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2016.10.25

『片見里、二代目坊主と草食男子の不器用リベンジ』舞台化決定記念ミニ連載。

よしもと芸人が、なまぐさ坊主と草食男子に!?
原作者が舞台稽古で、動く登場人物たちに感動!

よしもと芸人が、なまぐさ坊主と草食男子に!?<br />原作者が舞台稽古で、動く登場人物たちに感動!

幻冬舎文庫のキャラクターノベル『片見里、二代目坊主と草食男子の不器用リベンジ』舞台化が決定! 原作者の小野寺史宜さんが舞台稽古の見学に行って動く登場人物たちに感動! その様子を自らレポートします。


『片見里、二代目坊主と草食男子の不器用リベンジ』、二度めの立ち稽古を見せていただきました。まず、もの書きの自分に、吉本興業さんの社屋を訪ねる日がくるとは思いませんでした。吉本興業さんから舞台化のお話を頂きました、と担当編集者さんに聞きまして。吉本さん! と大変驚くと同時に、ならばきちんと形にしてもらえるだろう、と大変喜びました。実は結構観ている新喜劇をいそいそと観直したりもしました。

出演者の皆さんと記念撮影。前列中央が小野寺さん。

 まだ二度めということで、皆さん、台本を手にしての稽古でしたが。いやぁ、超えてきました。何をって、期待を。
 声と動き。ナマ声とナマ動き。それだけで圧倒されました。皆さんにしてみれば当たり前のこと、そりゃ声も出しますし動きもしますよ、でしょうが、見られることを仕事にされてる方々はやはりちがうのだな、と一人勝手に感銘を受けておりました。どう言えばいいでしょう。届くんですよ、声が。で、向いちゃうんですよ、こちらの目が。

 舞台はライヴ。あらためて、そのことを痛感しました。演者さんが目の前でやってくれます。台本はあるにせよ、今ここでそれは行われています。極端なことを言えば、お客さんが演者さんに話しかけてしまうこともできます。映像とはちがいます。小説ともちがいます。

 残念ながら、小説にそのライヴ感は出せません。文字は書き留めた途端、過去のものと化します。それで現実を再構築できる魅力的なツールではありますが、書きながら読ませる、というようなことはできません。その意味で、うらやましく思います。贅沢な仕組みだとも思います。


 そして最も贅沢をさせてもらっているのは、明らかに僕自身です。自分が書いた人物に肉づけしてもらえる。その姿を客観視できる。こんな贅沢なことは、ほかにそうはないでしょう。
 実際、演者さんが「片見里」と言ってくれたり、「柴太郎」と言ってくれたりするだけで、充分うれしいのです。おぉ、片見里って言ったよ、そんな場所ないのに、だの、うわ、柴太郎とも言ったよ、そんな犬いないのに、だのと、表面上は平静を装いつつ、いちいち嬉々としておりました。原作を書いただけの僕は、今さらすることもなく、ただ稽古を見ていればいいのですが、その先何時間でも見ていられそうな気がしました。

 演出家さんの指示への演者さんの対応力にも感心しました。言葉を読みとる力というか、意味を汲みとる力というか。これはもしかすると、現場での瞬発力を備えた芸人さんたちならではのことかもしれません。

 小学生のころにクラスのお楽しみ会でやった演劇の出しものを思いだしました。僕は気張って、作・演出などしていたのですが、芝居心のないぼんくら男子たちにはひどく苦労させられたものです。「蜂蜜はおかずじゃないよ」というセリフ一つを言わせるのに一時間かかりますから。

 

 ともかく。稽古のあいだ中、皆さんがカッコよく見えてしかたありませんでした。
 おそらくは皆さん私服で、台本片手にセリフを読んでいるだけ、と言ってしまえばそうなのですが。顔どうこうスタイルどうこうでなく。男性も女性もなく。本当に、カッコ悪い人が一人もいないんですよ。あ、これ、一番カッコ悪いのは原作者としてエラソーに稽古を見に来た自分だな、とずっと感じておりました。

 僕は役者でもないのに、本番でセリフが出てこなくなる夢をよく見るのですが、この稽古見学の夜も見ました。「蜂蜜はおかずじゃないよ」がどうしても出てこないのです。ぼんくらでした。

 一時と徳弥。自分が書いてきた小説のなかでも好きな二人です。そして、好きな話です。片見里という地名は、ほかの小説にもちょこちょこ出しているくらいです。

 今回、こうやって形にしていただけることはとてもうれしいです。皆さんなりの一時や徳弥や片見里をつくり上げていただければと思います。本番を見せてもらうのが今から楽しみです。大いに期待しています。
 

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