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2016.09.25

肺がんの早期発見は意味がない

近藤 誠

肺がんの早期発見は意味がない

 日本でがんによる死亡数が最も多いのは肺がんで、2016年の予測値は年間7万7000人。大腸がんの5万2000人を大きく引き離しています。そして検診受診者も、肺がん検診がもっとも多く、40歳以上の男性の50%弱、女性は40%弱が受診しています(2013年)。でも、検診に意味があるのでしょうか。
 今回は、僕のセカンドオピニオン外来に来られたMさん(55歳、男性)との相談内容を紹介します。

「こんにちは、近藤です。会社指定の人間ドックで、オプションのCT検査をうけたら、右肺に直径1センチの“腫瘤(しゅりゅう/こぶ)”があると」

「はい。紹介された大学病院で『肺がんの疑いがある』と言われ、生検を勧められました。だけど心配になって……」

「生検は通常、のどから気管支鏡という内視鏡を入れ、先端からワイアーをくり出して“かん子”で組織をパチンとつまみます。ただ、組織が取れないことが多々あるし、出血や、肺に穴があいて空気がもれる“気胸”が生じることもあるのが欠点です。まれに出血で死亡する人もいます」

「ええ、本当ですか!」

「肺の奥で出血するので、止まるかどうかは神頼みなのです。医者も自分が患者だったら多分うけないでしょう。もっとも、腫瘤がこの大きさでこの場所だと、“CTガイド下生検”を勧められたのでは?」

「そうです」

「CT装置のベッドに患者を寝かせ、エックス線を照射して患部を観察しながら、体外から長い針を刺して組織を切り取る方法です。やはり出血や気胸のリスクが問題で、ごくまれに空気が血管に入って心臓や脳の動脈に詰まり、その先に血液がいかなくなって死亡することがあります。僕も、2件の即死ケースの相談にのりました」

「そうだったんですか……」

「いくつかの病院の“検査説明書”を調べたことがありますが、死亡リスクは書かれていませんでした。あなたの場合、そもそも精密検査をうける必要があるかどうかを考えるのが先決です」

「必要がないってことですか?」

「肺がん検診の一般的な方法である、胸部エックス線撮影の効果から説明しましょう。
 欧米では、ヘビースモーカーを数千人あつめて2班に分け、“検診群”と“放置群”とに分ける“比較試験”が実施されています。放置群では、血痰や呼吸困難などの症状がでたときだけ調べるので、肺がんと診断される人は“検診群”のほうが多くなります」

「検診による“早期発見”ですね」

「すると“早期治療”ができるので、これまでの“検診理論”によれば、肺がん死亡数は少なくなるはずです。ところが、米国とチェコとで別々におこなわれた比較試験では、検診群のほうが、肺がん死亡数が多かったのです」

「えっ!?」

 

※第31回に続く。10月2日(日)公開予定です。

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