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2016.10.19

第6回 思い出の出演者たち

パリ人肉事件の佐川一政がきた日

平野 悠

パリ人肉事件の佐川一政がきた日

■1995年7月10日(月)「華のパリ愛のパリ」【出演】佐川一政、根本敬(特殊漫画家)

 オープン5日目にして、あのパリ人肉事件の佐川一政氏が出演してくれたことは、店の波瀾万丈な展開を予感させた。

 当日、昼過ぎプラスワン店長・角田から緊急連絡が入った。「本人は右翼と言っているのですが…、国辱・佐川を出演させるなんて許せん! イベントが始まったら街宣車で潰しに行くから覚悟しておけ!」と言う電話があったそうだ。

 私はただの愉快犯だと思ったので、店の防衛態勢なんか考えなかった。奴ら(右翼?)が乱入してきたら、それはそれで面白そうで、どこかウエルカムでもあったが、実際は何も起こらなかった。

 トークは根本敬さんのいわゆる哲学的なふりから始まった。

「白人女性を猟銃で撃ち殺したんだって! その肉食べちゃったんだ~」

 なんて下世話な話はあまり出なかった。中心はカニバリズム(人間が人間の肉を食べる行動)の佐川さんと交流のあったコリン・ウイルソンの話だった。

 根本敬さんは相当、佐川さんに気を遣っていたようだった。私はたまりかねて「佐川さん、人間の肉ってどういう味がしたんですか? おいしかったですか」と、多分みんなが聞きたくても聞けないだろう質問を無造作にぶつけた。

「いや、興奮していてあまり味は覚えていないのですが、多分マグロのトロの味がして、おいしかった記憶があります」

 と答えてくれた。

 <佐川氏インタビュー 聞き手:平野>

 ――世界中の多くの人たちが、あの事件の真意を知ろうと思っているわけです。佐川さんとしてはやはりみんな分かっちゃくれないと言う方が実感だと思うのですが。

分かれと言うのが無理なのだとは思います。カニバリズムって長い伝統があって、そのほとんどは儀式であり、美食、飢餓とかそう言う一般的に言われているものではないんです。僕の場合は、性的なカニバリズムなんです。あの事件の後、その関係の本を読んで研究したのですが、ガッカリしました。僕に当てはまる論理、論調はどこにも見当たらなかったんです。」

 ――と言うことは…もう少し具体的にお話し願いませんか。

「性的カニバリズムというのは、じつは単純で、これは誰にでも当てはまることなんです。ものすごく好きな人いて、なるべく近くにいたいということから、臭いを嗅ぎたい、接吻したい、相手の存在をより強く感じたい。その最終的延長線上に『食べたいな!』というのがあるんですよ。全く僕の場合はフラットに続いていて、断絶というものなんかないんです」

 ――フラットに続いているとは、子供のころからということですか?

「はい、悪夢として続いていたのです。最初は3~4歳のころ、僕と弟が鍋でゆでられ食べられる夢を何回も見ました。虚弱体質で、手足なんか鉛筆みたいなもので、クラスメイトがふっくらとして丸みがあって、凄く憧れていたんです。それが食べたいな~という意識になったのかどうか分かりませんが、小学校高学年になって性意識を持つようになってから、その対象が女性になり、大人になると白人女性になった。その脅迫観念が続き、劣等感というより憧れ、欲望というか、妄想が自分を押さえ切れないほど強くなってしまったんです。白人女性というのは若い人たちは分からないだろうけど、背は高いし金髪で、憧れの存在でした。自分が美しくないから、美しくありたいという願望を白人女性に託すっていう意味なんだろうけど」

 ――問題はそういう意識は誰にでもあって、憧れる、独占したいというのは分かるとしても、散弾銃で彼女を撃って、殺して食べるっていう所まで行ってしまうのがどうしても理解できないのです。

「殺すというのはもの凄く恐怖だったし、食べたいという妄想が強くなると、殺さないで食べるって何度も夢にまで見たわけですけど、そんなのは理想で現実的にはあり得ない」。(01年2月月刊BURSTコラムより一部転載)

 

※次回は「今絶頂、園子温が悩んだこと」です。

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