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2016.09.10

第9回

恐怖を知るということ、忘れるということ(前編)

佐久間 裕美子

恐怖を知るということ、忘れるということ(前編)

 若い頃の自分を思い出すと、よくあんなに怖いもの知らずだったなと呆れるような感心するような気持ちになる。
 英語でいうとfearless。なんだかいい響きだけれど、私の若年期における怖いもの知らずは、何も考えていないこととイコールだった。暴走する電車がなんとかぎりぎりレールの上を走り切ったようなイメージである。肉体と魂が、それぞれなんとかひとつのかたまりとしてくっついているという事実に感心する。
 怖くなかったのは、無知だったからだ。

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