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2016.09.13

第1回

誰も予想していなかった衝撃のスタート!

岡田 仁志

誰も予想していなかった衝撃のスタート!
スカパー!実況担当の西達彦さん(左)と解説担当の筆者。

 どうも。昨年9月の「ブラインドサッカーアジア選手権2015 スタンド満員化プロジェクト」以来、ちょうど1年のご無沙汰でした。あのアジア選手権で日本代表がパラリンピック出場権を得ていれば、私もいまごろリオで忙しくしていたはずなんですけどね。悔しいなぁ。

 でも、ありがたいことにリオと無縁の日々ではなくなりました。リオパラリンピックを毎日24時間放送するスカパー!さんが、ブラインドサッカーも8試合中継することになり、解説者として呼ばれたわけです。ただしリオにじゃありません。東京のスタジオです。送られてきたスケジュールを見て、茫然としましたよ私は。だって終了時刻が「32時」とか書いてあるんですよ。見たことないよそんな時間表記。

 しかし、日本が出場しない競技をコメンタリーつきで8試合も放送するスカパー!さんの心意気はアッパレ!であります。2020年東京パラリンピックでのメダル獲得を目指す日本チームのために、私もここであらためてブラインドサッカーの魅力を広めるお手伝いをしたい。というわけで、時差12時間の解説者日記、決勝戦までよろしくおつきあい願います。

■9月9日(金曜日)グループリーグ第1節

 スタジオ入りは19時20分、試合開始は21時。まずはあまり無理のない時間帯だ。最初の放送カードは、ブラジル×モロッコ(グループA)である。このグループは、ほかにアジア代表のイランと欧州代表のトルコ。上位2チームが準決勝に進出するわけだが、パラリンピック3連覇中の地元ブラジルの1位通過はほぼ確実だ。

 残る3チームの2位争いを考えると、「イランの代わりに日本が出ていたら……」と思わずにいられない。日本はモロッコと一昨年の世界選手権で対戦し、0-0の引き分け。相手のファウル累積で与えられる第2PKが3本あるなど、日本が終始優勢に試合を進めた。トルコとは昨年の国際大会で対戦し、1-0の勝利。その後も何度か練習試合を行っているが、一度も負けたことがない。つ・ま・り――。脳内空想パラリンピックでは日本の準決勝進出は全然あり得る話なのである。ああ悔しい。

 タラレバはやめて現実に戻ろう。なにしろスカパー!は24時間態勢でたくさんの競技を放送するので、大会期間中はスタジオの数も不足気味とのこと。私と実況担当の西達彦さんが入ったのは、ふだん出演者の控え室として使われている一室だった。放送のことはよくわからないが、そこにいろんな機材を運び込んで外部とケーブルをつなぎ、放送できる態勢を整えるだけでも結構たいへんなんじゃなかろうか。

 試合前の打ち合わせでディレクターにスコア予想を聞かれた私は、「2-0から5-0のあいだでブラジル」と答えていた。モロッコは6月の国際大会で強豪の中国に2-1で勝ったので、侮ってはいけない。だがブラジルからゴールを奪えるとは思えなかった。

 ところが試合は、前半13分にまさかのモロッコ先制。世界のブラインドサッカー関係者が誰ひとり予想していなかったであろう衝撃的なスタートとなった。決めたのは、9番のハッタブ。6月の大会で彼を見た日本代表関係者からも「モロッコ9番、ヤバいっすよ」と聞いてはいたが、想像以上だった。得点を決めたときは、ゴール前の相手DFに遠くから猛然とチャージをかけて、ボールを奪取。くるりと反転して別のDFの股間を抜くシュートをゴール右隅に決めてみせた。先制ゴールの前にも、相手ゴールに向かって転がるボールを追いかけてダイレクトでシュートする場面が。ブラインドサッカー観戦歴10年の私でさえ、「こいつホントに見てないのか?」と疑いたくなるプレーの連続だった。

 一方のブラジルは、大エースの10番リカルジーニョが本調子に見えない。4月に足を骨折し、一時は大会出場が絶望視されながらも懸命のリハビリで地元パラに間に合わせたのだが、絶好調時のスピードと切れ味は見られなかった。前半はブラジル0-1モロッコ。

 しかし後半6分、ようやく強固なモロッコ守備網を崩したリカルジーニョが同点ゴールを決めると、小エース(といってもよその国に行けばスーパーエース)の7番ジェフィーニョと、「第3の男」(といってもよその国に行けばふつうにエース)の11番ノナートが立て続けに決めて、終わってみれば3-1。終盤はリカルジーニョとジェフィーニョを休ませる余裕も見せて、結果的にはブラジルの圧勝であった。しかしブラジルベンチとしては、できれば前半で勝負を決めて、もっと早くリカルジーニョをベンチに下げたかったことだろう。この誤算が、大会終盤で何らかの意味を持つ可能性はある。

【第1節の結果】
ブラジル 3-1 モロッコ(A)
中国 1-0 スペイン(B)
イラン 0-0 トルコ(A)
アルゼンチン 2-0 メキシコ(B)

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