者はそういうだろう。ファッションなどの分野で記号消費が進んでいるのです、と。なるほど、もちろん消費が変化した領域があるのは間違いない。それは否定できない。

では、変わったところと、変わらないところはどこなのか。

そして、「宗教ビジネス」という言葉を使いたくなるような、私たちが求める「つながり」の正体はなんだろうか。

***
つづきは、電子書籍『日本人はこれから何にお金を落とすのか? 』をご覧ください。

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坂口孝則

1978年生まれ。調達・購買コンサルタント、未来調達研究所株式会社所属、講演家。大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買に従業。現在は、製造業を中心としたコンサルティングを行う。著書に『牛丼一杯の儲けは9円』『営業と詐欺のあいだ』『1円家電のカラクリ 0円iPhoneの正体』『仕事の速い人は150字で資料を作り3分でプレゼンする。』『稼ぐ人は思い込みを捨てる。』(小社刊)、『製造業の現場バイヤーが教える調達力・購買力の基礎を身につける本』『調達・購買の教科書』(日刊工業新聞社)など多数の著書がある。

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