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2016.10.02

検診をうけるほうが死亡数は多くなる

近藤 誠

検診をうけるほうが死亡数は多くなる

「たとえばチェコの試験は6000人を対象とし、肺がんの発見数は放置群で82人、検診群で108人と、検診群で増えました。ところが肺がん死亡数も放置群で47人、検診群で64人と、検診群のほうが増えてしまったのです」

「なんでそんなことが起こるんですか?」

「ひとつには、タチの悪い肺がんは、検診で発見できる大きさになる前に他の臓器に転移していることが多いから、肺がんを早くにみつけたところで結局、治せないからです。ただそれだけだと、検診群と放置群の死亡数は同じになるはずですよね」

「はい」

「発見された肺がんの数が、検診群で増えていることがポイントです。その分だけ手術件数が増え、合併症による“手術死(手術が原因で死亡すること)”が増えたのでしょう。こういう試験結果をうけ、欧米諸国では、肺がん検診は一度も実施されずにいます」

「日本で実施しているのはなぜなんですか?」

「実際に、“老人保健法“に肺がん検診を盛りこんだのは、こうした比較試験の結果が報告されたあとでした。そこから推測するに、法律案を作成した厚生省の役人たちは、死ぬ人が増えてもいいから検診業界や医療産業を儲けさせたい、と思ったのでしょう。その後もそういった役人たちは、有害無益な検診を奨励することに血道をあげています」

「許しがたいことですね……」

「そういう国で生活していることを自覚しないと、医者や役人に殺されてしまいますよ。
 つぎに、CTによる肺がん検診についても説明しましょう。
 CT検診も、米国やヨーロッパ諸国で比較試験が実施されています。しかし米国では、有効だというデータがないのに営利のCT検診が始まり、そういう施設で働く医者たちが比較試験を始めたので無茶苦茶です」

「それだと試験結果を信用できませんね」

「米国も検診が利権化しているんです。これに対してオランダ、ドイツ、イタリアなどでは、非営利の施設で試験を実施しているので、結果の信頼性が高くなります。
 最大規模のオランダの試験では、1万5000人を2班に分けて、片方の7500人に定期的にCT検診を実施しています。その結果、検診を1回するだけで、1000人につき550個もの腫瘤がみつかることがわかりました」

「そんなに……」

「ただその中で、肺がんと診断される数はごく少なく、腫瘤が1000個みつかったうち、肺がんは4件だけです。つまり、1000人が検診をうけた場合、肺がんがみつかるのは2人、ということになります」

「はあ……、ちょっとほっとしますね」

「最も気になるのは、肺がん死亡数が減るかどうかですが、オランダの試験は、死亡データが未発表です。ただし他の、イタリアやデンマークなどでの比較試験では、CT検診群の肺がん死亡数は減っていません」

「そうなんですか……。検査をしても死亡数は減らない、つまり意味がないということですね。なんだか生検がバカらしく思えてきました。
 最後にひとつ質問させてください。CTの被ばく線量を人間ドックの放射線技師に聞いたら、『東京・ニューヨーク間を飛行機で往復するのと同じくらいの量ですから、気にする必要はありませんよ』と言われたのですが、それは本当ですか?」

 

※第32回へ続く。10月9日(日)公開予定です。 

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