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2016.10.15

日本の宝・大谷の二刀流は才能の無駄遣い

広岡 達朗

日本の宝・大谷の二刀流は才能の無駄遣い

 セ・パ両リーグともペナントレースが終わって、プロ野球はポストシーズンにはいった。両リーグとも投打のタイトルが決まってメディアをにぎわせたが、新聞のどこを探しても日ハム・大谷翔平のタイトルがない。おかしいではないか。

 今シーズンの大谷は投手として10勝4敗で防御率は1・86。プロ野球最速の164㌔を出し、5月22日から9連勝して日ハムに4年ぶりのリーグ優勝を呼び込んだ。
 改めて言うまでもなく、登板しない日は指名打者として自身最多の382打席に立って打率・322、22本塁打、67打点を叩き出し、四球54を含む出塁率・416は打者顔負けの活躍だった。

 ところが公式記録では規定打席に届かず、本業の投球回数も途中、指の故障で140回どまりに終わり、規定投球回数に3イニングたりなかった。つまり、パ・リーグ全日程終了の個人の打撃成績、投手成績を見ても、タイトルどころか大谷の名前さえないのである。

 かさねて言うが、日ハムが3連覇を予想された強豪・ソフトバンクを最大11.5ゲーム差から大逆転し、4年ぶりのリーグ優勝を勝ち取ったのは、4年目22歳の大谷の投打にわたる活躍のおかげである。にもかかわらず大谷は「無冠の帝王」で後世、2016年の公式記録を見たときに、その名前はどこにもないのだ。


指名打者より投手の技術を磨け

 私はかねてから、大谷の「二刀流」に反対してきた。ファンは喜ぶかもしれないが、投手にとっては負担とリスクが大きすぎる。私は、先発投手は中4日か5日できっちりローテーションを守るべきだと書いてきた。ましてや大谷のようなエースは開幕戦から最終戦まで、このローテーションの柱である。
 それだけに、登板日の翌日から次の先発までは、独自のペースで調子を整えていく。この間に投手は技術の修正や課題の練習に取り組んで進化をめざしている。

 ところが、この大事なインターバルにストレスがたまる指名打者として出場したらどうなるか。投手としての心身の調整や練習が犠牲になるだけでなく、打ったら走り、スライディングもしなければならない。いつ、どんなアクシデントに見舞われるか分からないのだ。それは間違っている。

 そして私が大谷の二刀流に反対するのは、高校を出て間もない若い投手が、簡単に二刀流で活躍できるようなプロ野球では情けないと思うからだ。

 だから私は、大谷には投手に専念してもらいたい。今年は途中で指の故障があったとしても、あれだけ活躍したのに投打の全成績に名前が載らないような二刀流は、どっちつかずで才能の無駄遣いだ。

 誰でも分かるように、大谷は100年に一人の天才投手である。いや、「100年に一人」と言ったら、400勝投手の金田正一が怒るだろう。

 いまの大谷は、投球も打撃も発展途上で未熟な点が多い。本業の投手としては、天性の巨体と地肩の強さで日本一の速球を投げているが、コントロールや変化球は大味で、巨人の菅野智之のような完成度はない。

 また打者としても、腕が長いから真ん中から遠め(外角より)はヒットしているが、内角は高めの速球が窮屈そうだし、低めの変化球には泳いでいる。
 私が西武監督時代の東尾修のように、死球になりそうなきわどい内角攻めを徹底されたら打てないだろう。


完投・20勝めざして第2の金田になれ

 野球では器用な選手は大成しない。コーチが何か教えると、「ハイ、分かりました」とすぐできるが、身についていないので忘れるのも早いからだ。
 投げても打っても一流の大谷には、素質だけの選手で終わってほしくない。投手としてレベルの高い技を磨き、走り込んで野球スタミナをつけて、完投で20勝以上を続ける投手に育ってほしい。

 こんなことを言うと「投手寿命を縮める」という反論が出るだろうが、私に言わせれば、無謀な二刀流を続ける方が大谷の選手寿命を縮める。いまは若いから無理がきくが、このツケは将来まわってくるだろう。
 国鉄と巨人で36歳まで20年間投げ続けて400勝した金田は、先発完投を365回、20勝以上を14回もやった。

 いまのプロ野球は先発・中継ぎ・抑えの分業制で、先発は5回まで投げれば勝利投手の権利がもらえる。今年のパ・リーグでも、完投したのはロッテの石川歩と涌井秀章の各5試合が最高で、最多勝は和田毅(ソフトバンク)の15勝だった。

 日本の宝・大谷にはピッチャーに専念し、「完投と20勝」に挑戦して第2の金田になってほしい。
 そして監督は、大谷を客寄せパンダにするのをやめて、大事に大きく育てるべきだ。
 

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